農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 16

<<   作成日時 : 2015/09/10 01:39   >>

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「……………!」
 息を飲むキョウジとは対照的に、ドモンはとても嬉しそうな表情をする。
「分かりました! では早速皆に連絡を取ります! あ……でも師匠!! 避難の理由はどうしましょう?」
「そんなのは向こうに考えさせろ。ただ……避難させねばここに居る者の命の保証は出来ぬと、念を押しておけよ」
「分かりましたっ!!」
 東方不敗に応えるや否や、ドモンは嬉しそうに携帯を操作しながら走り出す。その後ろ姿を東方不敗は見送った後、小さなため息を吐きながら、凭れかかっていた壁から身を起こした。

「どれ……。ワシも少し、出かけてくるかな……」

「どちらへ?」
 問うキョウジに、東方不敗はにやりと笑みを返す。
「少し、この町に結界を張って来る」
「結界……ですか」
「そうよ。邪悪な者共が、この町から出て行かぬよう――――その結界をな」
「…………!」
 息を飲むキョウジにフフフ、と笑いかけると、東方不敗は部屋から出て行った。後にはキョウジ1人が残された。

「………………」

 キョウジは無言で椅子に座り直すと、折りかけていた千羽鶴の続きをしだした。手際良く丁寧に――――キョウジの手は、一つ一つの鶴を折りだして行く。
 ただ―――――今まで気がつかなかったハヤブサから溢れ出ている黒い邪気が、時折手にまとわりついてくるのが分かる。そしてそれが手に触れるたびに、彼は微かな痛みと寒気を感じなければならなかった。
(やだなぁ……。怖いなぁ……)
 ハヤブサから溢れ出ている黒い邪気を感じながら、キョウジは苦笑する。今自分は、邪神に襲われるかもしれないこの状況で、独り、部屋に取り残されている事になるのだから。
(ただ、焦ることは無いんだ)
 キョウジは、強く己に言い聞かす。
 もしも、本当に危険が差し迫っている状況ならば、東方不敗は決して自分を独りにはしないだろう。あの人がここから場を外したと言う事は、まだここに、そこまで大きな危険は無いと判断したからと言う事に他ならない。
 先の『龍の勾玉』の事件の際に、東方不敗は自分を命がけで守ってくれた。だから、あの人は信じていいのだとキョウジは思った。ただ少し、東方不敗は自分の事を買いかぶり過ぎている様な気もする。事あるごとに「天下を取れ」みたいな事を言ってくるから、少し辟易してしまう。それが無ければいいのにとも思うが、それが無ければ自分の事をここまで気にかけてもくれないだろうとも思う。そう考えると、少し複雑だった。

(それにしても……この邪神にとって、折り鶴はやっぱり『邪魔』に感じたんだろうなぁ……)

 そう感じて、キョウジは苦笑する。
 この折り鶴にも、そして隼の里の花にも、人々の祈りにも似た『想い』が詰まっていた。ハヤブサの治癒が、願われていた筈だ。ただそれらの想いは、邪神にとっては自分の封印の力を助ける物に他ならない。それを目障りに感じた『邪神』は、だからハヤブサの身体を使って―――――
(………酷い事をするなぁ。全く……!)
 花と折り鶴を自らの手で引き裂いた事実を目の当たりにした時、ハヤブサがどれだけ傷ついて泣いたか。キョウジは今思い出しても、腹立たしい想いになる。
(……絶対にハヤブサが起きるまでに、この千羽鶴を完璧に綺麗に直してやるからな!)
 邪神に当たる存在がこの折り鶴を嫌がっていると言うのなら、尚更、きちんと折りあげてやるべきだと思った。これにどれぐらいの効力があるかは不明だが、嫌がらせぐらいにはなるだろう。
(ハヤブサ……! シュバルツ……!)
 眠り続ける忍者二人の身を案じながら、キョウジはひたすら、千羽鶴を折る作業に没頭していったのだった。


「第2章」


(何だ……? ここは……!)

 自分の居る世界に、シュバルツは戸惑い、辟易する。
 その場所はひたすら暗く、悪意と瘴気と――――そして、何故か哀しみに満ちていた。
 そして、禍々しい化け物の様な物が、数多蠢いていた。
 それらが自分を見つけると、奇声を上げながら攻撃を仕掛けてくる。
 この世界に在る自分を『異物』と見なして排除しようとしているのか。
 それとも―――――取り込もうとしているのか。

「――――――!」

 自分に迫る触手状の物の動きを瞬時に見極め、刀で弾き、寸断する。
 動かなくなった化け物の死骸を踏みつけ、シュバルツは走る足を加速させた。

 捕まる訳にはいかない。
 捕まる訳にはいかない。

 こんな悪意と哀しみに満ちた世界――――それに取り込まれてしまったら、自分を構成している『DG細胞』がどのような事になってしまうのか。それを想像することすら恐ろしかった。

 よくない事が起こる。
 よくない事が―――――きっと、起こってしまう。

 それは断じて避けなければならぬ。
 その様な事態になってしまったら、哀しませてしまう人がいる。苦しませてしまう人がいる。
 何よりも大切なその人を、そんな目に遭わす訳にはいかないと、強く思った。

 ただ、目の前に広がるのは、広大な、闇、闇、闇………。
 屠っても倒しても、尽きず襲いかかって来る化け物たちの群れ。
 この戦いに『希望』はあるのか。
 『終わり』は来るのか――――

(考えるな)

 シュバルツは強く己に命じた。
 剣は、上げ続けなければならぬ。
 走り続けなければならぬ。
 自分は、断じて捕まる訳にはいかないのだから。

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