農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS ただひたすらに、君を想う。 42

<<   作成日時 : 2015/08/11 05:48   >>

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「リュウ……ッ!」

「ハヤテ……」

 儚く微笑むハヤブサに、ハヤテはたまらなくなる。
 気がつけばハヤブサの身体を押し倒して、その肌を暴き立て、自分の腹の下で喘がせていた。
「ハヤテ……! ハヤテ……!」
 すっかり細くなったその腰を捕らえて、深く突きさしてかき回す。衰弱し切ったその身体は、最早他人を受け入れる余裕などないだろうに、それでもハヤブサは、ハヤテの背中に縋る様に手を回し、荒ぶるハヤテの動きを受け止め続けていた。
「あ………! あ………!」

 やるせない。
 苦しい。
 切ない――――

 この行為ですら、ハヤブサを消耗させるだけなのだと言う事を、最早ハヤテも理解している。

 だが、自分でもどうしようもない程狂おしい彼への想いを、一体、どうすればいいと言うのだろうか。

「ハヤテ……! あ………!」

 カクン、と、糸が切れたかのように、ハヤブサはその意識を手放していた。
「リュウ……! リュウ……!」
 ぱしぱしとハヤブサの頬を叩くと、彼が僅かばかり身じろぎをする。
(生きてた………)
 ほっと安堵の吐息を洩らしてから、ハヤテは、強烈な自己嫌悪に襲われていた。

 疲れた。
 一体いつまで―――――自分は、こんな物想いを繰り返さなければならないのだろう。
 自分は、ハヤブサを生かしたいのか。
 それとも、殺してしまいたいのだろうか。

 イッソ、コノ手デ 殺シテ シマッタ 方 ガ―――――

「……………!」
 ブン! と、頭を強く振って、ハヤテはその考えを否定する。
 自分は、ハヤブサに傍に居て欲しくて、こんな強引な手段を取ったのだ。
 それを殺してしまうなど―――――それこそ、本末転倒ではないか。

 何故、こんな事になってしまうのだろう。
 自分は、ただハヤブサを愛したいだけ。
 そして、愛されたいだけだ。

 たったそれだけの事が
 どうしてこんなにも、難しく感じるのだろう―――――

「………………」

 無言で、ハヤブサのいる部屋から出るハヤテ。廊下を数歩歩いた所で、今度はあやねとはち合わせた。
「あやね………」
「……………」
 あやねは、哀しみを帯びた瞳でハヤテをしばらく見つめていたが、やがてその瞳を伏せ、頭を下げてハヤテの前から立ち去った。
(何か……言いたい事があるのか? お前は………)
 ハヤテは、そんな義妹で、一の部下である彼女の後ろ姿を、ただ、黙って見つめ続けていた―――――


 それから更に数週間が過ぎ、龍の忍者は、ついに、枕も上がらぬ重体となってしまった。

「……御重体でございます……。このうえは、生まれ育って慣れ親しんだ環境に、お返し致すのが一番かと……」

「な―――――!」
 医者がそう言って頭を下げるのを、ハヤテは、ただ茫然と聞いていた。

「馬鹿な――――! お前は、里でも一番の医者の筈だろう!? それが何故……! どうして、治せないんだッ!!」
 思わず、医者の襟首を掴んでくってかかってしまう。医者は狼狽しながらも、何とか言葉を続けていた。
「お……恐れながら、申し上げます……! 薬も治癒の秘法も――――その方が『生きよう』と言う意思が無ければ効かぬ物にございます……! ですが、あのリュウ・ハヤブサ様からは……! その肝心の『意志』が感じられぬのです……ッ!」
「―――――!」
 ハヤテは、その言葉に衝撃を受け、医者から手を離してしまう。医者は暫し咳き込んでから、更に説明を続けた。
「治癒の秘法を施して、私は感じました……。あの方は、既に何度も何度も――――自分を殺しておられる。御自分への殺意が強すぎるのでございます。それが、我等の治癒の法を跳ねのけ、薬を効かなくしているのです」
「な…………!」
 絶句するハヤテに、医者は問いかけて来た。

「何か……あの方が御自分を殺し続ける理由を、ハヤテ様はお心当たりはございませぬか……?」

「………………!」

「そして、ハヤテ様……。もう一つ申し上げたき儀がございます」
「何だ?」
 問い返すハヤテに、医者は畏まって頭を下げた。
「これは私見ではございますが、リュウ・ハヤブサ様は………『人間』と言うよりは、『龍』に近しいお身体を持っていると、お見受けいたしました」
「龍………!?」
 少し驚くハヤテに、医者は頷く。

「あの御方は『龍』でございます……。それを、『人間』が鎖でつなぎ止めておくなど、所詮無理な話ではございませぬか……?」

 それだけを言い置くと、医者はハヤテの前から立ち去った。ハヤテは、ただ黙って、その姿を見送っていた。

(自分を殺し続けている……? リュウが………?)

 ハヤブサは昏々と眠り続けている。その傍らにハヤテは腰を下ろし、その寝顔を見つめていた。

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