農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS ただひたすらに、君を想う。 30

<<   作成日時 : 2015/07/27 00:08   >>

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「シュバルツ」
 キョウジがシュバルツに、手を差し伸べる。シュバルツがその手に己が手をそっと添えると、キョウジがぎゅっと握りかえしてきた。

「大丈夫……。恐れないで。貴方が貫こうとしている道を、迷わないで」

 手から流れ込んでくるキョウジの『心』は、ただただ温かくて優しい。シュバルツは瞳を閉じて、それを感じ取っていた。

「貴方は、決して独りではない。どんな時でも、どんな事になろうとも―――――私は、貴方を支えるから」

 キョウジの心は優しく、シュバルツのココロを包み込んでくれる。
 いつも、いつでもキョウジの心は、確かに自分の力になる。勇気になる。
 どうして――――こんなにも、彼の言葉に救われるのだろう。

「貴方のために、そして、ハヤブサのために………行っておいで」

 ありがとう、キョウジ。
 そう言い置いて、シュバルツはキョウジの前から姿を消した。


「あやね。居るか?」

 夜半に、以前あやねと会った場所でシュバルツが呼びかけると、あやねはすぐに姿を現した。
「こちらの腹は決まった。済まないが、もう一度ハヤブサの所に手引きしてくれないか?」
「分かったわ」
 あやねは軽く頷くと、すぐに言葉を続けた。
「手配に少し時間がかかるかもしれないが、出来次第声をかけるわ。だから、それまで待っていてくれる?」
 それにシュバルツが「ああ」と頷く。それを確認してから、あやねはシュバルツの前から姿を消した。

(ハヤブサ……)

 誰もいなくなった森の中で、シュバルツは独り、ハヤブサに想いを馳せる。
 鎖につながれ、喘いでいたハヤブサ。こんな事を想ってしまっては不謹慎なのだろうが、その姿はとても妖艶だった。そして、素直に美しいと感じた。
 知らなかった。
 誰かに抱かれるハヤブサの姿が、あんなに綺麗だったなんて――――

 そんな想い人の姿を見て、シュバルツも何かを感じたり、思ったりしない訳ではない。
 だが―――――

(私がハヤブサを抱く……?)
 そこに思い至ると、シュバルツは戸惑ってしまう。そんな事は許される筈もないと思った。自分の、呪われているも同然の物をハヤブサの中に流し込むなんて―――――それこそ『悪魔』の所業ではないか。
 いくら自分と触れ合い、そして抱いても平気なハヤブサであると言っても、それとこれでは接触の仕方も浸食のレベルも、比べ物にならない様な気がした。やはり駄目だ。自分がハヤブサを、抱く事など出来ない。
(それに……)
 鎖に縛られている状態を受け入れているハヤブサ。あの程度の鎖であるなら、彼が本気を出して逃げようと思えば逃げられるだろうに。彼が、あえてそれをしないと言う事は。
 何かを人質として取られて、身動きの出来ない状態になっているのか。
 それとも―――――

 ハヤテを傷つけたくなくて、敢えてそれに縛られているのか。

 もしも、ハヤブサの縛られている理由の中に、後者が色濃くあるのだとしたら。
 彼は、私が手を差し出した所で、その手を取ることはないだろう。ハヤテと共にある事を選ぶ筈だ。
 だとしたら、これはハヤブサの気持ちに踏ん切りをつけさせるための行為。
 自分たちの関係に終止符を打つための、『儀式』の様な物になるのだ。

 そういう意味でも『覚悟』を決めねばならぬとシュバルツは思った。
 ハヤブサを、失ってしまう覚悟を――――

(きついな……)
 彼の愛情を失ってしまうのは、正直辛い。
 それでも。
 それでも――――今、ハヤブサの二つに裂かれてしまっている心を、修復する事が出来るのなら。
 彼のその後の人生が、幸せな物になるのなら。

 自分が身を引く事など―――――容易い事だった。

 大丈夫。
 ハヤテは、ちゃんとハヤブサを愛している。
 それを受け入れられれば、ハヤブサは充分幸せになれる筈だ。
 恐れる事は何もない。
 自分はただ――――ハヤブサの幸せだけを、願っているのだから。

 ツキリと痛む自身のココロを宥めながら、シュバルツは独り、森の中に佇んでいた。


(あれから、幾日が過ぎただろう)
 座敷牢の窓から差し込む僅かばかりの月明かりを眺めながら、龍の忍者はぼんやりと考えていた。大分夜も更けて来たが、ハヤテはこの部屋に姿を現さない。今宵のハヤテの来訪はもうないのだろうなと、ハヤブサは思った。
 ハヤテはこの里の頭首として、大変忙しい毎日を送っている。自分を抱きに来るのは、まとまった時間が取れた時だけの様だった。
 その時は、自分をがっつく様に求めてくるハヤテ。
(きっと、必要なのだろうな)
 ハヤテの行為を受け入れながら、ハヤブサは漠然と考えていた。その気持ちは自分にも覚えがあったからだ。
 自分がシュバルツを抱く時も、がっつく様に抱いていた。彼の中の光に触れたくて、その優しさが、確かに自分の方に向いているのか確かめたくて――――
 それが故に、何度も抱いた。確かめるように、執拗に暴き立てた。
(しょうがない奴だな)
 そう言って苦笑しながらも、優しく抱きしめてくれるシュバルツが、好きだった。
 自分にとっての『シュバルツ』が、ハヤテにとっての『自分』に当たるのだろう。どうしてそうなるのかは理解に苦しむが、無下にはできないと思った。ハヤテは幼馴染で、自分にとっては大切な『友人』だったから。彼の役に立ちたいと願う自分の気持ちは、今も昔も変わらないのだから。

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