農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 1

<<   作成日時 : 2015/08/22 00:53   >>

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「序章」


 闇の中、夢を見ていた。
 その夢の正体を悟った瞬間、その夢の主は『いやだ』と足掻いた。

 これは、自分を苛む悪夢。
 早く覚めなければ。
 早く―――――!

 だが悪夢は続く。

 自分は剣を突き立てていた。
 目の前に居るのは愛おしいヒト。
 それに向かって、何度も、何度も――――

 イヤダ
 イヤダ

 心は悲鳴を上げ、泣き叫ぶ。
 だけど、自分はそれを無視した。そうしなければならなかった。

 だって――――自分は、このヒトの手を、振り払ってしまったのだから。
 このヒトの事を思い出すと、哀しませてしまう人がいる。
 それは駄目だ。

 だから
 だから―――――

 なのに、何度斬りつけても、引き裂いても
 目の前の愛おしいヒトの、優しい笑顔は消えない。
 その人は手を広げ、無防備に、あけすけに――――自分が何度もこのヒトを傷つける事を赦している。赦し続けている。

 ああ

 もう、そんな風に俺を許すな、シュバルツ。
 俺を憎んでくれ。
 恨んでくれ。
 いっそ、俺を殺してくれ――――!

 ああ

 もういっそ、この剣で

 一思いに、楽 に

「ハヤブサ!! 駄目だ!!」

 目の前の愛おしいヒトが、叫び声を上げる。
 それに俺は、首を横に振って応えた。

 もういい
 もういいんだ、シュバルツ

 疲れた

 疲 れ  た

「ハヤブサ!!」

 剣を自分に突き立てようとした刹那、愛おしいヒトに腕を取られる。
「離せ!!」
 足掻いた瞬間、もう一度怒鳴られた。

「ハヤブサ!! 起きろ!!」

「―――――!?」

 その叫び声でリュウ・ハヤブサはようやく、自分が『悪夢』を見ていた事を、思い出したのだった。


  「第1章」


「ハヤブサ!!」

 目が覚めた瞬間、自分の視界いっぱいに広がる、愛おしいヒトの心配そうな顔。
「―――――!」
 ハヤブサは瞬間的に身体をひきつらせた後、思わず叫び声を上げていた。
「うわあああああっ!! あああっ!!」
 自分が、まだ『悪夢』を見ている、と、思ってしまったからだ。
「ハヤブサ!! 落ちつけ!! 大丈夫だ!!」
 方を強く掴んでこちらをまっすぐに見つめながら、懸命に呼びかけてくる、愛おしいヒト。それを見て、ようやく――――ハヤブサも、落ちつく事が出来た。
「あ…………!」
 息を荒らげ、小刻みに震えるハヤブサの身体を、シュバルツがそっと、抱きしめる。
「ハヤブサ……」
「シュバルツ……ッ!」
 それにハヤブサが、縋りつく様に抱きしめ返してきた。そのままシュバルツの胸に顔をうずめ、身体を振るわせ始める。泣いているのだと、シュバルツは悟った。
(まだ……細いな………)
 震えるハヤブサの背中をあやすように撫でながら、シュバルツは少し、眉をひそめた。少し前に起きた『事件』の影響で、死ぬ直前まで衰弱してしまったハヤブサの身体は、なかなか元には戻らなかった。
 彼は『龍の忍者』と謳われる程、その腕前は強く、伝説クラスの忍者であったと言うのに。
 キョウジとシュバルツの懸命の治療で一命を取り留めてはいたが、相変わらず食も細く、やせ衰えたまま―――――キョウジの処方する点滴で、命を繋いでいる様な状態だった。
「……夢を、見たんだ……。また……お前を、殺す夢を………!」
 腕の中でハヤブサが、声を震わせながらそう訴える。
「嫌なのに……! どうして………ッ!」
「ハヤブサ……」
 ハヤブサの背中を撫でながら、ハヤブサにどう言葉をかけたら良いものかと、シュバルツは熟考する。自分としては構わない。ハヤブサにならどう引き裂かれようがどう殺されようが、それはむしろ喜んで受け入れられた。だけどきっと、自分のこの心境をハヤブサに告げた所で、彼の救いにはならない。それは確かな予感だった。

 ならば、どうすればいいのだろう。
 自分は彼に、何をしてあげられるのだろう。

 一度、悪夢に苦しんでいる彼に、「起きた時に自分が居ない方がいいのでは?」と、提案した事がある。だがそれは、ハヤブサに猛烈な勢いで却下された。

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