農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 2

<<   作成日時 : 2015/08/22 23:45   >>

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「止めてくれ!! そんな事をされたら、それこそ俺は気が狂ってしまう!!」

「ハヤブサ……!」
「お前にこうして抱きしめられて……俺はやっと、悪夢から覚めたのだと実感できるのに………!」
 そう言いながら、ぎゅっと、シュバルツに縋りついてくるハヤブサ。彼が言うには、夢の中のシュバルツは、決してハヤブサに触れてくることはないのだと言う。
 だから
 だから、分かる。
 こちらが『現実』なのだと。

「お願いだ……! 傍に、いてくれ……!」

 その胸に顔をうずめながら、ハヤブサは願う。

「俺の、傍に………!」

「ハヤブサ………」
 優しく抱きしめ返しながら、シュバルツは頷く。
「分かった……。傍に、いるよ……」
 自分はもとよりハヤブサの物。ハヤブサが望んでいるのに、自分から彼と離れる理由はなかった。それを聞いてハヤブサも、嬉しそうに微笑んでいた。

 だから自分はハヤブサの傍に居る。そして、彼を抱きしめ続ける。
 彼の望む限り――――。

 だけど、それだけでいいのだろうかとシュバルツは思う。
 なかなか、回復しないハヤブサの身体。
 何か、自分に出来ることはないのかと、つい考えてしまう。
 だが、今のところ何一つ有効な手だてが浮かばないから、シュバルツもため息を吐くほかなかった。

「シュバルツ……」
 潤んだ眼差しのハヤブサから、じっと見つめられる。
 口付けを望まれているのだとシュバルツは悟った。
「ハヤブサ………」
 シュバルツがそっと、ハヤブサに顔を近づけた、刹那。

「あの〜。ちょっと良い?」

 妙にのんきな声が部屋に響き渡る。
「――――――!?」
 完全に不意をつかれた忍者二人は動揺しまくった。シュバルツは慌ててハヤブサから距離を取ろうとした、結果。

「シュバルツ……。ハヤブサが落ちてる」

「―――――!?」
 部屋に入って来たキョウジに指摘されて、慌ててシュバルツが振り向くと、哀れベットから突き落とされて、潰れた蛙みたいに床に横たわっている龍の忍者の姿があった。どうやらシュバルツがハヤブサから離れる時、彼を強く突き飛ばし過ぎてしまったらしい。
「わ――――ッ!? ハヤブサ!!」
 シュバルツが慌ててハヤブサを助け起こすと、彼はしくしくと泣き出してしまった。
「酷い……! 俺一応病人なのに……!」
「わ……悪かったよ。わざとじゃないんだ……一応」
 苦笑しつつも謝りながら、シュバルツは少し眉をひそめる。
(不意をつかれたとは言え……まだやはり、受け身も取れないのか……)
 健康な時のハヤブサであるならば、自分があれぐらい突き飛ばした所で、問題なく対処できたであろうに。
 そっとその身体を抱きかかえると、やはり異様な軽さを感じた。

「大丈夫? ハヤブサ」

 キョウジが苦笑しながら部屋に入って来る。「ごめんね。邪魔をするつもりじゃなかったんだけど」と、少し申し訳なさそうに言うキョウジに、ハヤブサは「問題ない」と、憮然と答えていた。
「どうしたんだ? キョウジ。何の用だ?」
 その間に少し落ち着きを取り戻したシュバルツが、キョウジに問いかける。すると、キョウジが部屋の外を指さした。
「いや、ハヤブサにお客様が来ていたから……」
「キ、キョウジ殿! 私の事は別に……! 御二人の時間が終わってからで良いと……!」
 部屋の外に来ているであろう人物が、慌てふためいた声を上げる。
「いやでも、遠路はるばる来てくれたわけだし、御連れさんたちのためにも――――」
「そ、そんな……! 私たちがリュウさんの邪魔をする訳には――――!」
 その声を聞いて、ハヤブサが素っ頓狂な声を上げた。

「与助か!?」

 ハヤブサに名前を呼ばれた声の主は、大変申し訳なさそうに部屋に入ってきた。
「お、お久しぶりです……。リュウさん……」
「お前……! どうしてここに……!?」
「ハヤテ殿が教えてくれたんです! リュウさんがここに居ると――――!」
「ハヤテが!?」
 驚くハヤブサに、与助は頷いた。

「リュウさん……。天神流の里の者たちのために、かなり危険な任務についていたんですね……。ハヤテ殿が教えてくれました……」

「…………!」
 本当は違う。
 自分は、そのハヤテに捕らえられて、求愛を受けていた。
 自分が愛するのはシュバルツ唯一人。だが、ハヤブサにとって幼馴染であるハヤテを裏切ることもできなかった。
 故に、シュバルツと手を切り、ハヤテの愛に応えていこうとしたのだが。

 嘘をつけない自分の心が悲鳴を上げる。
 シュバルツを、忘れるのはいやだと泣き叫ぶ。
 その悲鳴を無視して心を殺し続けた結果、ハヤブサは身体をも病んでしまった。

 崩壊して行く心と体を、ハヤブサ自身、もうどうする事も出来なくて。

 気がつけば自分は、衰弱の一途をたどっていた。
 もう死ぬしかない
 そう覚悟を決めた矢先に、ハヤテが自分を解放してくれて―――――現在に至るのだった。

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