農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 21

<<   作成日時 : 2015/09/17 01:32   >>

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「なるほど……」と、ジョルジュが頷けば、「よッしゃ、任せな!!」と、チボデーがバキバキと指を鳴らす。「ああ! おいらたちの手で、『邪神』なんかひとひねりだぜ!」サイ・サイシーも拳法の型を構えて格好をつけるが、アルゴに、「なら俺のズボンの裾から手を離せ」と、軽くたしなめられていた。
「だ………だってよ……! おいら、お化けとかの類がどうも苦手で………!」
「おやあ? サイ・サイシーちゃんは、夜中にトイレに独りで行けない口か?」
「失礼な!! トイレぐらい独りで行けるよ!!」
 チボデーのからかいに、サイ・サイシーはムキになって突っかかる。しかし、時々自分の世話役である恵雲(けいうん)と瑞山(ずいせん)に、夜中のトイレについて来てもらっていることは、自分だけの秘密だった。
「しかし、師匠!」
「何じゃ? ドモン」
「未だ姿を見せぬ『邪神』と、どうやってわたり合おうとお考えなのですか!? 今のままでは何も出来ぬかと――――」
「………そうじゃな。だから、この『香』を焚きしめておるのよ」
 愛弟子の問いに、東方不敗はにやりと笑って返事を返す。
「良いかドモンよ。この『香』は、『邪気払いの香』と言って、邪気を払う効果がある。邪神の目的は、この龍の忍者の身体を乗っ取る事であろうが――――この『香』と、二人の『繋がれた手』によって、それが阻止されておる。みよ。龍の忍者から溢れ出た邪気が――――――この『香』の効力を嫌って、床から外に逃げて行っておるのが分かるであろう?」
「本当だ………」
 見守るドモンの目の前で、ハヤブサから漏れ出ている黒い邪気が、床から下に消えているのが見える。大量に邪気が溢れ出ているように見えるのに、今だこの部屋に邪気が充満しない理由がここに在った。
「この『香』で邪神をいぶり出し、殲滅をしたい所ではあるが、相手は何せ『神』と呼ばれる存在。一筋縄ではいかぬであろうな。ドモンよ………この外に漏れ出た『邪気』がこれからどう言う動きをするか、お主は想像がつくか?」
「いえ、全く。どう言う動きをするんですか?」
 素直に問い返してくる愛弟子に、東方不敗はフフフ、と、笑みを浮かべた。
「龍の忍者と言う拠り代から追い出された邪気は、もう一度龍の忍者の身体を乗っ取るべく、エネルギーを摂取する道を選ぶであろうな。『邪神』が一番エネルギーを摂取するのに、効率のいい方法は、分かるか? ドモンよ」
「いえ、全く」
 ドモンがきょとん、とする横で、キョウジが眉をひそめていた。どうやら彼は、『邪神』がエネルギーを摂取する方法の見当が、いち早くついた様だった。

「………一番手っ取り早いのは―――――人間の『命』をかき集める事よ」

「ええっ!?」
「何ですって!?」
「チィッ! なんてこった!」
 Oh my god !! と、小さく毒づくチボデーの横で、サイ・サイシーの顔面は蒼白になり、アルゴは苦い顔をしている。

「人間の『命』自体は勿論のこと―――――『命』を奪われる瞬間の人間の『恐怖』『哀しみ』『絶望』『憎しみ』と言った感情も、邪神にとっては最高のエナジーとなる。だから、外に溢れ出た『邪気』は、今頃外で命を探し始めているころじゃろうな……。それを、屠るために―――――」

「な―――――!」
 東方不敗の言葉に息を飲むドモン。彼の脳裏に、ここに来る前に、街の境界線付近で別れたレインの顔が、真っ先に浮かんだ。
「気をつけてね、ドモン」
 彼女の憂える瞳に、「心配ない。片を付けたらすぐに戻ってくる」と、ドモンは笑みを浮かべながら答える。ドモンは避難所に行くようにとレインに指示をしたのだが、彼女は自分の姿が見えなくなるまで、兄の家に向かう自分を見送っていてくれた。
 もしも彼女が――――未だ境界線付近に留まっていたとしたら。

「レイン!!」

 ドモンは叫びながら、脱兎のごとく部屋を飛び出して行った。

「シャリー! キャス! バニー! ジャネット!!」

 チボデーも憶えがあるのだろう。ドモンに続いて部屋を飛び出して行く。
「ま……! 待ってくれよ〜! 兄貴!!」
 サイ・サイシーも、二人の後を追いかけて、部屋を飛び出して行く。
「アルゴ、私たちも行きましょう!」
 ジョルジュの呼び掛けにアルゴも無言で頷いて、それぞれ部屋を出て行った。後には、東方不敗とキョウジ、そして、眠り続ける忍者二人が残された。

「キョウジよ」

 皆が部屋を出て行ったのを確認してから、東方不敗はキョウジに声をかける。
「はい。何でしょう? マスター」
 千羽鶴を折り続けていたキョウジが手を止め、顔を上げる。
「お主は……街の外に出んで良いのか?」
「えっ?」
 目をぱちくりさせるキョウジに、東方不敗はさらに続けた。
「言うたであろう? 今から我等は、邪神をいぶり出し、それに戦いを挑む。この街全体が戦場になるのだ。しかも、我らが居る場所には龍の忍者の身体があり、『邪気払いの香』もある。ここに目的の物があるが故に、この場所は最も強力な敵が出てくる事になるぞ?」
「……………!」
 東方不敗の言葉に、キョウジが息を飲む。
「ここに居る限り、命の保証は出来ぬ。だが今ならば―――――ワシはお前を街の外まで安全に送ってやることができる。どうする? キョウジよ……。もし、戦いを望まぬのなら―――――」
「私は、ハヤブサの主治医です!!」
 東方不敗の言葉が終わらぬうちに、キョウジが叫んでいた。
「医者が、患者を見捨てて逃げ出すなんて―――――あり得ません! 私もここに残ります!」
「……命の保証は出来ぬと、ワシは言うたぞ? それでもか?」
 きっぱりと言い放つキョウジに、東方不敗は確認する様に問いかける。それに対してキョウジは、視線を逸らさずに、真っ直ぐに―――――頷いた。
「――――覚悟の上です!」

「………………」

 東方不敗はしばらく、キョウジをじっと検分するように見つめていたが、キョウジからその視線が逸らされることはない。彼の決意は固いのだと見て取って、東方不敗はその面に納得したような笑みを浮かべた。

 最後まで責任を取ろうとするその一途さ、頑固さ―――――そして、覚悟。
 相変わらず、見事なまでの腹の据わり方だと、東方不敗は思った。
 それでこそ
 それでこそ―――――自分は
 この男に手助けし甲斐がある、と、言う物だった。

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