農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 6

<<   作成日時 : 2015/08/28 00:56   >>

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「さてと……一応、今までのハヤブサの血液のデータをもう一度整理しておくか……。それが終わったら私は寝るけど、シュバルツはどうする?」
 キョウジの問いかけに、シュバルツは少しの笑みを浮かべる。
「私は、ハヤブサの傍に居るよ」
「そっか……。うん、それがいいね」
 キョウジはシュバルツの答えに納得すると、顔を上げた。
「じゃあシュバルツ……。ハヤブサの血液のデータをまとめた物をデスクの上に置いておくから、私が仕事に行っている間にでも見て、何か所見があったら聞かせてくれる?」
「わかった」
「じゃあ、お休み」
 そう言って、キョウジはパタパタと部屋を出ていく。後にはシュバルツと、寝台の上で眠るハヤブサだけが残された。
「ハヤブサ………」
 シュバルツは、眠るハヤブサの髪に、そっと触れる。龍の忍者はただ―――――穏やかな寝息を立てるのみであった。


(ハヤブサ………)
 暗闇の中で、愛おしいヒトが微笑んでいる。
 そのヒトに向かって、自分は刃を突き立て続けている。
(嫌だ……! 止めてくれ……!)
 ハヤブサは、すぐにこれがいつも見ている悪夢だと悟った。

 どうして
 どうしてこんな夢を、見続けなければならないのだ。
 もうシュバルツを愛するのに、躊躇う理由など何もない。
 心の中のシュバルツを殺す必要など、もうないのに。

 どうして―――――

(どうしても、殺したいのか……? お前は私の事を……)
 愛おしいヒトの瞳が、哀しげに曇る。
 振り上げたクナイが、またシュバルツの胸に突き刺さった。
「違う……! これは、俺の意思じゃない……ッ!」
 必死に否定するが、自分の手を止める事が出来ない。瞬間的に絶命したシュバルツの息が、また吹き返す。そこにめがけて、またクナイが振り下ろされた。
「いやだ……! 嫌だ……! こんなのは……いやだ……ッ!!」

(辛いだろう……)

 シュバルツから、不意に声をかけられる。

(死なないから―――――)

「――――――!!」
 ガツン、と、心臓をぶん殴られたような衝撃を受けるハヤブサに向かって、その『シュバルツ』はにっこりと微笑みかけて来た。
(死なない私の身体を何度も殺して―――――お前は、私に突きつけ続けたいのか? 『お前は不死の化け物なのだ』と――――)
「ち、違う……!」
 弱々しく否定するハヤブサの目の前で、血まみれになっているシュバルツが『ククク』と、笑う。
(そうだな……『化け物』……私は確かに『呪われた化け物』だ……)
「シュバルツ……ッ!」
(哀しむことも、否定する事も無いぞ……これが私の真実。私の、真の姿なのだ………)

「違う!!」

 ハヤブサは強く頭をふる。

 おかしい。
 シュバルツがこんな事を言う筈がない。

 分かっている。
 これは夢。
 このシュバルツは、偽物だ。

 覚めろ。
 早く。
 目覚めろ――――!

(おっと……。足掻いても無駄だぞ、龍の忍者……。この私から、逃れられるとでも、思っているのか……?)
 『シュバルツ』の形をした何かが、仄暗く笑う。そのままずいっと、近くに寄ってきた。
「―――――ッ!!」
 悪意の塊のような存在に、ハヤブサは全身が総毛立つ。
 逃げなければ
 立ち向かわなければ
 選択肢は二つ。
 だがハヤブサは、そのどちらも何故か選ぶ事が出来ず、ピクリとも動かぬ己が足に歯噛みするしか出来なかった。
(ひどいな……ハヤブサ……。服がボロボロだ……)
 『シュバルツ』は、その面に、酷く穏やかな笑みを浮かべる。
(お前はいつもそうだ……。何時もいつも……私を傷つけて………)
「…………ッ!」

 違うと言いたい。
 だが、彼を傷つけたことが無いと、胸を張って言えない自分。
 反論の言葉は、喉に詰まって出て来なかった。

(いい加減気づけ……。お前は、存在しているだけで大切な者たちを傷つけて行くんだ。お前の大切な者たちは、お前のせいで………やがて引き裂かれていく事になるぞ……)

「う………! う………!」

(今ならば、まだ間に合う……。お前が自ら、命を断てば―――――)

「……ハヤブサ!! ハヤブサッ!!」
 『シュバルツ』の声に被さる様に、別の方から声が聞こえてくる。
「―――――!?」
 驚いたハヤブサが振り向いた先に、もう一人の、愛おしいヒトの姿があった。
 そのヒトの居る場所には、光が差し込んでいた。
 光の中から、そのヒトは、懸命にこちらに手を差し伸べて来ている。

「ハヤブサ――――!」

「シュバルツ……! シュバルツ!!」

 ハヤブサは、その優しい『光』に向かって、無我夢中で己が手を伸ばして行った―――――

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