農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 29

<<   作成日時 : 2015/09/30 01:48   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

「キョウジよ」
「はい。何でしょう? マスター」
 手を止めずに、返事をしてくるキョウジ。
「この後の戦局―――――お主はどう読む?」
 将棋の話をする様に、東方不敗はキョウジに問いかけていた。東方不敗はキョウジとこのような『戦談義』をする時間が、とても好きだった。
「あまり楽観視はしていません。ですから、備えています」
「備える?」
 聞き返す東方不敗の目の前で、キョウジは部品を落としそうになる。「おっとっとっと!」と、彼は慌てて部品を持ち直して、また組み上げ始めた。
「人間の命を屠り、自身に取り込むために、『邪神』はハヤブサの身体から影達を放った。だけど、その目的は、達成されてはいない………」
 話しながらも、手は猛スピードで作業を進めている。そのスピードたるや、最早神業クラスだと東方不敗は思った。
「『邪神』はそろそろその原因を突き止め、そして、考えるでしょう。自分の動きを制限している者は何か………。そして、それを取り除くには、どうしたらいいか………」
「うむ…………」
「それが見えてくると―――――『急がねばならない』と、思うんです」

 確実に悪意が
 邪気が
 近づいてきているのが分かる。

 だからキョウジは焦っていた。
 早くしなければ、外に居るドモン達の頑張りが、マスターの結界が、総て無駄になってしまうと分かるから。

(そろそろじゃな……)

 東方不敗もまた、部屋に満ちてくる邪気の濃度の上昇具合から、『邪神』が次の一手を打ってくると感じ取っていた。
 おそらく『邪神』は、結界を壊す事を考える。ここに『邪気』が満ちて来たのは、邪神の方が、結界を壊す手段を悟ったからに他ならない。
 そう。
 今――――邪神たちの影を引き止める結界を張っているのは東方不敗。
 彼を仕留めることができれば、結界はたちどころに壊れ、外に居る人間たちの命を、存分に屠ることができるだろう。
 そればかりか、ここには内側から邪神に乗っ取られそうになっている、ハヤブサとシュバルツの身体もある。
 東方不敗以外の『何者か』の結界のおかげで、内側からハヤブサが乗っ取られるのをかろうじて阻止している状態であるが、これが、外側からもハヤブサやシュバルツの身体に攻撃を加え、それを取り込む様な事態になってしまったら。
 いかに忍者二人の精神力が屈強な物でも、外側と内側の両面から邪神に攻撃されてしまっては、ひとたまりもないだろう。そこから最悪のシナリオに転がり落ちて行ってしまうことが―――――容易く想像出来た。
(その事態は避けねばならぬ)
 東方不敗は邪気払いの香の煙を見つめながら、そう決意していた。
 別に自分にとって、街に居る人間たちが邪神に襲われようがどうしようが、どっちでも構わなかった。地球人類の殲滅を一度でも企てたが故に、今でも東方不敗は人間の醜さ、汚さを十分承知しているし、命をかけて守る物でもないと思っている。
 しかし―――――自分が密やかに、主と仰ぐと決めているキョウジが、邪神によって人々が傷つき、殺される事を望んでいない。主が望まない事を、それに仕える者が違える訳にはいかないのだ。それが出来ずして―――――どうしてこの先、キョウジを主と仰ぎ続ける事が出来ようか。
(しかし……この状態で戦う事は、想像以上に骨が折れそうじゃな………)
 結界を張りつつ、ハヤブサとシュバルツの身体を守ろうとする、キョウジを守る。これは、かなり難易度が高いミッションだと東方不敗は感じていた。

 だが、やらねばならぬ。
 この状況になることを承知で、自分はここに居る事を選んだのだ。それを、今更怖じ気づくわけにもいかない。
 それが出来ずして、何がシャッフル同盟の筆頭、『キング・オブ・ハート』か。

「……そろそろ来るぞ。キョウジよ……覚悟はできていような――――」

 バキバキと指を鳴らしながら、不敵に笑う。しかし、東方不敗の額には、脂汗が浮かんでいた。

「待ってください。後少し――――」

 装置を組み上げているキョウジの手の動きが、更に加速する。その目の前で、ゆらりと黒い影が揺らめき―――――何かの形を為して行った。

 来る―――――!

 戦いの予感に東方不敗の血が沸騰する。
 殺気と邪気が充満し、この部屋の空気は今にも破裂しそうになっていた。
 影が獣と人の混じり合った様な形を為し、その目に鋭い眼光を宿らせる。
 口から鋭い牙を覗かせはじめた。

「キョウジよ!! 下がれっ!!」
「―――――!」


 東方不敗がそう叫ぶのと、キョウジが手元のスイッチを押すのが、ほぼ同時だった。
 バシッ!! と、音を立てて、キョウジの組み上げた装置から青白い光が爆ぜ、それが東方不敗とキョウジ、そして、忍者二人が寝ているベッドを取り囲むように走る。
「ギャッ!!」
 そしてその光が、キョウジに襲いかかろうとしていた獣の影を、弾き飛ばしていた。
「吻ッ!!」
 その隙を突いて、東方不敗の正拳が、影に炸裂する。ふっ飛ばされた影は、哀れそのまま壁に激突して―――――四散していた。

「ま………間に合った…………!」

 その声に東方不敗が振り返ると、キョウジが手元に在るスイッチの様な物を握りしめたまま、肩で息をしている。額からは、汗も滴り落ちていた。
「キョウジ。お主………何を作った?」
 構えを解いて問いかける東方不敗に、キョウジは苦笑気味の笑顔を見せた。
「マスターの結界を張る作業の肩代わりになる物を………。マスターの代わりにこいつが結界を張ってくれます。これでマスターは、結界を張る事を気にすることなく、自由に動く事が出来る筈です」
「……………!」
 かなり驚いた東方不敗であるが、ためしに結界に『気』をやることを少し止めてみる。これで普通なら、自分が張った結界は切れてしまう事になるのだが、結界がそのまま機能し続けている事が、東方不敗にも分かった。
「ついでに、この部屋にも軽く結界を張らせていただきました。ベッド周りだけですけど、さっきみたいに、影の侵入を一瞬ですが拒む事が出来ます。これで多少戦いやすくなると思うのですが―――――」

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

龍と剣と、その拳と 29 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる