農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 262 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/04/15 14:59   >>

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「シュバルツ……!」

 懸命にシュバルツに呼びかけているキョウジを見ながら、ハヤブサはもう一度、フッと小さなため息を吐く。
「キョウジ……シュバルツは、治せるのだろう?」
「ああ……。だけど――――」
 何か言おうとしたキョウジを、ハヤブサは押しとどめた。
「済まないがキョウジ……おそらく、もうすぐここに警察が来る。だからその前に――――シュバルツの身体や部品だけを、片づけておいた方がいい」
「―――――!」
 ハヤブサのその言葉に、キョウジもようやく我に帰ったようだ。
「わ……分かった……」
「立てるか?」
「うん。ありがとう」
 ハヤブサが差し出した手を取り、キョウジはすっと立ち上がる。
「キョウジ、シュバルツの部品を集めてくれ」
 ハヤブサの言葉に、キョウジが「わ、分かった……」と、パタパタと歩き出す。それを見ながらハヤブサは、シュバルツの上に乗っている鉄骨を除けようとする。すると、鉄骨の下で、首の無いシュバルツの身体が、ぐ、ぐ、と、立ち上がろうとしているのが見えた。それを見たハヤブサは、思わず苦笑してしまう。

「いいから死んだふりをしていろ。身体くらい、俺が運んでやるから」

 その言葉を聞いたシュバルツの身体が、べシャッと潰れるように倒れる。この状態で起き上がろうとする事は、いくらシュバルツでも相当きつい様だった。
(それにしてもあの状態で動くって事は、やっぱり『生きている』ことになるんだよな……。だがあいつは一体どこで音を聞いて、どうやって身体に指令を出しているんだ?)
 そんな事を考えながらシュバルツの身体を鉄骨の下から引っ張り出す。抱きかかえてやると、その身体から耳慣れた駆動音がした。
(ああ、生きている)
 その音を聞いたハヤブサは、酷く安心する自分を覚える。
 首の無い身体。
 だけど、それは死体じゃない。ちゃんと、生きていると分かる。
 不老不死の、俺の恋人。
 とても――――愛おしかった。

「ハヤブサ、これで全部だよ」

 キョウジの声を掛けられて、ハヤブサははっと我に帰る。顔を上げると、段ボールの中に部品の様な物を詰め込んで抱きかかえているキョウジの姿があった。
「やはり、地下に行くのか?」
 ハヤブサの問いにキョウジは頷く。そのまま二人は、地下の研究室へと降りて行った。

 研究室の寝台の上に『シュバルツ』を寝かしつける。よく見ると、首以外にも、あちこちに深い傷を負っていた。それがハヤブサに、鉄骨とぶつかった時の衝撃の凄まじさを伝えてくる。
(……もう少し、注意して対処してやればよかった……。何故あの一本だけ、弾く事が出来なかったのか……)
 そう感じてほぞをかむ。己の未熟が悔しかった。

「大丈夫だよ。ちゃんと、治せるから……」

「――――!」
 優しく声を掛けられて、ハヤブサははっと我に帰る。振り返ると、優しく微笑んでいるキョウジの姿がここにあった。
「キョウジ……」
 笑顔のキョウジ。
 だけど、注意しなければならないとハヤブサは思う。
 この目の前の男は、本当にきつい時程―――こちらを安心させようとして、優しく笑ってしまう事を、自分はもう、知ってしまっているのだから。
 だけど、今は。

「キョウジ……シュバルツを治してやってくれ」

 そう言いながら龍の忍者は立ち上がる。
「それは勿論。でも、ハヤブサは………」
 これからどうするんだと問われる前に、ハヤブサは口を開いた。

「『後始末』は引き受けた」

 それだけを言い置くと、龍の忍者は地下室から出て行った。


 それから数分も経たないうちに、『事故』が起こった現場の交差点には、救急車やらパトカーやらが駈けつけてくる。周りにも野次馬やマスコミが集まりだして、近辺は、あっという間に人だかりの山が出来上がってしまっていた。そしてそれは、当然鉄骨の刺さったキョウジのアパートにも押し寄せて来て。

「大丈夫ですか!?」

 救急隊員と警察官が、キョウジの部屋に走り込んでくる。するとそこには
「あ……! はい……。私は、大丈夫です……」
と、少しびっくりしていると言った按配で座り込んでいる『キョウジ・カッシュ』の姿があったのだった。


 それから数刻して、キョウジの家の地下室に、「兄さん!!」と、叫びながら彼の弟であるドモン・カッシュが走り込んでくる。
「ド、ドモン!?」
 驚くキョウジの姿を見て、ドモンはようやく人心地がついたのか、ホッとその胸を撫で下ろしていた。
「良かった……! 兄さん、無事だったんだね!」
「あ、ああ。シュバルツやハヤブサが、私を助けてくれたからな……。それにしてもドモン、お前、どうしてここに?」
「どうしたもこうしたもないよ! 兄さん!! 昼食時にテレビを見ていたら、いきなり鉄骨の刺さったこのアパートが映し出されたから――――!」
 取る物もとりあえず、キョウジのアパートに走ろうと思い立った矢先に、いきなり懐の携帯電話が鳴る。慌てて出ると、それはキョウジが『入院した』と言う病院からだった。
「それで、慌てて病院に走ってみると、そこには兄さんに変装したハヤブサの奴が居て、本物の兄さんはこっちにいるって教えてくれたから……」
「そうか………」
 ドモンの話を聞きながら、キョウジは「後始末は引き受けた」と、言いながら部屋から出て行った龍の忍者の後ろ姿を思い出していた。つまり彼は、事故後に起こるごたごたの後始末を、一手に引き受けてくれていたのだ。自分の代わりとなって―――

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