農家の嫁の日記

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zoom RSS ただひたすらに、君を想う。 21

<<   作成日時 : 2015/07/06 15:40   >>

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「そうか……。やっぱりなぁ」
「リュウさんも大変だなぁ」
「しかし……あちらの里の忍者たちも手こずって、リュウさんも帰って来られないなんて、一体、どんな事が起きているんだ……?」
「手紙には『心配無用』と書いてはいるが……」

「その手紙、見せてもらっても良いか?」

 皆がそれぞれ話している所に、シュバルツが声をかける。「良いですよ」と、喜助がすぐにハヤブサの手紙を渡してくれた。
「…………」
 目に映るのは、確かに、ハヤブサの筆跡の手紙だ。文章も普通で、特段、変わったところはない。
 だが、あまりにも普通すぎる手紙に、シュバルツは却って異常な物を感じた。
 こんな普通の手紙を書く事が出来るハヤブサが――――何故、自分にだけ、連絡をよこして来ないのだろう。
(行き違ったのだろうか)
 もしかしたら、ハヤブサからの連絡が自分の所に入っていて、それに自分が気が付いていないだけかもしれない可能性も考える。しかし、あれだけ確認を重ねたのだ。それでも見落としていると言う事は考えにくい。
 キョウジからの連絡も、未だに無い。彼の方にも、おそらくハヤブサからの連絡は入っていないのだろう。

 じゃあ、この『普通すぎる』手紙は一体。

 シュバルツがそう思いながら手紙を見つめていると、手紙から、微かに『声』が聞こえて来た。

(……………)

「―――――!」
 手紙を書く時、文字を書く時――――人は、多かれ少なかれ、それに『ココロ』を込める。そして、シュバルツを構成する『DG細胞』は、人の『ココロ』に感応する細胞だ。
 その声を「聞いてしまった」シュバルツは、やはり、ハヤブサが何らかの異常事態に巻き込まれてしまったのだと確信する。知らず、手紙を持つ手に力が入っていた。

「しかしどうする? 我々も何人か、天神流の里の方に様子を見に行った方がいいんじゃないのか?」

 喜助の声に、シュバルツははっと我に帰る。
 顔を上げると、喜助の言葉に小六が首を振っていた。
「いやあ、止めておいた方がいい。天神流の里は、うちの里と違って、忍びの規律が厳格だ。おまけに、余所者にもかなり排他的だ。あの里に出入りを許されているリュウさんの方が、余程稀な存在だと思っておいた方がいいと思うがな」
「それはそうかもしれないが――――」
 小六の言葉に喜助が苦い顔をする。
「それでも、リュウさんがすぐに帰って来られない程の事が起きているんだろう? 手助けぐらい求めても――――」
「そうは言ってもなぁ……。あそこの忍者たちはみな優秀だし……」
「そうそう。俺らが行っても逆に足手まといになりかねないよ」
 小六の言葉を受けて、颯太があっけらかんと答える。

(そうか……)

 喜助達の話を聞きながら、シュバルツは状況を整理して行く。どうやら霧幻天神流の里に潜入しようとする事は、相当骨が折れる作業になりそうだった。

「しかし残念だな。ハヤブサがいないのなら、私は退散するとしようか」

 与助に手紙を返しながら、シュバルツは面に笑顔を浮かべる。それに対して与助は、少し残念そうな表情をした。
「帰られるんですか? もっと、ゆっくりして行ってくださっても良いのに」
「そうですよ! 子どもたちも喜ぶし!」
「後でリュウさんが聞いたら、絶対に悔しがるだろうなぁ。『お前たち! 何で引き留めておいてくれないんだ!』って……」
「リュウさん、本当にシュバルツさん一筋だからなぁ」
 忍者たちの話にシュバルツも苦笑するしかない。

「じゃあまた」

 そう言って帰ろうとするシュバルツを、与助が引き留めた。
「シュバルツさん。もし、リュウさんに伝言なら、私が承りますが……」
「いや、キョウジからの伝言なのでな。ハヤブサに直接伝えたいんだ。また、出直してくるよ」

 シュバルツはそう言って、隼の里を後にした。


(やはり、もう間違いない……。ハヤブサは、何らかの異常事態に巻き込まれている……)

 歩きながらシュバルツは思った。ハヤブサは今――――無事でいることは確かだが、自分の意志では身動きが取れない状態にあるのだと。隼の里に届いたあの手紙が、総てを物語っていた。里の者たちに余計な心配をかけたくない、と言うハヤブサの気持ちが、痛いほど伝わって来ていた。
 そして――――

(……タスケテ……)

 本当に微かに聞こえて来た、小さな小さな声――――
 この声を自分は、聞いてしまった。
 誰にも気づかれない。そして、自分だけが分かる、このハヤブサの『異常事態』
 いや、分かる様にハヤブサが仕向けてくれていたのかとも考えられるが――――

 分かるのならば、動かねばならぬとシュバルツは思う。

 もう自分は何度も何度も、ハヤブサに助けてもらった。
 だから、自分がハヤブサに救いの手を差し伸べる事に、躊躇う理由は全くないのだ。

(しかし……『霧幻天神流』とは全く縁もゆかりも無い私が、どうやってあの名だたる忍者の里に接近する……?)
 シュバルツの情報収集能力もそれなりにある。少し調べれば、霧幻天神流の里の位置も、問題なく特定できるだろう。
 だが、問題はその後だ。
 正当な理由も無く、あの里に近づく事はおそらく出来ないだろう。どの忍者の里もそうだが、里の防衛網の備えは、それなりにあるとみて良かった。

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