農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 264 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/04/17 14:08   >>

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「あ、ああ……。大丈夫だよ……」
 弟に心配かけないように、慌てて笑顔を取り繕う。しかしドモンは、そんなキョウジの『笑顔』をじっと見つめて――――やがて、深いため息を吐いた。
「………大丈夫な訳無いだろ、兄さん。部屋があれだけ壊れていて、兄さんだけが無事って事は、シュバルツが兄さんを守ったんだろ?」
「……………!」
「それでシュバルツが、今も起き上がれないほどのダメージを受けたんだって、そんなの俺でも容易に想像できるよ。それで、兄さんがショックを受けていない筈がない」
「ドモン……!」
「そんなときに、無理して笑わなくていいよ、兄さん。俺は、大丈夫だから……」
「…………」
 キョウジはそんな弟を暫くじっと見つめていたが、やがて、柔らかい笑みをその面に浮かべた。
「分かった……。ありがとう、ドモン……」
 その笑みが、先程の笑顔と違ってとても自然で柔らかかったから――――ドモンの顔にも笑顔が浮かぶ。微笑みあう兄弟たち。その場の空気がしばし、穏やかな物になった。
(それにしてもシュバルツは……どうして、あんなに私から八つ当たられて、それでも傍から離れなかったのだろう?)
 ゆっくりと治っていくシュバルツの身体を見つめながら、キョウジは不思議に思った。普通のシュバルツであったなら、自分が最初に『1人になりたい』と言った時点で、あっさり1人にさせてくれる。だから、あんな風に口論じみた事になるなんて、普通だったらあり得ない。
 だがシュバルツは、頑なに自分の傍に居続けようとした。時計まで気にしながら。
 もしも、シュバルツがいつも通り自分の要求を聞いていて、1人にさせてくれていたならば――――自分のデスクのある窓際から鉄骨が飛び込んできた瞬間に、自分の人生は終わっていた事だろう。それを考えると背筋に寒気が走る。よくシュバルツは、あんな風に怒っている自分から、離れずにいてくれたものだ。

 それにしても何故だ……?
 シュバルツの一連の行動は、あの瞬間にあの事故が起きると言う事を分かっていたとしか思えない。
 どうしてシュバルツは――――

「う…………」

 やがてシュバルツが、低く呻いて身じろぎをする。
 どうやら、意識が覚醒するほどまでに、回復して来たようだった。

「シュバルツ……!」

 ゆるりと瞳を開けるシュバルツを、キョウジとドモンが覗き込む。
「……………」
 暫くこちらをぼんやりと見つめていたシュバルツが、唐突に跳ね起きた。

「キョウジ……!」

 そっと伸ばされてきたシュバルツの手が、キョウジの頬に触れる。
「シュバルツ……?」
 不思議そうにしながらも、キョウジがシュバルツのその手に触れた瞬間。

「キョウジ……! キョウジ……ッ!!」

 シュバルツがいきなり、キョウジの身体をガバッと抱きしめて来た。
「!? ちょっ……! シュバルツ!?」
 驚いたキョウジが悲鳴の様な声を上げるが、シュバルツの方は既に聞いていない。「キョウジ……!」と、その身体をぎゅっと抱きしめながら、涙まで流し始めている。
「シュバルツ……?」
「生きてる……! キョウジ……ッ!」
「―――――!」
「良かった……! キョウジ……! 良かった……ッ!」
 その後は言葉にならず、ただ、嗚咽を漏らし続けるシュバルツ。キョウジを抱きしめるその身体が、小刻みに震えていた。

「シュバルツ……」

 最初は驚き、戸惑っていたキョウジであったが、やがて、震えるシュバルツの背中に、そっとその手を回した。そのまま宥める様に慈しむように――――その背や髪を撫で続ける。

「う…………!」

 困ったのはドモンである。兄二人が仲睦まじいのは良いのだが、今、抱きしめ合っている兄たちの居るこの空間に――――自分は激しく邪魔になっているのではと感じてしまうのだ。
 そっと出て行くことも考えたが、今、下手に動いてしまったら、兄たちに気づかれてしまって―――――本当の『邪魔』になってしまうかもしれない。それだけは避けたいと思った。よく分からないが、シュバルツが珍しく感情を爆発させているのだから――――存分にそれをさせてやりたい、と、願った。
 だから彼は、兄たちから少し離れた所で背を向けて座って、なるべく気配を消して小さくなっている事を選択した。自分の存在に気づかれるのは、兄たちが落ち着いてからでいいと思った。

 そうして、どれくらいの時が流れた事だろう。

「……………」
 落ちついたのか、シュバルツがようやくキョウジから離れる。
「……落ち着いた?」
 そう声をかけるキョウジに、シュバルツはこくりと頷いた。
「済まないな……醜態を、見せた……」
 シュバルツの言葉に、キョウジはフルフルと首を振る。
「ううん……私の方こそ、ごめん……。貴方は、私を守ろうとしてくれていたのに――――」
「そんな事は良いんだ、キョウジ。それよりも、お前が無事で良かった……。守れて、良かった……」
「シュバルツ……」
 そう言うシュバルツの面に綺麗な笑みが浮かぶ。キョウジは少し気恥ずかしくなってシュバルツから視線を逸らして―――――そこでやっと、弟の存在を思い出した。

「え……ええ〜〜〜っと……シュバルツ?」

「どうした? キョウジ……」

「じ、実は……ドモンも、ここに居るんだけど………お前、気がついて、た?」

「えっ?」

 キョウジの言葉を受けて、シュバルツも辺りを見回す。そしてそこで、身体を小さく丸めて座り込んで、気まずそうにこちらを振り返って見ているドモンと、視線が合った。

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