農家の嫁の日記

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zoom RSS ただひたすらに、君を想う。 22

<<   作成日時 : 2015/07/10 13:53   >>

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 自分が霧幻天神流の里に潜入して、見つかって、そして殺されてしまうのは一向に構わない。だが、捕まって、ハヤブサの足手まといになってしまう事だけは避けねばならぬと思った。助けに行って、逆に迷惑をかけてしまうなど、論外だ。
 ただ、霧幻天神流の頭首ハヤテとハヤブサは幼馴染だった筈だ。天神流の里と隼の里に、敵対関係がある訳でもない。それが、何故ハヤブサの『自由意思』が奪われるような事態に―――――
(……………!)
 ここでシュバルツは、駅で見かけた時の、ハヤテの、ハヤブサに向ける眼差しを思い出す。
 ハヤテは、とても優しい眼差しでハヤブサを見つめていた。

 ――――好きだ……

 その眼差しが、声なき声で、ハヤブサにそう訴えかけていた物だとしたら。

(まさか……?)

 ハヤブサがハヤテに捕らえられている――――そんな嫌なヴィジョンが、一瞬、頭の中によぎって、シュバルツは慌てて頭をふってそれを否定する。
 いや、まだだ。
 まだ、断定はできない。
 本当に――――霧幻天神流の里が危機に陥っていて、あの里に居る者たち全体が、己が自由意思で行動できなくなっている可能性も、否定できないのだから。

(とにかく、霧幻天神流の里について、もう少し情報を集めよう。そうしなければ接近も出来ない)

 シュバルツはそう決意して、ハヤブサといつも落ち合っている例の森へと足を向ける。
 里に、己が手紙を出す事が出来たハヤブサ。
 だからもしかしたら――――あの『例の場所』に、何らかの方法で、彼から連絡が入っているかもしれないのだ。
 森まで走り、一縷の望みをかけてその場所を見るシュバルツ。

 だが、やはりと言うべきか――――
 ハヤブサからの手紙は、無かった。

(ハヤブサ……!)

 シュバルツは拳を握りしめて、空を見つめるよりほかなかった。


 それから更に数日が過ぎた。
(霧幻天神流の里の位置は特定できた……。後は……)
 忍びこむルート、逃走経路の確保、やらねばならぬ下準備は多岐にわたる。
 調べている間に、霧幻天神流の里自体が、何らかの異変に巻き込まれたと言う話は聞かなかった。だから、『異常事態』が、ハヤブサだけにピンポイントで起きている物なのか、それとも里の中全体でそれが起きている事を、外部に漏れないよう厳重に秘されている物なのか、それは分からない。
 ただ、相手は名だたる忍者集団の里だ。準備をしすぎてもしすぎる事はない。
(ハヤブサが無事かどうか、確認するだけだ……。そうすれば……)
 とりあえず無事であるならば、霧幻天神流の者たちと事を構えるつもりはない。自分は、すぐに退散するつもりだった。
 そう考えながら歩を進めていたシュバルツの足が、ピタリと止まる。ある異変に気付いたからだ。

(……………?)

 シュバルツの足が止まったのに合わせて、彼を尾行していた者の足もピタリと止まる。
(……何だ……?)
 唐突に足を止めたシュバルツの意図が読み切れなくて、尾行者は戸惑う。刹那――――シュバルツの姿が、フッと消えた。
「――――!?」
 尾行者が慌ててシュバルツの後を追おうとする、その背後に、いきなり彼は現れた。

「私に、何の用だ? 先程からつけて来ているようだが」

「――――ッ!」
 相手は小刀を振り向きざまに振るって、シュバルツを牽制する。菖蒲色の短い髪がふわりと揺れ、薄桜色の長い蝶結びの帯が、しゃらりと流れた。小柄だが、勝気で、少し影を帯びた深い茜色の瞳が、シュバルツを射すくめる。
(女か!?)
 瞬間的に殺気を緩めるシュバルツ。それを見て、くのいちの方の殺気も緩んだ。

「……貴方、シュバルツ・ブルーダーね」

「そうだ。お前は何者だ?」
 小刀を構えるくのいちに対して、シュバルツは抜刀もせず、ただ静かに見つめている。シュバルツに戦闘意思がないと判断したくのいちもまた、その構えを解いた。

「私は霧幻天神流、ハヤテ様の一の部下、あやね」

 『霧幻天神流』の名に、シュバルツの眉がピクリ、と、動く。
「『霧幻天神流』の者が、私に何の用だ?」
「私は、貴方と戦うつもりはないわ」
 そう言いながら一歩身を引いたあやねの動きに、シュバルツもそれ以上踏み込むのを止めた。
「ハヤテ様から、貴方がた二人には手を出すな、と、厳命を受けている。私は、それを破って貴方がたに刃を向ける者が里から出ないかどうか、見張っていただけよ」
「……………!」
 あやねのこの言葉に、シュバルツはいろんな意味で息を飲んだ。
 まず、この短期間で自分達のある程度の事情を探られてしまった事。これは、さすが一流の忍者集団と言うところだろうか。
 そして、『自分達には手を出すな』と、頭首であるハヤテが命を下したと言う事は。
(まさか……?)
 ハヤテがハヤブサを捕らえるために、自分達の命を狙うと脅迫した可能性が――――
 違う、と、シュバルツが己が頭に浮かんだ考えを否定しようとした時、あやねが口を開いた。

「だけど、私の用事はそれだけじゃない」

「…………?」
 少し眉をひそめるシュバルツに、あやねは一歩踏み出してきた。その瞳に、切迫した輝きを湛えて――――

「お願い……! リュウ様を………! そして、ハヤテ様を助けて!!」


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