農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 255 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/04/04 00:05   >>

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 泣きじゃくるシュバルツを、キョウジは優しく抱きしめ続ける。
 すると、何処からか、シュバルツを呼ぶ声が聞こえてきた。

 ………ルツ……! ……シュバルツ……!

「…………!」
 ビク、と、顔を上げるシュバルツ。
「ハヤブサが呼んでる……」
 キョウジはそう言いながら、シュバルツからそっと離れた。
「キョウジ……!」
「ハヤブサが呼んでいる……だから、貴方は行かないと」
 そう言うキョウジの面には、優しい笑顔が浮かんでいた。
「ま……! 待て……! キョウジ……!」
 シュバルツは思わず、キョウジに手を伸ばしてしまう。
「何? シュバルツ」
 顔を上げるキョウジに、シュバルツは問いかけた。
「このまま、もう会えなくなるって事は……ないよな?」
 その問いに、キョウジはふっと、相好を崩した笑顔を見せる。
「あはは……大丈夫だよ。貴方とはきっと、またこうして夢の中で会えるから……」
「会えるのか……? 本当に……?」
 問いかけるシュバルツに、キョウジは笑顔を向ける。
「ああ。恐らく先程の『呪』で、貴方と私の間に通信のための『回路』が生まれている。だから、貴方が望めば―――――きっとまた、私たちはこうして、会話ができると思うよ。でも、今は―――――」
 キョウジはシュバルツをまっすく見つめて、口を開いた。

「『未来』で待ってる」

「―――――!」

「はるか『未来』で―――――私は貴方を待っているから」

「キョウジ……!」
「だから行って、シュバルツ。ハヤブサの元へ――――」
「キョウジ……ッ!」
「ハヤブサに、よろしくね」

 突如として辺りを、明るい光芒が包む。

 待ってる、シュバルツ――――

 未来で
 待ってるから―――――


 光芒の中、溶けるようにキョウジの姿が消えた。
 そして、自分を呼ぶハヤブサの『声』が、どんどん大きくなって行って―――――

「あ………」
 フッと、目を開けたシュバルツの視界に、心配そうにこちらを覗き込んでいるハヤブサの姿が飛び込んできた。
「ハヤブサ……!」
「大丈夫か? シュバルツ……」
 そう言いながらハヤブサは、シュバルツに手を伸ばしてくる。その手は、シュバルツの頬に触れて、そこに伝い落ちる涙を優しく拭っていた。
「………私は、どれくらい眠っていたんだ……?」
 ゆるゆると意識を覚醒させながら、シュバルツが問いかける。
「半刻も経っていないぐらいだ……。だからもう少し、寝かせてやっても良かったのだが……」
 申し訳なさそうに、龍の忍者は口ごもった。
「その………うなされて、泣いていたから……」
「……………」
 そろり、と、シュバルツが身を起こすと、身体の中から、先程の行為の名残が流れ出て来た。
(…………!)
 その独特の感触に耐えながら、シュバルツは自分が意識を失うまで、ハヤブサに嵐の様に愛された事を思い出す。その後で続けてみたキョウジとの『夢』―――――シュバルツは少し、混乱気味になっていた。
「どうした? シュバルツ……」
 また、涙をはらはらと流し始めた愛おしい人の様子に、ハヤブサは少し心配になる。
「ハヤブサ……」
 自分の呼び掛けに応えて、シュバルツが泣きぬれた瞳をこちらに向けて来た。素直に美しいと感じると同時に、胸が締めつけられた。

 悪夢にうなされる事が多いシュバルツ。
 夢の中でこのヒトを守れない自分が悔しい。
 どうして――――自分はいつも、このヒトの『悲劇』の傍観者でしか無いのであろう。
 それとも、先程の行為で、自分は少しこのヒトを苛めすぎたのだろうか。

「大丈夫か……? きつく抱きすぎたか……? それとも、何か悪い夢でも」
「ハヤブサ……!」
 ハヤブサがその頬に触れると同時に、シュバルツがためらうことなくハヤブサの胸の中に飛び込んできたから、ハヤブサは少し驚いてしまう。
「シュバルツ……?」
 ハヤブサは戸惑いながらも、シュバルツを抱きしめ返した。
「どうした……?」
「ハヤブサ……ッ!」
 ギュッと、縋られるようにシュバルツが身を寄せてくるから、ハヤブサの強くない理性が傾いでいきそうになる。それをぐっと堪えてシュバルツの背を優しく撫で続けていると、シュバルツがポツリポツリと言葉を紡ぎ始めた。
「夢を……見ていた……。キョウジの………夢………」
「シュバルツ………」
(生きていた頃のキョウジとの記憶を、夢見ていたのだろうか)
 ハヤブサは最初、こう思った。しかし、次に紡がれたシュバルツの言葉で、彼は衝撃を受ける事になる。

「キョウジから……『総て』を聞いた………」

「―――――!?」

「キョウジが死んでから………今に至るまでの『総て』を――――」

「な……………!」
 シュバルツの言葉を『理解』して、ハヤブサは激しく動揺してしまう。
「キョウジめ……! 余計な事を………ッ!」
 彼にしては珍しく、悪態を吐く言葉が出てしまう。

 先程『霊体』で出て来たキョウジ。あのキョウジが、シュバルツに総てを話してしまったのか。
 知らなくても良かったのに。
 俺が、二度もお前を助けられなかった事実など。
 知らなくても良かったのに――――!

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