農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 15

<<   作成日時 : 2015/09/08 14:45   >>

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「……キョウジ。頼まれていた本を持って来たぞ……ってハヤブサ、何でお前がここに居る?」
 顔をしこたま本に打ち付けて、悶絶しながら座り込んでいるハヤブサに、シュバルツの結構冷たい声と視線が突き刺さる。
「や……ちょっと……」
「『約束の日』にはまだ早いだろう!? 何故ここに居るんだ! ハヤブサ!!」
「た……他意は無いんだ……。ちょっとキョウジに、『愚痴』を聞いてもらいたくて……」
「愚痴?」
 怪訝な顔をするシュバルツに、ハヤブサはこくこくと頷く。
「愚痴と言うと……何の愚痴だ?」
 問うシュバルツにハヤブサはにっこりと笑いかけた。
「それはお前、夜の」
「出て行け―――――――ッ!!!」
 シュバルツの渾身の拳を受けた龍の忍者は、哀れ窓から外に放り出されて、星になって消えたのだった。

「……全く、あいつは本当に、何しに来たんだ!? 訳が分からん……!」

 窓から外を眺めながら、ブツブツ言っているシュバルツに、キョウジは苦笑しながら声をかけた。
「ハヤブサが愚痴を言いに来たって言うのは本当だよ。さっきまでそこで床に『の』の字を書いてたし」
「………! そ、そうか………」
 シュバルツはキョウジに答えた後、少し複雑な顔をして黙りこんだ。
「どうしたの?」
 キョウジは少し怪訝に思ってシュバルツに問う。するとシュバルツは、「な……何でも無い………」と、言って、何でも無くない表情で黙りこむから―――――

「もしかして……何で『愚痴』をハヤブサは自分に言ってくれないんだろうとか………思っていたり、する?」

「う…………!」
 図星を指されたのか、顔を真っ赤にしてしまうシュバルツ。キョウジはやれやれと苦笑した。
「ハヤブサが愚痴る原因なんて一つしかないし、貴方に言えなくて私にこぼしてくる愚痴も、一つしか無いよ」
「えっ?」
 きょとん、とするシュバルツに、キョウジはにっこりと微笑みかける。

「どうして、貴方にもっと触れさせてもらえないんだろうって、そんな愚痴をこぼしていたけど?」

「―――――!」
「毎日でも、何時間でも触れていたいのにって言ってた」
「ハヤブサ……! あの馬鹿!」
 キョウジの言葉に耳まで真っ赤にしながら毒づくシュバルツが、おかしな話だが『可愛らしい』と思ってしまう。


(多分、ハヤブサを飲み込もうとしている何らかの『邪悪な者』にハヤブサともども精神的に飲み込まれて―――――気を失っている感じなのかな。だけど、二人を繋ぐ手と、その周りを囲む光が、二人の精神がその世界で完全に飲み込まれてしまうのを防いでいる様な感じがする……)

 だから、とりあえずは大丈夫だろう。
 あの手と光が、二人の間に在る間は――――

 キョウジは、ベッドを並べて手を握り合って眠る忍者二人の姿を見ながら、そう分析する。シュバルツもハヤブサも、いつも見返りを求めることなく自分を助けてくれていた。だから今度は、自分が助ける番だとキョウジは思った。
(待っていて、シュバルツ……そして、ハヤブサ……! 絶対に助けて見せるから……!)
 強く決意して、握りこぶしを作る。そんなキョウジの横で、東方不敗がふむ、と、考え込んでいた。
「それではキョウジよ……。この二人の今の状態を、どう思う?」
「ハヤブサを蝕む何者かに、精神を引きずり込まれた様に見えます」
 東方不敗の問いに、キョウジは自分の感じたままを答える。
「何っ!? やっぱりハヤブサの奴が――――!!」
 気色ばむドモンを、東方不敗が「まあ待て」と、抑える。キョウジの答えが自分の考えていた事とほぼ一致したと見て取った東方不敗は、少し満足そうな笑みを、その面に浮かべた。

「ドモンよ。確かにこの一件は『龍の忍者』が原因ではあるが、『龍の忍者』そのものが原因ではない」

「………? 師匠、どう言う事ですか? それは……」
 東方不敗の言わんとしている事が理解し切れないドモンは、眉をひそめる。東方不敗は顎に手を当てると、言葉を続けた。
「良いか、ドモンよ……。『龍の忍者』と言う者は、ある意味伝説的な存在だ。その腕は凄まじく、一説によれば数多の邪神を滅し、あるいは封印して来たと聞く……。嘘か誠かは分からぬがな……」
 東方不敗の言葉に、ドモンはフン、と、鼻を鳴らす。
「こいつが『伝説』なら、俺は『神話』になってやるぜ……!」
 さらに訳のわからない対抗心を燃やしながら、ブツブツ口を尖らしている。
(いろんなものを滅殺したり封印したりする事が出来る『キング・オブ・ハート』の紋章を持つ者も、ある意味『伝説』的な存在じゃないのか……?)
 キョウジは苦笑しながらそう思ったのだが、敢えて口には出さなかった。相変わらずこの弟は、もの凄く負けず嫌いだと、思う。
「見たところ、今目の前の龍の忍者は、何が原因かは知らぬが――――恐ろしく衰弱しているように見える……。もしもこの『衰弱』が原因で、今までこ奴が封印して来た邪神を封ずる力が――――――弱まってきているとしたら?」

「―――――!」

 兄弟たちは同時に息を飲んで、東方不敗の方に振り向く。彼らの眼差しを受け止めて、東方不敗は頷いた。
「ドモンよ。他のシャッフルの紋章を持つ者たちにも、連絡を取れ」
「師匠!!」
「これは……我らシャッフル同盟がそろい踏みをして、当たるべき事柄なのかもしれぬ」
 東方不敗はにやりと笑いながら前を見据えていた。久々の大一番のこの戦いに、胸が躍っているように見受けられた。
「それとドモンよ……。首相とのホットラインは、まだ生きておるな?」
「はい! 師匠!!」
 先の『デビルガンダム事件』の折りに、ドモンはある意味首相の命を受けて動いていた所もあって、この国の首相と妙な信頼関係が構築されていた。
「では、ただちに首相に連絡を取れ。そうさな……この町内だけで良い。住民をすべて避難させろ」
「避難ですか!?」
 素っ頓狂な声を上げるキョウジに、東方不敗はにやりと笑みを見せた。
「そうよ。そうしなければ死人が出るぞ? 間もなくここは―――――戦場になるのだからな」

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