農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 11

<<   作成日時 : 2015/09/02 14:10   >>

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(ハヤブサ……)
 愛おしい人。
 大切な人。
 シュバルツはそっと、眠るハヤブサの前髪に触れる。
 すると、眠っていたハヤブサの瞳が、パチッと開いた。
「あ………起こしてしまったか……?」
 そう言って、引っ込めようとするシュバルツの手を、ハヤブサがガシッと握ってきた。
「シュ、バルツ……」
「ハヤブサ………?」
 じっと見つめられて、シュバルツは少し戸惑う。すると、ムクリと起き上がったハヤブサが、いきなりシュバルツの上にのしかかってきた。
「わっ!? ち、ちょっと……!」
 当然ハヤブサの身体はベッドから落ち、シュバルツは床の上に、ハヤブサに押し倒されるような格好になってしまう。ベッドの近くの机の上に在った千羽鶴の紙が、バサバサッと音をたてて床の上に散乱し、点滴台がガシャン! と、派手な音を立ててひっくり返った。
「ハ、ハヤブサ!? 何をやっているんだ! 危ないじゃないか!!」
 シュバルツはとにかく、周囲を片づけなければならぬと思って、ハヤブサの下から這い出ようとする。しかしそれを、ハヤブサの手足が阻んだ。ぐっと抑えつけられて、シュバルツの自由を奪ってしまう。
「あっ!」
 信じられぬ事に、その力はとても強かった。とても半死半生のハヤブサの力とは思えぬほどに。
「ハ、ハヤブサ……?」
「シュバ……ルツ……」
 だが、自分を抑えつけるハヤブサが、酷く苦しそうにしていたから、シュバルツの戸惑いは更に深くなる。何が起こっているのかは分からないが、シュバルツはとにかく抵抗する事を止めた。自分は、ハヤブサと敵対する気はないし、何をされても良いとさえ、思っているからだ。
 ふわ……と、身体の力を抜いて行くシュバルツを、ハヤブサがじっと見つめる。
「ハヤブサ……。そんなに、抑えつけなくてもいい……。逃げないから……」
「……………」
「な……。大丈夫だから………」
 顔に笑みを浮かべ、ハヤブサを宥めるように話しかけるシュバルツ。それを聞いてくれたのか―――――ハヤブサの方も、ようやく手足の力を緩めた。ハヤブサから解放された手足に、シュバルツはホッと小さく息を吐くと、その手をそっと、ハヤブサの頬に伸ばした。逃げない。抵抗する気はない。その意志を、彼に示すために。
「ハヤブサ……」
 頬に触れ、優しく撫でる。すると、ハヤブサの手も、ぐ、ぐ、と動いた。
「……シュ、バ、ル……ツ……!」
 酷くぎこちなく、苦しそうなハヤブサの動き。これにはシュバルツも、少し眉をひそめた。
「ハヤブサ?」
 おかしい。
 ここまで自分が抵抗を止めたら、いつものハヤブサならば、いい加減落ち着いて、それから何らかの意思表示をしてくる筈なのに。
「……………」
 ハヤブサの両手がぎこちない動きのままシュバルツの襟元に伸びてくる。彼はそこをぐっと掴んだかと思うと―――――
 バリッ!! と、音を立てて一気にシュバルツの服を引き裂いていた。
「――――!」
 ハヤブサの前に白い肌が露わになり、流石に息を飲むシュバルツ。
「ば……! 馬鹿っ!! 服は裂くなとあれほど言っているのに――――あっ!!」
 顎を万力の様な力で掴まれ、呼吸を奪われそうになる。
「ハ……! ハヤブサ……ッ?」
 いつもよりもかなり乱暴な所作のハヤブサに、シュバルツの戸惑いも更に深くなる。どうしたんだ、と、見上げる視線の先に、苦しそうに息をするハヤブサの姿があった。

「違……! ちが、う………!」

 聞き取れぬほどの小さな声で、ハヤブサが呻く様に呟く。

「違う……! シュ……バルツ………ッ!」

「ハヤブサ?」

「い……今……! 俺……の、身体、を……動かしている……の、は…………『俺』では、な………い………!」
「―――――!」
 はっと、息を飲むシュバルツは、確かに見た。苦しそうに息をするハヤブサの瞳が、真紅に染まっているのを。
「ウ………! ウ………!」
 呻き続けるハヤブサの瞳の色が、いつもの色素の薄いグリーンの色と、真紅に染まる色との間を行ったり来たりしている。
「ハヤブサ!!」
 シュバルツは悟った。ハヤブサは己が身体を乗っ取ろうとしている物と、懸命に戦っているのだということを。

「逃、げ……ろ……! シュバルツ――――!」

 そう言いながらハヤブサの唇は、シュバルツの唇を塞いできた。

「ん………っ!!」
(違う―――――!)
 受け入れたのは確かにハヤブサの唇なのに、その感触はハヤブサ以外の別の何かであったから、その感覚のおぞましさに、シュバルツの背に寒気が走る。
「んんっ!! んぐっ!!」
 彼は懸命に抵抗を試み始めた。とにかく、このままこの『ハヤブサ』の口付けを、受け入れ続けてはいけない、と思った。

 ――――大人シクシロ………

「…………!」
 シュバルツの『ココロ』に、仄暗い『何か』が囁きかけてくる。

 違う。
 この声がハヤブサの内側から出ているなど―――――思いたくもなかった。
「んう……! ん……ッ!」
(く、くそ………ッ!)
 口腔を悦いように蹂躙してくるその舌は、ハヤブサの物だ。だから噛み千切る訳にもいかない。だけど、このまま好きなようにさせておくわけにもいかないから、シュバルツは懸命に足掻いた。するとシュバルツを抑えつけていたハヤブサの左腕が、ふっと緩む。
「―――――ッ!」
 その隙を逃すシュバルツではなかった。彼は自由になったその右拳を、迷いなくハヤブサの鳩尾に叩きこんだ。
「ぐッ……!」
 ハヤブサは一声低く呻いて、その意識を手放し昏倒した。それを確認して、シュバルツはようやく安堵の息を吐いた。

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