農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 265 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/04/19 00:44   >>

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「―――――!」

 ギョッと固まるシュバルツに対して、ドモンは多少ひきつった笑顔を浮かべながら「に、兄さん久しぶり……」と、ひらひらと手を振る。それをしばらく茫然と見つめていたシュバルツであるが、いきなり無言で踵を返すと、そのままズブズブと、床の影に向かって身を沈めようとした。
「わ――――ッ!! 待って! 待って!!」
 それを、慌ててドモンとキョウジが二人がかりで止める。
「離してくれキョウジ!! ドモンの前であんな醜態をさらして、もう割と合わせる顔がない様な気が――――!!」
「そんな醜態だなんて思ってないよ! 兄さん!! とにかく落ち着いてってば!!」
「う………!」
 ドモンにそう叫ばれて、ようやくシュバルツも足掻くのを止める。

「とにかく礼を言わせてくれ、シュバルツ。……兄さんを守ってくれて、ありがとう」

 そう言ってドモンはシュバルツの手を、ぎゅっと握る。
「ドモン……!」
 ドモンの言葉を聞いて、シュバルツは多少ばつが悪そうではあるが、落ちついた様だった。
「それは……キョウジを守るのが、私の役目、だから……」
 そう言いながらシュバルツはゴホン、と、軽く咳払いをする。その頬が、少し赤く染まっていた。それを見て、ドモンとキョウジは優しく笑う。その部屋の空気が、少し和やかな物になった。
「そう言えば、ドモン」
「何? 兄さん」
 キョウジの問いかけに、ドモンは小首をかしげる。
「私に変装しているハヤブサを、1人にしておいていいのかな? そろそろ迎えに行ってあげた方が……」
「ハヤブサの傍にはレインがついている。心配はいらない」
「レインが?」
 少し驚くシュバルツにドモンが頷く。
「ああ。1人にするのも不自然だからって、レインがあいつの病室に残って、俺を行かせてくれたんだ。でもあいつ、怪我なんてしていないんだろう? 何時までも『入院』させておく事なんて、ない様な気が――――」

「心配するな。もう『退院』してきた」

 ドモンの言葉が終わらぬうちに、『キョウジ』がそう言いながら地下室の入り口から入って来る。その後ろからレインも続いて入ってきた。
「レインに口を利いてもらった。おかげで早く退院できたんだ」
 そう言いながら『キョウジ』は、べりっと音を立ててその変装を取る。その下から、リュウ・ハヤブサの素顔が現れた。
「ええ。私が医師免許を持っている事を伝えて――――そうしたら、私の看護付きで、退院してもらって構いませんって事になったの」
 そう言ってレインがにっこりと微笑む。場の空気が、少し華やいだような気がするのは気のせいだろうか。そんな事を感じさせてしまう程、この『レイン』と言う女性はとびっきりの『美人』であった。
「そうか……」
「世話になったな、レイン」
 レインの言葉に兄たち二人がにこりと微笑む。それにレインも「どういたしまして」と、笑みを返した。
「でも実際のところ……キョウジさんは大丈夫なの? もし、頭とか強く打っていたりしたら――――」
「私はぴんぴんしているよ。シュバルツが守ってくれたから、大丈夫」
 少し真剣に聞いてくるレインに、キョウジは笑顔で答える。
「それならいいけど……」
 しかし心配げな表情を崩さないレイン。やはり、医師として気がかりではあるのだろう。本当ならば、最低でも1日は、様子を見るために入院していて欲しい所なのだから。

「それよりも兄さん。今晩寝るところ、どうするんだよ?」

 ドモンのその言葉に、一同ははっと我に帰る。
「あれだけ窓やら部屋やらを破壊されたら、しばらくここで寝泊まり出来ないだろう? どうするつもりなんだ?」
 ドモンの言葉を受けて、ハヤブサも口を開いた。
「そうだな。今も外は現場検証のために、警察が規制線を引いている。本来ならば立ち入りは禁止だ。俺も『私物を取りに行きたいから』と言う理由で、警察に許可を得て入ってきたんだ。あまり長居は出来ないだろう」
 しかしキョウジは、それに対してあっけらかんと答えた。

「や、別に……。壊れた建物ぐらい、すぐ直そうと思えば直せるけど……」

 その言葉に、一同はズルッと、こけてしまう。
「に、兄さん……?」
 ドモンはただ茫然とし、シュバルツとレインは、懸命に痛む頭と格闘していた。

「いや……。キョウジ……。お前がそう言う事が出来るのは知っているが、今ここで、それをするのは止めておいた方が良い……。悪目立ちをするぞ?」

 キョウジを助けるためにここまで走って来る間に、散々悪目立ちをしまくった男が言う台詞ではないが、ハヤブサは一応『常識』の範囲を忠告した。この地下室に居る人間が全員割と『常識外』な物を持っている気がしないでもなかったが、一応それは、横に置いておいた。
「う〜ん……やっぱ駄目か」
 そうキョウジが苦笑しながら頷けば、
「駄目だろう。『常識』の範囲外だ」
と、シュバルツも頷く。
「そうね……。『常識』は、守らないとダメよね……」
 レインも苦笑しながら言葉を紡げば、
「『常識』……めんどくさいけどな……」
と、ドモンも頷いた。
(何か……シュールな絵面だな……)
 ハヤブサは妙な関心を感じながらも、話を進める事にした。先程も話したが、あまり時間がない。ぐずぐずしていると、警察が『キョウジ』を探し始めて、ここが発見されないとも限らなかった。

「住むところがないのなら、隼の里に来るのはどうだ?」

 ハヤブサは一縷の望みをかけて、そう提案する。実際里には客人を滞在させるための家もあるし、キョウジとシュバルツであるならば、里の者たちも歓迎するだろうと思った。

 そして何より旨く行けば、
 シュバルツと、褥を共に――――

 だがハヤブサの野望は、5秒で粉砕される事となった。
「隼の里かぁ……。残念だけど、職場から遠すぎるな……」

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