農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 17

<<   作成日時 : 2015/09/11 16:05   >>

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「ギシャアアアアアアアッ!!」

 赤黒い肌の歪な形をした化け物が鋭い爪を振りかざして襲いかかって来る。
「―――――ッ!」
 ガツン!! と、受け止めた刀から、火花が飛び散る。
 更にわらわらと集団で、襲いかかって来る異形の者たち。
「叭ッ!!」
 シュバルツは最初に襲いかかってきた異形の物を、刀で弾き飛ばして、その集団に突っ込ませる。それによって集団が乱れ、生じた隙にシュバルツも突っ込んで行った。周囲の敵を切り裂きながら、シュバルツはその中を走り抜ける。

 まだ走れる。
 大丈夫――――

 無明の闇の中、シュバルツはそれだけを自分に言い聞かせ続けていた。
 絶対に膝はつかぬ。
 逃げ切って見せる。
 例えこの戦いに、終わりなど来なくとも―――――

 永遠に続くかと思われたこの『闇』

 それだけに、前方に『光』らしき物が視界に入ってきた瞬間、シュバルツは「まさか」と我が目を疑った。

 その白く淡い光は、優しい輝きを放っていた。

 どうか、こちらへ
 こちらへ――――

 何故か、手招きをされているようにすら感じる。

(罠か………?)
 シュバルツは、強く疑う。
 こんな『闇』と『瘴気』と『哀しみ』の満ちた世界に、『希望』の様な『光』がある筈はない。更に強力な敵があの光を放ち、こちらを誘っていると考えた方が自然だった。
 だが、シュバルツの視線は、手は足は―――――どうしても『光』の方に向いてしまう。向かってしまう。
(まるで光に吸い寄せられる、虫の如しだな……)
 己の状態をそう分析して、シュバルツは苦笑した。『光』のある方に走ってしまうのは、求めてしまうのは―――――『生命』としての本能なのだろうか。
(私に『生命』という概念も、おかしな話だがな……)
 そう。
 自分は、キョウジの『影』にして、身体はDG細胞で出来たアンドロイド。殺されても死なない自分に、命としての定義など当てはまる筈もない。
 ただそれを言うと、キョウジもドモンも、そしてハヤブサも、烈火のごとく怒り出すから、シュバルツは黙ることを選択する。しかし、自分の基本姿勢は、この先も変えるつもりはなかった。自分は空虚な『影』――――そうあるべきなのだ。
(罠であるなら、それでもいいか)
 シュバルツはそう思って、光に向かって足を進めた。どうせ、ここに味方の救助など期待できない。そこに罠があるのなら、敵がいるのなら―――――それを、突き破るまでだ。それをする事によって、事態に何らかの進展が、あるかもしれないのだから。
「りゃああああああっ!!」
 裂帛の気合と共に、敵を切り裂く。
 敵を屠り、その屍を踏みつけながら、シュバルツはその光を目指して走り続けるのだった。


「……………」
 立ちはだかった異形の物を、頭から一刀両断にする。二つに裂けたその身体が、べシャッと音を立てて地面に倒れたのを確認して、シュバルツはふっと一つ息を吐いた。周りに敵の気配もなく、殺気も漂っていないことを確認してから、シュバルツは抜刀していた刀をブン! と、大きく露払いをして、それを鞘へとしまった。

 目の前には、あの優しく輝く淡い光がある。

(特に妖しい気配も何も無い……。これは、どう言う事だ……?)
 シュバルツは光を見つめながら、却って首を捻っていた。光は穏やかな輝きを辺りに放っているだけで、特に罠らしい物も、殺気も悪意も感じない。
 信じられなかった。
 こんな暗い世界に、こんな人畜無害な『光』が存在していようとは。
(しかし……これは、どう判断すればいいのだ? この『光』が、この世界を突破するための指針になり得ないのだとなると―――――)
 あまり期待はしていなかったが、これからの行動指針を見失いそうになって、シュバルツは少し途方に暮れ気味になる。
「………………」
 もうここに、じっと居ても仕方がない。次の行動に移らねばならないと分かっていて、それでも、この光の前から立ち去り難く感じてしまうのは何故なのだろう。
(やっぱり虫と、同レベルなのかな)
 光を求める自分の本能に妙なおかしさを感じてシュバルツが苦笑していると、また―――――何処からともなく声が聞こえて来た。

 こちらへ
 どうぞ―――――こちらへ

(何だ………?)
 その不思議な声に、シュバルツが眉をひそめた、刹那。

 光から、いきなり伸びてくる白い手。シュバルツはそれを―――――振り払えなかった。

「――――――!?」

 彼はそのまま、あっという間に白い光の中に、引きこまれてしまうのだった。


 その先の空間には、地面が無かった。
「!? !? !?」
 シュバルツは、3度周りと己の体勢を確認して、自分が今空中に放り出されたと確認する。重力に引かれたことで、そちらが『下』と認識したシュバルツは、自分がこれから着地するであろう地面の状態を確認した。
 すると、下には円形の地面の様な物があり、そこに一人の人影が動いているように見える。ぶつかると危険と判断したシュバルツは、とりあえずそこの人影に、自分の存在を認識してもらうべく、声を張り上げる事を選択した。

「すまん!! ちょっとそこを、退いてくれええええええっ!!」

「―――――!?」
 その人影は上空のシュバルツを認識してくれたのか、俊敏な動きでかわす動きをする。着地できる場所を確保できたシュバルツは、猫の様に着地体勢を整えると、スタッと地面に無事着地をする事に成功していた。

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