農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 229 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/04 15:29   >>

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「このままでは、俺もお前も助からない……。ならばどうせなら、俺はお前と共に死にたい……」

 シュバルツの頬を優しく撫でながら、ハヤブサは切々と彼に語りかけている。

「俺と一緒に、死んでくれ、シュバルツ……」

「…………!」
(違う―――――!!)
 キョウジは即座に悟った。

 嘘だ。ハヤブサは、嘘を言っている。

 ハヤブサは、およそ『あきらめる』と言う事を知らない人だ。この状態になってもおそらくハヤブサは、シュバルツを助ける事をあきらめてなどいない。助けられる『策』を思いついたからこそ動いた。もう動く筈の無いその身体に鞭を打って――――
 DG細胞で構成されているシュバルツの身体。実は、ハヤブサもDG細胞を滅殺する事が出来る。彼が扱っている特殊な妖刀『龍剣』――――これにありったけの『気』を込めてそれを振るえば、DG細胞を滅する事が出来るのだと、キョウジはハヤブサ本人から聞いた事があった。
 だからハヤブサも、シュバルツを『殺そう』と思えば殺す事が出来るのだ。彼の愛刀『龍剣』を用いれば。
 しかし、今ハヤブサが用いようとしているのは、身体に仕込んでいる『火薬』
 それではシュバルツは殺せない。その瞬間、体は粉々に砕け散るかもしれないが、3時間後にはDG細胞の持つ『自己再生』が働いて、彼を甦らせる事が出来るのだ。そう、シュバルツが『普通の状態』であるならば――――

 おそらく、ハヤブサはそれを狙っている。
 そうまでして、彼はシュバルツを『助けたい』と願っているのだ。例え、それで自分が死んだとしても構わない。彼は、本気でそう思っているのだろう。

 でも駄目だ。
 駄目なんだ、ハヤブサ。

 シュバルツは既に、素戔鳴の剣で傷を負ってしまっている。もう、彼の身体は、ゆっくりと壊れて行くしかないんだ。
 そこに爆薬で粉々に吹っ飛ばされてしまったら、シュバルツも本当に『死んで』しまう。DG細胞の『自己再生』は、もう働かない――――!

 このままではハヤブサは無駄死にするだけだ。
 止めないと――――!

 キョウジはそう強く感じて一歩、足を踏み出そうとする。
 しかし、何故かそこから動けずにいた。
 シュバルツと共に『死のう』としているハヤブサを、どうやって止めれば良いのか。
 その有効な手段を、キョウジは思い浮かべられなかったからだ。

 ハヤブサは、「シュバルツが死んでも、爆薬を作動させる」と言っていた。
 つまり、シュバルツが死んだら、もう生きている気など無いと言う事だ。
 もしも、あのハヤブサに
「もうシュバルツは助からない。だから貴方も、死ぬのを止めろ」
と、告げたらどうなるか。キョウジは容易く想像できた。

 おそらく龍の忍者はこう答えるだろう。
「何だ。じゃあ……本当に、『共に死ねる』な」
 そう言って幸せそうに笑いながら――――あっさり爆薬を、作動させてしまうだろう。

 これは、ある意味チャンスでもあった。
 愛し合う二人が、本当に『共に死ねる』機会(チャンス)。
「共に生き、共に死にたい――――」
 ハヤブサは時々、シュバルツにそれを望む傾向があったから。

 何と言う事だろう。
 ハヤブサを『救う』ための手段が、本当に見つからない。

「ハヤブサ……! ハヤブサ……!」

 優しく見つめるハヤブサの視線の先で、シュバルツが大粒の涙をポロポロと零し始めた。

「嫌だ……! ハヤブサ……! 死なないでくれ……!」

 シュバルツも同じなのだろう。
 ハヤブサを守りたい。死なせたくない。
 だけど、その手段がどうしても見つからないから
 もう、泣いて縋るしか道が無くて――――

 だがハヤブサは、そんなシュバルツを見て、本当に幸せそうに笑った。

「嫌だ……。お前こそ……俺を、置いて逝かないでくれ」
 その言葉に、シュバルツは言葉を失ってしまう。
「共に……死んでくれ、シュバルツ……」
 シュバルツの頬に流れ落ちる涙を優しく拭いながら、ハヤブサは言った。
「ハヤブサ……ッ!」
「俺と、共に――――」
「…………ッ!」

 そんな二人の様子を見て、キョウジは本当に途方に暮れてしまう。

 これは、悲劇なのか?
 それともハヤブサにとっては、シュバルツにとっては
 これこそが――――『幸せな結末』になってしまうのだろうか?

 だって、二人は共に死ねる。
 本当に――――共に死ねて、しまうのだから。

 でも『嫌だ』と、キョウジは思った。
 こんな結末は――――あまりにも、哀しすぎる。否定したい。それともそう感じる事こそが、自分のエゴなのだろうか。

 どうすれば、いい?
 二人のために、私は一体どうすれば――――!

 その時、森の中から一つの小さな光が、キョウジに向かってかけて来た。

「キョウジ!!」

「屁舞留!?」
 その小さな光は、屁舞留の霊体であった。屁舞留はキョウジに向かって一直線に息を弾ませながらかけて来た。
「吾は、間に合ったか!? 二人はまだ、生きておるか!?」
「ひ、屁舞留? どうした?」
 戸惑いながら問いかけるキョウジに、屁舞留はにこっとその面に笑みを浮かべながら応えた。
「喜べ、キョウジ!! 援軍が来るぞ――――!」

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