農家の嫁の日記

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zoom RSS ただひたすらに、君を想う。 44

<<   作成日時 : 2015/08/13 02:11   >>

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 漆黒の闇の中を、ハヤテは走る。腕の中に、リュウの忍者を抱きかかえたまま―――――
(天神流の里を出たな………)
 ハヤテの腕の中で、ハヤブサは何となくそう感じていた。里の門を抜け、深い森が辺りを覆う。
 ハヤテが、どこに向かって歩を進めているのかは知らない。だが、自分はもう、ハヤテに身を委ねる以外に術を持たなかった。このまま打ち捨てられるか、殺されるかしても、それはそれで構わないと、ハヤブサは思った。
 自分が死ねば、里の者たちは哀しむかもしれない。だけど里の者たちには、自分がいつ使命の途中で命を落とすか分からない事を、常に言い含めてある。自分の死が、隼の里と天神流の里の間に禍根を残す可能性は少ないだろうが、それだけは避けねばならぬと、ハヤブサは考えていた。

 そして………もしかしたら、シュバルツも
 俺が死んだと知ったら―――――

(……………!)
 ここまで考えたハヤブサは、ブン! と、頭を強く振った。

 あのヒトの事は、もう思い出してはいけない。
 自分にはもう―――――そんな資格も無いのだから。
 なのに、いちいち悲鳴を上げる『ココロ』
 心底煩わしかった。

 早く
 早く―――――このまま、死んでしまえればいいのに。

 ハヤテは終始無言であったが、その胸は温かい。
(ハヤテ………)
 ともすれば朦朧としそうになる意識を抱きかかえながら、ハヤブサはハヤテの胸に、身を委ねていた。


 そうして、どれぐらいハヤテは走り続けた事だろう。


 人里に下り、それなりに建物も密集している街の中の一角で、ハヤテはその足を止めた。

「着いた………」

 ハヤテのそう言う声が聞こえて、ハヤブサは瞳を開ける。そして、自分の視界に飛び込んできたその光景に、龍の忍者は思わず声を上げそうになる。
 何故なら自分の目の前には―――――キョウジのアパートが在ったのだから。
「……………!」
 知らず、ハヤテの腕の中で、ハヤブサは身を固くしてしまう。それにハヤテは軽く苦笑すると、その場にそっと腰を下ろし、そしてハヤブサを見つめた。
「リュウ………」
「ハヤ、テ………?」
 ハヤテの意図がいまいち読み切れないのか、ハヤブサが不安そうにハヤテを見つめている。ハヤテは穏やかな笑みを浮かべると、ハヤブサの琥珀色の髪を優しく撫でた。指の間から長い髪がさらりと零れる。改めて――――彼への愛おしさを感じた。

 愛おしいからこそ、願う。
 彼には、生きていて欲しい。
 笑っていて欲しい。
 幸せになって欲しい―――――

 その気持ちに、嘘偽りなど無かった。

 だから、やっと、こう言える。
 胸を張って、こう言えるのだ。

「リュウ……今まで、済まなかった………」

「…………?」
 きょとん、と小首を傾げるハヤブサに、ハヤテは苦笑する。何故謝られているのか、おそらくハヤブサは理解してはいないのだろう。だがハヤテは構わず続けた。
「俺は……お前を、解放しようと思う………」
「ハヤテ………!」
 息を飲むハヤブサの髪を、ハヤテは優しく撫でる。

 どうか、間に合っていてくれ。
 彼の、命の火が消えてしまう前に。
 生きる『気力』をもう一度
 その手に取り戻して欲しいと、ハヤテは祈り続けていた。

「今まで、本当にありがとう、リュウ……。もう俺は、充分だ……」
「ハヤテ……! しかし――――!」
 何事かを反論しようとするハヤブサの額に、ハヤテは優しくキスをする。
「……………!」
 茫然と、動きを止めるハヤブサに、ハヤテは改めて微笑みかけた。

「愛している……。リュウ……」

「ハヤテ………!」
「愛しているからこそ……俺は、お前に死んで欲しくはない。生きて欲しい。そう、望んでいる―――――」
「ハヤテ………」

「笑ってくれ、リュウ」

 ハヤブサの瞳をまっすぐ見つめながら、ハヤテは言葉を続けた。

「明るい陽の下で、明るく闊達に笑うお前を、もう一度、見せてくれ」

 愛している。
 好きだった。

「ハヤテ!」

 どんなに辛い修行を終えた後でも
 笑顔でこちらに手を差し伸べ続けてくれたお前が―――――

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