農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 25

<<   作成日時 : 2015/09/24 15:29   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0


 迷うな。
 惑わされるな。
 そして―――――躊躇うな。

 父から教えられた、『生きるための鉄則』を、ハヤブサはもう一度頭の中で復唱する。頭に血が上り過ぎていると感じた彼は、一度、大きく深呼吸をした。

「だいたい! 俺がここで何をしていようと、お前には関係ないだろう!? 何故そんな事を聞きたがるんだ!!」
 噛みつく様に問い返してくるハヤブサに、男は事もなげに答えた。
「決まっているだろう。ここから出るためだ」
「………………!」
 絶句するハヤブサに、男は更にたたみかけて来た。
「言った筈だ。この空間は『閉じられている』と。この封印を解くためには、ここで君がしようとしていた事こそが、鍵を握っているはずなんだ」
「………………」
 鬼蜘蛛党の頭首の言葉を暫く吟味するかのように押し黙っていたハヤブサであるが、やがてその口を開いた。
「ここから出て………貴様は、何をしようと言うつもりなんだ?」
「さあな………」
「もしも、再び里を襲う、と言うつもりなら―――――」

「………殺すか?」

 男から問い返されて、ハヤブサは思わず、カッと頭に血が上った。
「当たり前だッ!! 『出られたら』などと言わず、今すぐ貴様を殺してやるっ!!」
 抜刀して、一直線に男へと向かって行く。
「お……おい! ちょっと待て………!」
 対して男の方は刀も持たず丸腰だったが、ハヤブサはそれには構わず、男に斬りかかって行った。放っておけば里に害を加えると分かっていて、このまま見過ごすわけにはいかないと思った。
 ただ、男の動きは素早かった。一撃必殺のつもりで自分は刀を振り回しているのに、自分の刃は男にかすりもしない。紙一重で、ひらり、ひらりとかわされている。
「おのれッ!!」
 更に振りかぶろうとした時、男の手がハヤブサの手を掴んできた。
「―――――!!」
 ギョッと見上げるハヤブサを、男はジロリ、と睨んでくる。

「………全く……! 人の話を聞けッ!!」

 男はハヤブサの手から強引に刀を捥ぎ取ると、彼の身体を蹴り飛ばした。
「ぐッ!!」
 吹っ飛ばされたハヤブサは、すぐに体勢を立て直し、短刀を構えたが、刀を持った男に立ち向かう事には二の足を踏んだ。短刀で切りかかるには、手足のリーチも含めて、子どもである自分はあまりにも不利過ぎると、悟ったからだ。
(斬りに来るか!?)
 短刀を持って構えて、男の様子を伺う。だが男は、奪った刀を手に持ったまま、構えるでもなくじっと静かに佇んでいた。
「言っただろう、ハヤブサ……。私は、君とは争う気などないと」
「その言葉……どこまで信用できる?」
 短刀を構え、男を睨みつけながら、ハヤブサが問う。その問いに、男も苦笑していた。
「……無理に総てを信用しろとは言わん。ただ、私は君に伝えたいんだ。もしも、君が私をどうしても殺したいと言うのなら―――――」
「……………」
 殺したいに決まっている、と、口の中でハヤブサが呟く。すると男が、意外な事を伝えて来た。

「この刀では、無理だぞ」

「えっ?」
 瞬間何を言われたか分からずに、目をぱちくりさせるハヤブサに、男はにこりと微笑みかけると、おもむろに自分の腕に刀を向けた。
「見ろ、ハヤブサ」
 その言葉が終わると同時に、男は自分の腕を一刀のもとに斬り落とす。
「な―――――!」
 驚き、息を飲むハヤブサの目の前で、男は斬り落とした腕を拾い上げると、切り口にピタリとくっつけた。それから腕を押さえて半刻もせぬうちに、男の腕が何事も無かったかのように元に戻り、普通に動く様になっている。
「な………! 馬鹿な………!」
「………御覧の通り、私は少し特殊体質でね……。普通に刀で切られても、このようにすぐに治ってしまうんだ」
「……………!」
「勿論、殺されてしまっても、2、3時間後には息を吹き返すぞ。君に斬られた腹の傷だって、綺麗に消えていただろう?」
「………すると貴様は、『不死の人外』だとでも言うのか……?」
 茫然としながらも、男の言葉を何とか理解したハヤブサが、ポツリと呟く。男は「そうだ」と頷いた。

「唯一、私を死に追いやれるとしたら、それは『龍剣』と、その『使い手』なのだが――――」

「―――――!!」
 ギョッと目をむくハヤブサに、男は更に衝撃的な事を言ってきた。

「リュウ・ハヤブサ……。君こそが『龍剣』に選ばれた『使い手』なのだろう? なのに、何故―――――君は今、それを持っていないのだ?」

「『使い手』!? 俺が!?」

(やはり……『使い手』としての自覚が無いのか……)
 シュバルツの言葉に驚いてしまっている少年ハヤブサを見ながら、彼は確信を深めた。だからこそ龍剣は、彼の傍を離れ、自らを『封印』してしまっているのだろう。自覚のない『使い手』の魂を、己が妖力で食ってしまわないように。

 思い出さなければ駄目だ、ハヤブサ。
 自分が何者であるのか。
 その業、その能力を。

 お前を蝕む『邪悪な物』が、お前の魂を喰い尽くしてしまう前に。

「ああ。君は龍剣に『選ばれて』いる。間違いなく、『使い手』になる筈なんだ」
「そんな………!」
 シュバルツの言葉が俄かに信じられないのか、少年ハヤブサは茫然と呟きながら、その場にへたり込んでしまっていた。
「………俺に、そんな能力は無い筈だ……。父上も、『お前にはまだ早い』と……。なのに……」
「父君が、君をここに来させたのか?」
 男の言葉に、ハヤブサは素直にこくん、と頷いていた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

龍と剣と、その拳と 25 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる