農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS ただひたすらに、君を想う。 32

<<   作成日時 : 2015/07/29 00:18   >>

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「だから、ハヤブサ……」
 シュバルツがもう一度、手を伸ばしてきた。
「……触れても、良いか……?」
「―――――!」
 ハヤブサが身を引こうとするよりも早く、シュバルツの手が、ハヤブサの頬に触れて来た。
「シュバルツ……!」
 頬に触れてくるシュバルツの手は、ただ、優しい。ハヤブサは、堪えに堪えていた物が、ついに、溢れだして来てしまった。
「シュバルツ……ッ! シュバルツッ!!」
 叫びながらハヤブサは、シュバルツの胸に飛び込む。その身体に縋りつくと、シュバルツも優しく抱きしめ返してくれた。
「あ………! あ…………!」
 後から後から溢れてくる涙。ハヤブサは、それが流れるままに号泣した。
 懐かしい匂いがした。
 優しい感触に包まれた。
 自分は――――ずっとこうしたかったのだと、気づく。

 ああ―――――
 やはり、死ぬほど
 愛おしい――――――

 そうして、どれぐらい泣き続けた事だろう。

 少しずつ落ち着きを取り戻してきた自分に、シュバルツが優しく声をかけて来てくれた。
「……落ち着いたか……?」
「ああ………」
 優しく温かいシュバルツの胸。
 ずっと、ここでこうして居たいと、願う。
 だけど、もう自分には、そんな資格など無い、と言う事を、ハヤブサは分かり過ぎるほど分かっていた。だからハヤブサは、シュバルツの腕の中からそっと、抜け出した。
「ありがとう……シュバルツ……。会えて、嬉しかった……」
「ハヤブサ……」

 もう充分だ。
 だから、ここから出て行ってくれ――――と、ハヤブサが言うより先に、シュバルツが口を開いた。

「私の質問に、答えてくれハヤブサ」

「質問?」
 少し小首を傾げるハヤブサに、シュバルツが頷いた。
「ああ……。だいたいの事情は、協力してくれている人から聞いたが――――私は、お前の口からはっきりと聞きたい」
 はっ、と、表情を強張らせるハヤブサに、シュバルツからの質問は続いた。

「お前は………ハヤテ殿に、抱かれているのか?」

「―――――!」
 いきなり核心を突いてくる質問。
 ハヤブサは少し躊躇ったが、頷くしかないと悟った。
「ああ……。そうだ………」
 ここに捕らえられてからずっと、自分はハヤテに抱かれ続けている。今の自分の身体は、頭の先から足の先まで、ハヤテの刻印が刻まれているも同然だった。
 そうか、と、小さく返事をしたシュバルツが、再び口を開いた。
「ではハヤブサ……。この鎖――――」
 そう言いながらシュバルツが、自分を繋いでいる鎖の一つを、じゃらりと音をさせながら手に取る。
「お前の力量なら、この程度の鎖、断ち切れぬ事はないだろう。それを、敢えてしていないのは、何故だ?」

「――――――!」

 これにはハヤブサも、本当に絶句するしかない。
 確かにそうだ。この程度の鎖なら、自分は、簡単に断ち切ることができる。だが敢えて、ハヤブサはそれをしていなかった。
 その理由は―――――

「隼の里か……? それとも、『キョウジ』か………?」

「……………ッ!」
 シュバルツの鋭すぎる指摘に、ハヤブサは言うべき言葉を失ってしまう。

 どうして
 どうして、この愛おしいヒトは
 自分の総てを、こうもあっさり見抜いてしまうのだろう。

「やはり、そうか……」

 ハヤブサから返事が返って来ない事で、シュバルツは更に確信を深めた。
 やはりハヤブサの繋がれている理由の一つに、『人質』は確かにある。
(だが、それだけじゃないだろう……? お前が繋がれている理由は……)
 今からそれを、自分は確かめねばならぬとシュバルツは思った。そうしなければ、ここからハヤブサを連れ出すことも、自分が身を引くこともできない。前に進むためにも、ハヤブサが鎖に繋がれる事を選択している『真の理由』と、向き合わねばならぬのだ。
 その上で、ハヤブサは選ぶべきと思った。
 自分と生きるのか。
 それとも、ハヤテと生きるのか。
 その未来を―――――

 例え、ハヤブサがどのような未来を選ぼうとも、幸せになって欲しい。
 自分の願いは、それしかないのだ。
 そう思うと―――――ココロが少し、軽くなった気がした。

 シュバルツは覚悟を決めると、一つ大きく息をした。

 待っていろ、ハヤブサ。
 今―――――お前を縛る『人質』と言う鎖を、断ち切ってやる。

 シュバルツが背中に背負っていた刀を持ち替えて、居合抜きの構えをする。
(斬られる……?)
 ハヤブサは漠然と思ったが、何故か恐怖は感じなかった。

 斬られるのなら、それで良かった。
 寧ろ、愛おしいヒトに引導を渡されるのなら―――――

 それはきっと、本望だった。
 

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