農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 256 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/04/05 01:09   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0


「ハヤブサ……!」

 ぽろぽろと涙を零し続ける愛おしいヒト。対して、ハヤブサの動揺は深まるばかりだ。
 シュバルツを救えなかったが故の自分の苦悩。
 自分の涙。
 こんな事を、目の前のお人好しなこいつが知ってしまったら――――

「シュ、バル………んっ!」

 愛おしいヒトから唇を求められ、それを回避する術を持たないハヤブサは、そのまま受け入れてしまう。
 優しいが、熱い接吻(くちづけ)―――――
 それは、涙の味がした。

「……………」

 口付けを終え、そっと離れると、涙を零し続ける愛おしいヒトと視線が合う。その表情が素直に美しくて妖艶で可愛らしいから、ハヤブサは知らず、眩暈を覚えてしまう。
「ハヤブサ……!」
「シュバルツ……」

「どうすればいい……? 私はもう、お前に償っても償いきれないほどの『大恩』を―――――!」

 ハヤブサは咄嗟に、シュバルツの唇に自分の指を押し当てていた。まるで、それ以上言葉を紡ぐ事は許さない、と、言わんばかりに。

「『恩』だとか『義理』だとかで……俺はお前を、自分の横に縛り付ける気はないぞ?」

(嘘だ。本当は縛り付けたいけどな! 一生でもがんじがらめに俺の隣に縛りつけたいけどな!)
 ハヤブサの本心はそう主張する。
 こんな、義理と人情の塊のようなお人好しなこの男を、『恩』と言う鎖で縛りつける事が出来たなら―――――それこそ一生、こいつは俺に尽くして生きてくれるだろう。浮気などもせず、真面目に従順に―――――自分が一方的に搾取する関係になることすら、許してくれる確信があった。

 でも、それでは駄目なのだ。

 一方が一方を搾取して、『片方だけが幸せ』なんて関係にはなりたくない。シュバルツとは『対等』でありたかった。
 シュバルツにも、選ぶ権利がある。
 幸せになる権利がある。

「俺は、お前とは『対等』でありたいんだ」
 だから、そう告げた。
 これが、自分の心からの願いだ。

『選んで』欲しかった。
 俺の傍にいる事を。
 そして、幸せを感じて欲しかった。
 ……贅沢な望みかもしれないが。

 俺の傍にいる事が『苦痛』でしか無いのなら、シュバルツは逃げていいし、そうするべきだとハヤブサは思った。

「ハヤブサ……」

 ハヤブサのこの言葉に、しかし愛おしいヒトはどうしたらいいのか分からず、戸惑うばかりのように見える。ハヤブサは「やれやれ」と、ため息を吐いた。

「だいたいだな……。『助けられた』とか『恩を感じる』と言った類の物は、俺の方の台詞だ。今回の事件だって、俺はいったい何回、お前に助けられたと思っているんだ?」
「―――――!」
 びっくりして目を見開く愛おしいヒト。
「えっ……? 私はそんなに、お前を助けたか?」
(おいおい、こいつ本気で言っているのか?)
 あまりにも素っとぼけた事を言う愛おしいヒトに、ハヤブサはもう苦笑するしかない。よく「人に施した『恩』は忘れなさい」と、言われる物だが、まさかそれを『地』でやってのけている奴が目の前にいるとは思わなかった。
 ハヤブサは頬をひきつらせながらため息をつくと、目の前で指折り数えてやる事にした。
「まず時空の道で、お前は自分の身を犠牲にして、俺と左慈を助けただろう」
「…………!」
 シュバルツは少し驚いてから、慌てて首を振った。
「いやあれは……! もう身体は結界の外に放り出されていた訳だし、ああした方が手っ取り早いと思ったから――――!」
 しかしその言葉が終わる前に、ハヤブサはもう次の言葉を紡ぐ。
「骨折した俺の足の手当てもしてくれたし」
「け、怪我した人が目の前にいたら、手当てするのが当たり前――――」
「本当に死ぬまで、俺の事を守ってくれるし」
「う……! それは………!」
 さすがにこれには、シュバルツも旨い言い訳の言葉が出て来ない様だった。言葉に詰まって四苦八苦している愛おしいヒトに、ハヤブサは更にたたみかけた。
「これ以外にも、お前に俺が助けられた事を上げて行ったらきりがないぞ? これだけの『恩』を受けているんだ。それこそ俺は、一生お前に――――」
「止めてくれ!!」
 大声を上げたシュバルツに、ハヤブサもとりあえず押し黙る。震えるシュバルツを、見守ることにした。
「そんな……! 『恩』とか『義理』を感じて、私に縛り付けられるような真似をするのは止めてくれ……! そんなのはおかしい……! 不自然だ……!」
(ああ、同じ事を言っているな)
 そう感じて、ハヤブサは苦笑する。

 シュバルツと自分の考えは――――結局同じなんだ。

「『恩』を売るつもりなどない。私は自分のためにやっているだけだ。単に、お前を目の前で失うのが嫌だから――――」
「俺も同じだよ、シュバルツ」
「…………!」
 驚いて顔を上げるシュバルツに、ハヤブサは微笑みかけた。
「俺もお前を失うのが嫌だから、動いていただけだ。俺だって、自分のために『選んで』ここにいる」

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

されど、龍は手を伸ばす。 256 ――無双OROCHI異聞録――― 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる