農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 266 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/04/20 15:03   >>

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 キョウジの言葉に、シュバルツも苦笑しながら頷く。
「そうだな……。確かに、ちょっと人里から離れ過ぎているよな……」
「〜〜〜〜〜〜ッ!」
 二人の言葉に、龍の忍者はがっくりと膝を付く。
(おのれ……ッ! 忍者の里の立地条件め……ッ!)
 そのまましくしくと泣き出してしまう。そんな龍の忍者を尻目にドモンが口を開いた。
「じゃあ兄さん! 家に来なよ!」
「えっ?」
 きょとん、とするキョウジの手を握り、ドモンはさらに続ける。
「な!? そうしなよ! 遠慮する事なんてないからさ!!」
「いや、しかし……!」
「そうよ、キョウジさん!」
 戸惑い気味になるキョウジに、レインも声をかけてくる。
「ドモンと二人であの家は、少し広すぎるわ! あの家は元々キョウジさんの家でもあるのだから、遠慮なんてしないで」
「いや、しかし……二人の新婚家庭を邪魔する訳には――――」
 そう言って尚も遠慮しようとしたキョウジであったが、結局ドモンとレインの説得に押し切られる形となった。ドモンとレインに潤んだ瞳で見つめられたら、それを無下には出来ないキョウジなのであった。

「話は決まったか? キョウジ。ならば必要な物を持って、なるべく早くここから出た方が良い」

 ハヤブサが、やれやれ、と、ため息を吐きながら立ち上がる。
「それもそうね。でも、出て行く時、どうすればいいのかしら。5人揃って出て行く訳にはいかないし……」
 そう言って考え込むレインに、シュバルツが微笑みかける。
「その辺は問題ないだろう。キョウジとドモンとレインの3人で、堂々と正面から出て行けばいい」
「分かった。でも、シュバルツ達はどうするんだ?」
 ドモンの問いかけに、シュバルツはにやりと笑う。
「ドモン。忘れたのか? 私とハヤブサは『忍者』だ。警察の目を盗んでここから脱出することぐらい、造作もない事だ」
 その言葉に、横に居たハヤブサもうんうんと頷く。
「あ………!」
「なるほど……確かに、二人なら容易いだろうね……」
 カッシュ兄弟も納得した所で、皆は頷き合った。

「じゃあ、ドモン、レイン、着替えとか取り出したいから、手伝ってくれる?」

 キョウジの言葉にドモンとレインが頷く。
「じゃあシュバルツ、ハヤブサ。気をつけてね。また後で――――」
 そう言い置いて、キョウジ達は地下室から出て行った。後には、忍者二人が残された。

「……良かったな。キョウジの時間を取り戻せて……」

 皆が出て行ったのを確認してから、ハヤブサがポツリと呟く。それにシュバルツは「ああ」と頷いた。
「で、シュバルツ……どうだった? キョウジはやはり、自分が『死んだ』後の事を、憶えているのか?」
「いや………」
 ハヤブサの言葉に、シュバルツはフルフルと首を横に振る。

「どうやら、憶えていないみたいなんだ……」

「――――!」
 驚くハヤブサに、シュバルツは少し苦笑気味の笑顔を向ける。
「驚く事はない。これは、キョウジも予測していた事なんだ。ハヤブサみたいに、生きたまま時を遡った場合は、記憶の引き継ぎは可能になるけど、私は死ぬたびに、記憶がリセットされていた。だから死した状態の自分は、時を遡って生き還った時、もしかしたら、記憶の引き継ぎが出来ないのではないかと――――そう、言っていた……」
「そうか………」
 シュバルツのその言葉に、ハヤブサは少し複雑な気持ちになる。あの不思議な世界で経験したいろいろな事を、キョウジと共有できないのは、少し淋しい気がした。
「でも、良いんだ。キョウジが無事ならば、それで――――」
 そう言うシュバルツの面に、優しい笑みが浮かんでいる。それを見て、ハヤブサもとても優しい気持ちになれた。
 自分もそうだ。
 どんな形であれ、キョウジとシュバルツが無事ならば――――こんなに嬉しい事はない。
「ハヤブサ……」
「どうした? シュバルツ」
 顔を上げるハヤブサに、シュバルツは少しすまなさそうな表情を見せる。
「済まないが、家の再建とかキョウジの雑事とかで暫く忙しくなる。ゆっくり会えなくなるが……構わないか……?」
「―――――!」
 その言葉に一瞬きょとん、としたハヤブサであったが、やがてその面にフッと笑みを浮かべた。
「ああ。構わない。仕方がないさ。あれだけの事故に遭ったんだ……。すぐに時間が取れぬのも無理からぬ話だ」
 ハヤブサの言葉に、シュバルツがもう一度「済まない」と、頭を下げようとする。ハヤブサはそれをやんわりと制した。今は、大変な時だ。そんな時に、自分がシュバルツの重荷になる事だけは避けたいと思った。自分は、彼の支えになりたいのだから。
 逢いたいのなら、自分が勝手にシュバルツに逢いに来ればいいだけの話だと思った。こんな事態だ。逢うための口実など――――それこそ、いくらでも出来るのだから。
(だが2週間も3週間も、シュバルツに触れられないとなるときついな……。無理やり押し倒さないように注意しなければ……)

「いつか必ず、お前とゆっくり話すための時間は作る」

 シュバルツのその言葉に、ハヤブサははっと顔を上げる。すこしはにかんだ表情のシュバルツと、視線が合った。
「その………今回起こったいろいろな事が、まだ私の中できちんと整理できていなくてな……。落ちついて、考えがまとまってきたら……必ず、お前と話をするから………」
「シュバルツ………」
 シュバルツの気持ちが、ちゃんと自分に向いている事が強く感じられて、ハヤブサは嬉しかった。彼への愛しさが、自分の中から溢れてしまう。
「だから………ん……っ!」
 だから気が付いたらハヤブサは、彼の唇を奪っていた。愛おしいヒトの身体を逃さぬように強く抱きしめ、その口腔を深く弄る。その舌を優しく吸ってやれば、愛おしいヒトから「は………あ………!」と、甘やかな声が上がった。
 腕の中で強張る身体に、こちらの体温も上がる。
 押し倒したい。
 奪い尽くしてしまいたい。
 だが
 今は――――

「………………」

 ハヤブサはそっと、シュバルツを解放した。
 未練はあるが、恐れる事はない。
 彼の『ココロ』は――――確かに、俺と共にあるのだから。

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