農家の嫁の日記

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zoom RSS ただひたすらに、君を想う。 41

<<   作成日時 : 2015/08/10 07:15   >>

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 自分の愛情が、まさにハヤブサを壊して行っているなどと―――――
 気づいてしまえば自分は、ハヤブサを手放さざるを得なくなってしまう。
 それだけは嫌だ。
 それだけは出来ないと思った。

 そうやってハヤブサが衰弱している間にも、『龍の忍者』に対する仕事の依頼が、皆無な訳ではなかった。
 だがハヤテは、それをことごとく退けていた。こんな状態のハヤブサに『仕事』をさせる事など―――――それこそ、自殺行為だ。
 しかし、そんなハヤテの防御網をかいくぐって、ハヤブサが仕事の依頼を知ってしまう事もある。ハヤブサがその仕事を受けようとしたと知って、ハヤテは激怒した。
「そんな身体で仕事など受けようとするな!! リュウ!!」
「しかし……!」
「いいか!? 俺がいない間にもう一度、そんな事をしようとしてみろ……! 座敷牢に監禁するからな!!」
「ハヤテ……!」
 バン!! と、荒々しい音を立てて襖を閉めて、廊下を歩きだそうとしたハヤテの目の前に、『老中』格の者たちが控えていた。黙ってその前を通り過ぎようとするハヤテを、その男たちが呼び止めて来た。
「……一体いつまであの『龍の忍者』を手元にとどめ置かれるおつもりなのか?」
「あのような半死人のような『龍の忍者』など――――役立たずどころか厄病神の様な物ではないか」
「おかげで我が里も、余計な手間と仕事が増える一方だ」
「若、あのような者など、早急に隼の里の方にお返ししてしまいなされ」
「待たれよ、あのような状態で龍の忍者を里に返せば――――隼の里から、我等の里に言いがかりをつけられかねない」
「左様。あの者が勝手に病を得ていると言うのに、さも我々が悪いように言われてしまうぞ……!」
「全く……下手に『知名度』があるから手出しも出来ん……! まさに『厄病神』―――――」

「黙れ!!」

 ハヤテはたまらず、大声で怒鳴りつけていた。
「良いか!? リュウ・ハヤブサの処遇は、俺が決める!! 誰であろうと、口出しすることは許さん!!」
「若………!」
 老中たちは、一瞬静まり返ったが、すぐに口を開いて来た。
「なれば、あの者の病を、早急に治す手を打ちなされ」
「左様。あの者がここで勝手にあのようになっておるから、こんな事になっておるのですぞ」
「忍びは己が身体が『資本』であると言うのに―――――『龍の忍者』ともあろう者が、何を考えておるのか」

「お前たちの意見は、我が腹にとどめ置く!! 良いから下がれ!!」

 ハヤテは怒鳴り散らして、ようやく老中たちを下がらせる事に成功した。それをしてからハヤテは、はっと我に帰って後ろを振り返った。
 ここは、ハヤブサの部屋から近すぎた。今のやり取り―――――ハヤブサは、聞いてしまっているのではないだろうか。
 慌てて踵を返して襖をあけると、ハヤブサは上半身を起こして、窓の外を眺めていた。振り返ってハヤテの姿を認めると、ふわりと微笑む。

「ハヤテ……」

 その笑みが、少し哀しげであったので、ハヤテは思わず問いかけていた。
「リュウ……。もしかして、今の話を………」
「ああ……。聞いていた。耳が痛いな……」
「……………!」
 ハヤテは、思わず唇を噛みしめていた。

 やはり、聞かれてしまっていた。
 あんな酷い言葉達を―――――ハヤブサに聞かすつもりなどなかったのに。

 無言で、崩折れるように座り込み、俯いてしまうハヤテに、ハヤブサがそっと声をかけて来た。

「ハヤテ……」

「何だ……。リュウ………」

「もしも………俺の存在が、お前に迷惑をかけている、と言うのなら―――――」
「リュウ!!」
 ハヤテは、思わずハヤブサの襟首を掴んでいた。
「あっ!!」
「何時俺が、お前の存在を迷惑だと言ったんだ!? 何時俺が、お前を厄病神だなどと言ったんだ!!」
「……ハヤテ……ッ!」
 首を絞められて苦しいのか、ハヤブサがくぐもった悲鳴にも似た声を上げる。ハヤテがはっと我に返って手を離すと、ハヤブサは苦しそうに咳き込みだした。
「リュウ……!」
 茫然とハヤブサを見つめるハヤテに、呼吸が落ち着いてきたハヤブサは、にこりと微笑みかける。
「……平気だ……。大丈夫、だから……」
(そう言えば、あのヒトもよく、こんな事を言っていたな)
 ハヤテに「平気だ」と言いながら、ハヤブサはそんな事を思い出して―――――その胸に、ツキリと鈍い痛みを走らせた。

 あのヒトも、こう言ってよく笑っていた。
 俺に、心配かけさせまいとして。
 あのヒトも―――――

 知らない。
 思い出さない。
 思い出しては、駄目だ。

「――――――ッ!」
 ハヤテは、思わず唇を噛みしめていた。
「………平気な訳、ないだろう……!」
 絞り出すように、ハヤテは言った。
「平気な訳無いだろう!? あんな事を言われて―――――!!」

「だが……本当の事だ……」

 ポツリと零すように言われて、ハヤテは思わず絶句していた。
「俺が『役立たず』なのも、この里にとって『厄病神』的になってしまっているのも……全部、本当の事だ……」

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