農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS ただひたすらに、君を想う。 46

<<   作成日時 : 2015/08/15 02:24   >>

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(今日も1日、平常心で……。シュバルツに引きずられて、あまり暗くならないように……)
 ハヤブサと別れて以降のシュバルツは、常にどことなく暗い影を背負っているように見える。
 無理もないなとキョウジは思った。
 あれだけ深く愛された愛情を、そんな簡単に忘れ去る事など、なかなか出来はしないだろう。別れたのだから割り切れ、と、言われても、それは無理な話と言う物だ。
(それにしてもシュバルツは……やっぱり、ずっとハヤブサの事を想い続けてしまうのだろうなぁ………)
 思い込んだら一途だから――――と、思った所で、キョウジは我が身を振り返る。

 シュバルツの性格のベースとなっているのは自分だ。
 だからもしかしたら――――自分も、そうなってしまうのだろうか。
 誰かを本気で好きになったら、例え振られたとしても、ずっとその人の事を想い続けてしまうのだろうか。

(しんどそう……いやだなぁ)

 そんな経験は、出来ればしたくないなぁと苦笑しつつも、少し、シュバルツが羨ましくもあった。それだけ深く愛せる様な人に、自分も、何時か巡り合う事が出来るのだろうか。
 それは、苦しくて切ない事かも知れないが、ある意味幸せな事なのかもしれない、と、キョウジは感じていた。
 たった1人で良い。
 生涯をかけて愛し抜ける人を得られたら、どれだけ自分の人生が豊かに色づく事だろう。

 アパートの階段を下り、外に出る。
 さあ、走り出そうと顔を上げた時、視界に1人の人間の姿が飛び込んできた。

 その人は、酷くふらついていた。
 そしてその顔を見て―――――キョウジの顔色が変わった。

「ハヤブサ!!」

 思わずその名を呼んで、キョウジはその傍に走り寄っていた。

「あ……? キョウ……ジ……? キョ、ウジ………か………?」
 ふらついていたハヤブサが、顔を上げる。
 そして、キョウジの姿を認めて、微笑んだ。
「ハヤブサ!? どうしたんだ!? 一体何が――――!!」
 走り寄るキョウジの目の前で、ハヤブサは倒れそうになる。それを、キョウジが慌てて支えた。
「―――――ッ!!」
 そして、その身体を支えた瞬間、キョウジは絶句する。

 この人の身体は―――――こんなに軽かっただろうか?

「ハヤブサ……?」
 抱き止めるその身体が、痩せ細っている。
 とぎれとぎれになる呼吸。
 全く力の入っていないその身体の様子に、キョウジはハヤブサが、かなり危険な状態にあることを察した。
 だから彼は、思わず叫んでいた。

「シュバルツ……! シュバルツ!! お願いだ!! 来てくれ!!」

 キョウジの叫び声に反応して、すぐにシュバルツは姿を現した。
「どうした? キョウジ。一体何……が………!」
 シュバルツもまた、キョウジが抱き止めているその人物の姿を見て絶句していた。

 まさか
 まさか
 何故、こんな所にハヤブサが―――――!?

「シュバルツ!! ハヤブサを頼む!! 私は、いろいろ用意してくるから――――!!」

 感慨に浸る間もなく、シュバルツはキョウジからハヤブサを託される。シュバルツもまた、ハヤブサのその身体を抱きかかえて、絶句していた。
 この人の身体は、こんなに軽かっただろうか?
 この人の身体は―――――こんなに、痩せ細っていただろうか?

「な……何で………!」

 彼を抱きしめながら震えるシュバルツに、ハヤブサも気が付いたのか、その顔を上げた。

「シュバルツ……? シュバルツ………なの、か……?」

「ハヤブサ……ッ!」
 全く力の入っていない、弱々しい声に、シュバルツは歯噛みする。どうしてこの人は―――――こんなにも衰弱しているのだろうか。彼を愛する、ハヤテの庇護があった筈であるのに。
「ハヤブサ……! 何故だ……ッ!」
 その身体を抱きしめながら、問いかけずにはいられなかった。

「ハヤブサ……ッ! 何故だ!? 何故、こんな事になった!? ハヤテ殿は、お前を愛していたのではなかったのか!?」


 その問いに、腕の中のハヤブサは、ふわり、と柔らかい笑みを浮かべた。

「ハヤテは………俺の事を、これ以上ないくらい、愛してくれたよ………。だけど……俺が………」
 そう言いながら、龍の忍者は、ふらふらとシュバルツの頬に手を伸ばす。
「俺が………俺の方が………駄目、だったんだ……」
「な……何で………!」
 茫然と問い返すシュバルツの頬を、ハヤブサの手は優しく撫でた。そして、「分かっているだろう?」と、微笑んだ。

「俺は………お前じゃなきゃ、駄目……なんだ………」

「――――――!」

「お前でなければ………駄目、なんだ……よ………。シュバル、ツ………」

「ハヤブサ………ッ!」
 シュバルツはいつしか、大粒の涙を流していた。

 そう。
 あの時ハヤブサは―――――『選んで』いた。
 周りに血を流させない、自分一人が『犠牲』になる、道を―――――

 だけど、あの時どうすれば良かった?
 どうすればよかったんだ。
「ハヤテを裏切れない」
 そう言って、泣いていたお前を。

 無理やりその手を引っ張ったところで、ハヤブサはきっと、それを潔しとは出来なかっただろう。
 ハヤテを裏切ってしまった己を責めて。責め抜いて―――――
 それは重い『枷』となって、ハヤブサを苦しめる。シュバルツにはそれが分かった。だから、自分はハヤブサの手を離したと言うのに。ハヤテならば、きっと、ハヤブサを幸せにできる。そう信じて。
 なのに―――――

 どうして
 どうして、こうなってしまった?

「シュバルツ……。顔を………よく、見せてくれ………」

「ハヤブサ………」
 龍の忍者の懇願に、シュバルツは静かにその面を向ける。
 だが、涙が後から後から溢れるのを、止める事が出来なかった。微笑む事も出来なかった。ただ、ハヤブサの力無いその身体を、ぎゅっと抱きしめ続けていた。

「シュバルツ………会いたかった………」

 対して龍の忍者は、幸せそうに微笑んでいた。

「………会いたかったよ……シュバルツ………」


「シュバルツ!! ハヤブサは―――――!」
 走り込んで来たキョウジに、シュバルツは振り返る。

「………眠ったみたいだ……」

「……………!」

「しばらく………寝かせておいてあげよう………」

 腕の中のハヤブサは、穏やかな寝顔をしていた。
 そんな龍の忍者の寝顔を、朝日が優しく照らし続けていた――――――

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