農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS ただひたすらに、君を想う。 28

<<   作成日時 : 2015/07/20 23:47   >>

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 その為には、覚悟を決めねばならぬ。
 ハヤブサの総てを引き受ける覚悟を。
 霧幻天神流の総ての者たちを、敵に回す覚悟を。

 だがこれは、自分の生みの親でもあり、分身でもあるキョウジを巻き込みこんでしまう事も意味する。

(いいのだろうか)
 シュバルツは躊躇いを覚える。
 自分は良い。自分は、元々キョウジの『影』にして『忍者』 自分の成り立ち自体も特殊で、ある意味闇の世界に生きるしかない存在なのだから。
 だけど、キョウジは違う。
 キョウジは普通の人間で、デビルガンダムの呪いの様な物から奇跡的に解放されて、ようやく平穏な生活を手に入れた所なのだ。それを、自分のわがままで、再び闇の世界に引きずり込むような真似をする事は、果たして許される事なのだろうか。

 わがまま。
 そう、これは自分の我がままだ。

 ハヤブサを手放したくない。
 添い遂げたい。
 そう願う、自分の全くの我がままだっだ。

 いいのか。
 本来ならば、ハヤブサに相応しいパートナーが現れた時点で、自分は、身を引かねばならない存在の筈なのに。

 だが―――――

「シュバルツ……! シュバルツ……!」

 あのような状態になっても、まだ自分の名を呼び続け、手を伸ばし続けるハヤブサ。
 お前が、そうやって私に手を伸ばし続けてくれるのであるならば――――
 自分が、それから逃げてはいけないと思う。
 同じように手を伸ばし、それに応えなければならないと、思うのだ。

 そのためにも、キョウジの意見を聞きたい。
 キョウジの気持ちを知りたい。
 自分の『ココロ』は、間違った物なのだろうかと。

(キョウジ……!)

 疾走するシュバルツの姿を、月明かりが優しく照らし出していた。


 キョウジが大学から帰って来ると、部屋の中でシュバルツが待ち構えていた。

「シュバルツ、帰っていたのか」
 キョウジの言葉に、シュバルツが「ああ」と答える。その様子に何かただならぬものを感じたのか、キョウジはデスクに座りカバンを置くと、すぐにシュバルツの方に向き直った。
「どうしたんだ? シュバルツ」
「えっ?」
「顔色がよくないな……。もしかしてハヤブサが、相当悪い事に巻き込まれているのか?」
「……………!」
 キョウジの指摘に、シュバルツは本当に驚いてしまう。自分は、普通にしていたつもりだが――――そんなに、自分は分かりやすい表情をしていたのだろうか。だんだん自分のポーカーフェイスに自信が無くなってくるシュバルツに、キョウジは少し苦笑した。
「心配しなくても大丈夫だよ、シュバルツ。貴方のそんな僅かな変化に気づくのは、私ぐらいな物だから」
(もしかしたら、ハヤブサも気づくかもしれないけどね)
 キョウジはそう思ったが、口には出さなかった。自分は、シュバルツの『製作者』―――――ある意味『親』の様な物だ。だから、子どもの僅かな変化にも、気づきたいと願っている。
「よかったら、話してくれないか? シュバルツ……。何か、私が力になれる事が、あるかもしれないし」
「キョウジ……」
 シュバルツはしばらく、キョウジの方を見つめていたが、やがて何かをあきらめたように小さくため息を吐いた。
(キョウジには、本当に隠し事が出来ないな)
 そう感じて苦笑する。
 しかし、深い所で包み隠さず、本音で話す事が出来る相手がいると言うのは、シュバルツにとっては素直にありがたい事だった。
「分かった、キョウジ……。総てを話そう。お前に、判断を仰ぎたい事もあるし――――」
 こうしてシュバルツは、キョウジに話し始めた。霧幻天神流の頭首、ハヤテの事。ハヤテとハヤブサの関係、そして、今ハヤブサが置かれている状況を――――

 シュバルツが話している間、キョウジはじっと聞き続けていた。
 そして、シュバルツの話が一段落した所で、おもむろに問いかけて来た。

「シュバルツは……どうしたいの? ハヤブサとの事を……」

 いきなり核心に斬り込んでくるキョウジに、シュバルツは一瞬、返答する事を躊躇う。
 だが、自分の持つ『答え』は既に決まっている。だから後は、一歩踏み出すだけだった。
 自分の選んだ『答え』が、正しいのか間違っているのか、それは、分からないけれども。

「私は……ハヤブサに、手を差し伸べようと思っている……」

「―――――!」
 キョウジが、少し驚く気配を感じ取りながら、シュバルツは言葉を続けた。
「あんな風になってもハヤブサが、私の名を呼び続けてくれているのなら―――――私は、それに応えなければならないと思うんだ」
「シュバルツ……!」
「勿論、道義的に問題がある状況なのは分かっている……。そして、本来ならば、自分が身を引かねばならない状況であることも」
「…………!」
 そう。
 ハヤテと自分。
 『人間』と、歪な物で構成された『アンドロイド』
 どちらがハヤブサの恋人に相応しいかなど、考えるまでも無く答えは出ている。

 それでもハヤブサが、私を求め、その手を伸ばしていると言うのなら。
 自分は、その手の受け皿になるべきだと思う。そうしなければ―――――きっともう、誰も前には進めない。その場に立ち止まり続けて、やがて、自滅してしまうだろう。
 ハヤブサには、選択肢が用意されるべきだ。
 そして、彼自身がそれを選びとるべきなのだ。

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