農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 4

<<   作成日時 : 2015/08/25 11:01   >>

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「いえ……。私は大丈夫です。子どもたちも、問題なさそうです。ですが……やはり、里の者の中には、ショックを受ける者もいるでしょう」

 そう、ハヤブサは伝説と称される『龍の忍者』
 その強さに、信仰めいた想いを寄せている者たちも、少なからずいる。

「ですから、詳細は伝えず、ここで加療中だと言う事だけ、里の者たちには申し伝えておきます。キョウジ殿とシュバルツ殿の傍に居ると知れば、里の者たちも安心するでしょう」
「あはは……。ご期待に添えるように頑張ります」
 与助の言葉に、キョウジは苦笑気味に答える。その目の前には、子どもたちと共に優しく微笑んでいる、ハヤブサとシュバルツの姿があった。


 子どもたちと与助が里へと帰り、病室にはまた、静けさが戻って来る。
「さて……私は食事を作って来るかな。ハヤブサ、お粥以外で、何か食べられそう?」
 問いかけてくるキョウジに、ハヤブサは首を横に振る。
「済まない、キョウジ……。まだ食欲が戻らなくて……」
「そうか……。いいよ、無理しないで」
 キョウジは軽く微笑むと、静かに立ち上がった。
「じゃあシュバルツ。ハヤブサをよろしくね。何かあったら呼んで」
 そう言い残すと、キョウジは部屋から出て行った。後には、忍者二人が残された。

「……綺麗な、花だな」

 シュバルツはハヤブサのベッドの傍の椅子に腰をおろしながら、ハヤブサにそう声をかける。子どもたちが持ってきたピンクや白の小さくて可憐な花々は、こじんまりとした花瓶に、綺麗に活けられていた。その横に、彩りも鮮やかな千羽鶴が、そっと花を添える様に飾られている。

「里で、よく修業をした滝の傍に咲いていた花々だ……。懐かしいな……」

 ハヤブサがその花たちを見つめながら、目を細めている。そこに少し、旅愁の響きを感じたから、シュバルツは思わず問いかけていた。

「………帰りたいか?」

「…………!」
 ハヤブサは少し目を見開いた後、花を見つめながらフッと笑った。
「……そうだな……。帰りたくないと言えば、嘘になるな……」
「じゃあ、早く元気にならないと……。里の皆も、きっと待ってるぞ」
 そう言って優しく微笑むシュバルツの手を、ハヤブサがぎゅっと握ってきた。
「……その時はシュバルツ……お前も一緒に里に来て、くれるか……?」
「―――――!」
 シュバルツは瞬間、驚いた顔をしたが、すぐに優しく微笑んだ。
「……そうだな……。キョウジの許可が下りれば、お前と共に里に行っても良い……」

「――――本当だな!?」

「――――!!」
 食い入るようにこちらを見つめてくるハヤブサに、シュバルツは瞬間的に『しまった!』と思う。しかしもう遅い。ハヤブサに『里に同行する』と言う言質を取られてしまった。きっとハヤブサの身体がよくなってきたら、自分は里に、半ば強制的に連行されてしまうことだろう。

「……やった!! よしっ!! 早く治さなければな!」

 そう言ってガッツポーズを作っているハヤブサに、シュバルツも苦笑しながら(まあ良いか)と、思ってしまう。
 これ以上ないと言う程治す意欲に満ち溢れているハヤブサ。
 きっとこれは、彼の身体を治す一助になってくれる事だろう。

「シュバルツ」

 呼びかけられ、じっと見つめられる。
 キスを求められているのだと悟った。

「……………」

 シュバルツは、ハヤブサの顔に、そっと己が顔を近づける。
「ん…………」
 そのまま忍者二人は今度こそ――――甘い、甘いキスをした。

「……………」

 口付けを終えたハヤブサは、シュバルツの身体をぎゅっと、抱きしめて来た。
「はあ……。早くお前を、抱きたいよ……」
「ハヤブサ……」
 シュバルツもハヤブサの身体を、そっと抱きしめ返した。
「私はいつでも、お前の傍に居る。何処にもいかないから―――――」
 だから、早くよくなってくれ、と、言うシュバルツに、ハヤブサも頷いた。

「少し、寝る……。シュバルツ、手を握っていてくれるか……?」

 そう言いながら、少ししんどそうにベッドに身を横たえるハヤブサ。そっと差し出してきたその手を、シュバルツも優しく握りかえした。

「ゆっくり寝ていろ。傍に居るから……」

「ん…………」
 シュバルツの手をぎゅっと握り込みながら、瞳を閉じるハヤブサ。暫くすると穏やかな寝息が聞こえ始めた。
(ハヤブサ……)
 少しやつれているが、穏やかな表情をして眠るハヤブサの寝顔を、シュバルツはじっと見つめる。そこに、キョウジが入ってきた。

「……ハヤブサ、寝たの?」

 シュバルツが頷くと、キョウジはそうか、と言いながらハヤブサの寝顔をのぞき込みに来た。
「……よく、眠っているね……」
「そうだな……」
 暫く二人は、そのままハヤブサの寝顔を見つめていたが、やがて、キョウジがポツリと口を開いた。

「………シュバルツ……。おかしいとは思わないか?」

「? 何が?」
「ハヤブサの容体の事だよ。ここで治療を始めてから、もう半月近く経つ。なのに、一向に――――回復する兆しを見せない……」
「……………!」
「何か、他の病気が隠れているのかと調べても見たけど、そうでもない。単に衰弱しているだけなら、休養と栄養剤の投薬治療で、もうそろそろ回復してきてもおかしくはない筈なんだ……」

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