農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 250 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/30 00:52   >>

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 まず最初に、その場に居た諸葛亮がそれに気付いた。次いで、方術師の左慈も。
 二人の祈祷が自分の霊体を包み、徐々に皆に視認できるように具現化して行く。
「……………!」
 シュバルツを食い入るように見つめていたハヤブサが、こちらの気配を感じて顔を上げ、驚いて息を飲んでいる。その『視線』が合う。いつも見つめてばかりいたから、こうして自分の存在を意識してもらえるのは、随分久しぶりだな、と、キョウジは思った。
 でも、シュバルツと間違えられるかな、と、思う間もなくハヤブサから声をかけられた。

「キョウジ!!」

 一撃で自分の『正体』を看破して来た龍の忍者に、キョウジは少し面食らってしまっていた。言いたい事、話したい事はいろいろあった筈なのだが、思わず問いかけずにはいられなかった。
「ねぇハヤブサ。一つ、真面目に聞いても良い?」
「な、何だ?」

「貴方は一体――――『何処』で私とシュバルツを見分けているの?」

 その問いかけに、龍の忍者は少し目をしばたたかせながらも、はっきりと答えた。

「そんなの――――見れば、分かるだろう……?」

 そのハヤブサの言葉に対して、周りの皆は首を横に振っている。
(それはそうだよな)
 ハヤブサ以外のここに居る人たちは、自分達の間にある特殊な事情を知っている者はいない。だから、外見が瓜二つの自分達を『別人』と見分けられなくても、それは仕方が無い事だとキョウジは思うのだ。
 しかし――――それにしたって、どうしてハヤブサは、すぐに自分が『キョウジ』だと分かったのだろう。だいぶ前に死んでいる自分は、『もう居ない者』と、ハヤブサに認識されていても仕方がない。この姿だって『シュバルツの霊体』と、間違えられてもおかしくない物だったのに。
 積もる話は沢山あった。
 だけど今は、時間が無いと悟る。皆に認知されているこの状態を保てるのはあと僅かな間しか無い。その間に、『媒介』を通してシュバルツを治さなければ、と、キョウジは思った。
「ハヤブサ。悪いけど、シュバルツの服をくつろげてくれる? 私はシュバルツの身体には、直接触る事が出来ないから」
「わ、分かった……」
 キョウジの求めに応じて、ハヤブサはシュバルツのコートからベルトをはずし、ボタンをはずし、シャツのボタンをはずして行く。シュバルツの白い肌には、仙界軍の矢のせいで――――既に無数の青白いひび割れが走り、それが首のあたりまで達していた。
 今にも砕け散ってしまいそうなシュバルツ。それを見たキョウジは眉をひそめ、屁舞留は息を飲んだ。その傷のせいで、意識の混濁が起きてしまっているのだろう。シュバルツと話をするのは、今は不可能そうであった。

「治せるのか?」

 縋りつく様な声にキョウジが顔を上げると、ハヤブサが必死の眼差しでこちらを見つめている。無理もない。もう彼は2度――――愛おしい人を目の前で喪っているのだから。
 キョウジはそんなハヤブサを安心させるように微笑むと、力強く言い切った。

「うん――――『治す』よ」

 そう。
 シュバルツを喪ってハヤブサが泣く―――――こんな悲劇は、もう終わりにしなければならない。例え、この命に代えても。その為に、自分はここに居るのだから。
 シュバルツのエネルギーの源になっているのは、キョウジの『ココロ』
 シュバルツの存続を願うキョウジの強い『意志』が、シュバルツを生かし続けていた。
 だから、キョウジは確信する。
 きっと、自分ならば、シュバルツを治せる。自分の生命エネルギーをシュバルツに送り込む事さえできれば、彼を助ける事が出来るのだと。
 キョウジは治癒の方を続けているかぐやの横に座ると、金色に光る玉串に、そっとその手を添えた。
「手伝ってくれる?」
 キョウジがそう言うと、彼女も力強くなずいた。

 再び始められるかぐやの治癒の祈祷に、キョウジの『呪』が重なる。
 シュバルツへの『ココロ』の回路を『開く』
 壊れゆくDG細胞の動きを『閉じる』
 そして、そこに自分の生命エネルギーを―――――
(……………!?)
 ここでキョウジは異変に気付いた。
 確かに、『媒介』に添えられている自分の手から、シュバルツに向かって『生命エネルギー』は流れ込んでいる。
 だけどこのエネルギーは自分の物ではない。
 これは
 屁舞留の――――!
(『気』を乱すでない!! キョウジ!!)
 キョウジの心を察したかのように、屁舞留から強く叫ばれた。
(絶対に、『呪』を止めるなよ、キョウジ……! 今止めたら、総てが終わりぞ―――!)
「……………!」
 キョウジは叫び出しそうになる己をぐっと堪えて、また『呪』に専念しだした。しかし、心の奥底が動揺してしまうのを、止める事が出来なかった。
(屁舞留……!? どうして――――!)
 『呪』を続けながら問いかけるキョウジに、屁舞留から優しい気配が帰ってきた。
(気にする事はない、キョウジ……。これは、吾が自ら望んでやっている事じゃ……)
(そんな……! 何故だ!! このままでは貴方の『生命エネルギー』の方が、先に尽きてしまう!)
 貴方を犠牲にしてしまう訳には、と、キョウジは心の中で叫ぶ。しかし屁舞留は、優しく首を振った。
(確かにそうだな……。だが、これでいいのだ、キョウジ……)
(屁舞留―――! 何故――――!)
(キョウジ……。今まで黙っておって悪かったが、実は、吾の寿命も、もうそんなに長くはない)
(―――――!!)
(『気』を乱すな!! キョウジ!!)
「――――ッ!」
 屁舞留に怒鳴られて、キョウジは再び『呪』に集中する。そんなキョウジに向かって、屁舞留の独白は続いた。
(地上に降りて300年。村人たちの祈りで、何とかここまで生き永らえてきたが、吾の『神気』はもう尽きかけておるのじゃ。恐らく、新しい土地に行っても、もうその土地を肥えさす事も不可能である程にな……)
(そんな………!)
 息を飲むキョウジに、屁舞留の優しい気配が帰ってくる。
(だからこれが……『土地神』としての、吾の最後の『役目』じゃ。キョウジ……)
(屁舞留………!)

(村を救ってくれた恩人の『命』を、吾に助けさせてくれ)

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