農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 258 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/04/07 01:03   >>

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 忍者たちは身支度を整え、そして立ち上がる。

「じゃあ、行こう。シュバルツ」

 ハヤブサに続いて、シュバルツも歩き出す。
 自分の目の前を歩く、龍の忍者。
 シュバルツはその後ろ姿を見つめながら、自分はこれから先も、この目の前の男を勝手に愛し続けてしまうのだろうな、と、感じていた。

 例え、ハヤブサの気持ちが自分から離れて行ったとしても。
 彼が死んでしまったとしても――――

 想い続けてしまう事を、どうか許して欲しいと願った。
 それだけの物を、もう自分はハヤブサから受け取ってしまったのだから。

 ただ、自分は『人外』なのだから、その辺りはわきまえて――――

「シュバルツ」

 いきなりハヤブサに声を掛けられて、シュバルツははっと、我に返る。
「な、何だ?」
「少し、気になった事を聞いても良いか?」
「? あ、ああ。いいぞ?」
 小首をかしげながらもシュバルツは頷く。
「その『形代の石』の事なのだが――――」
 ハヤブサは少し躊躇ってから、シュバルツに問いかけて来た。
「長老に預けた時は、そんな風に割れてはいなかったよな……。なのに、割れていた石。そして、左慈が言っていた『感じられなくなった波動』………。もしかして、お前が助かった事と、その石の間に、何か因果関係があったりする、のか?」
「―――――!」
 シュバルツは一瞬その表情を強張らせたが、やがて覚悟を決めたかのように、その面に穏やかな、だが少し憂いを帯びた笑みを浮かべた。

「ああ……。この『土地神』が、自分を犠牲にして、私を助けてくれたんだ……」

「な―――――!」
 予想外のシュバルツの言葉に、ハヤブサは衝撃を受けてしまう。いろいろな想いが自身の中で渦を巻くが、とりあえず一番率直に思った事が、口からポロっと出てしまっていた。
「『土地神』………本当に『居た』のか……?」
 居てもいなくても、偶像を信仰の対象として祀りあげる。
 八百万の神の信仰がある日本ではよくある話なので、ハヤブサは土地神の存在自体も、正直信じてはいなかった。だが、シュバルツのその言葉には、流石に動揺が隠せなかった。
「ああ……。可愛らしい、子供の様な容姿をしていた神様だったよ。キョウジがずっと、その神様の傍についていた様なんだ……」
「…………!」
「その神様と共に、キョウジは私たちの戦いを、ずっと見守ってくれていたんだ……。そして、三度目の戦いで私が死にかけたあの時に――――」
 ハヤブサはシュバルツのその言葉で、いろいろと察してしまう。

 本来ならば死にゆく筈だったシュバルツの運命を覆す。
 天地の理をひっくり返す『奇跡』の代償として、その土地神は
 自分の『命』を差し出したのだと――――

 それ故にキョウジは、あの時涙を流していた。
 惜別の涙を。哀しみの涙を。
 何てことだ。
 自分はそんなキョウジの心情を気づきもせずに――――!

 そう思いながらハヤブサがふと顔を上げると、石をじっと見つめているシュバルツの瞳からもまた、涙が零れ落ちていた。
 自分が助けられた事に、こんな犠牲が伴ってしまった事実――――まだ彼の中で整理し切れていないのだろう。

「ハヤブサ……。私は本当に、どうしたらいいんだろうな……。この土地神に対しても、村人たちに対しても―――――」

 その言葉が終わらぬうちに、ハヤブサに抱きしめられたから、シュバルツは驚いてしまう。
「ハ……ハヤブサ……?」
「シュバルツ……」
 ハヤブサは更に強くシュバルツを抱きしめると、言葉を紡いだ。
「劉備殿の城に寄る前に、あの村の社へ行こう」
「――――!」

「そして俺に、侘びを言わせてくれ……! 正直俺は、土地神の存在事態あまり信じていなかった。それどころか、少し悪いイメージすらあった。それをまず詫びたい」

「ハヤブサ……」
 ハヤブサの告白を聞きながら、それは無理もない事だろうなと、シュバルツは思った。
 ハヤブサは、神をも滅する龍の忍者。幾度も『神』と呼ばれる存在の者たちと戦ってきたであろうハヤブサであるが故に、『神』と言う存在と言葉に良いイメージが持てなかったとしても、それは仕方のない事だと思うのだ。

「そして、礼を……! どんな形であれ、お前が助かってくれた事は、俺にとっては何者にも代えがたくて、幸せな事なんだ……! お前を、失わなくて良かった。本当に、心からそう思っているから……!」

 俺の大事なヒトを助けてくれて、ありがとう。
 そう礼を言いたいと、ハヤブサは言った。

「大切にする……! シュバルツ……!」
「ハヤブサ……」
「俺は命ある限り……助かってくれたお前の『命』を、大切にするから……」
「…………!」

 だから、礼を言いに行こう。
 そう言うハヤブサに、シュバルツも一も二もなく頷いていた。
 ふと、そんなシュバルツの耳元を、優しい風が撫でる。

 ―――生きなきゃ駄目だよ、シュバルツ。

 風の中、優しい声が、シュバルツの耳に確かに届いた。

 『命』を繋いでくれた屁舞留のためにも
 貴方は、ちゃんと生きなくちゃ

(キョウジ……!)
 光の中、微笑んでいるキョウジの姿が、見えた様な気がした―――――。

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