農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 30

<<   作成日時 : 2015/10/01 12:42   >>

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「でかした、キョウジ。よくやってくれた」
 東方不敗は素直にキョウジに礼を言う。
 結界に気を配らなくていい事と、相手に強制的に隙を作らせる機会があると言うだけで、戦いやすさが格段に違ってくるからだ。
「それにしてもキョウジよ……。一体どうやってこの装置を作り上げたのだ?」
「ええと、マスターの身体から出ている『結界の波動』を分析して―――――」
 そう言ってキョウジが装置について説明して行くのを、東方不敗は半ば顔をひきつらせながら聞いていた。
 自分が結界を張り出してからここに至るまでの僅かな時間で、よくぞここまで解析して、この仕組みを作り上げたものだ。あまりにも天才過ぎてひっくり返りたくなるのは気のせいなのだろうか。
(それにしても、これだけの才覚があると言うのにこ奴ときたら――――)
 東方不敗は知らずため息を吐いてしまう。
 何故―――――大望も野望も抱かずに、大学の一非常勤講師としてくすぶっているのだろうか。彼ほどの才があれば、それこそ、何にでもなれるだろうに。

「ただ………この装置は『電気』で動いています」

 ショットガンの様な物を手に持ち、弾を装填しながらキョウジは言葉を続けた。
「今は街のライフラインが稼働していますから、特に問題はありませんが―――――それが破壊された時が問題ですね。活動限界時間が生じます」
「それは、どれぐらいじゃ?」
 問いかける東方不敗に、キョウジは苦笑しながら答えた。
「自家発電の装置に切り替えて、およそ72時間と言ったところでしょうか。それ以上となると、少し難しいですね……」
「72時間か………なる程のう」
 東方不敗はにやりと笑った。戦いに制限や困難はつきものだ。こういう条件が有った方が、寧ろ自分としては燃えられた。

「短期決戦―――――望むところよ!!」

 バコォッ!! と、音を立てて、東方不敗の拳が炸裂し、また一つ影を屠っていく。
「さあ! 雑魚共!! かかって参れ!!」
 喜々として戦う老人の背後で、キョウジはショットガンを構えながら、もう一台自家発電機を作った方がいいだろうかと考え始めていた。


「うおおおおおおっ!!」


 少年リュウ・ハヤブサと、龍剣の『守護者』との戦いは、いつ果てるともなく続いていた。シュバルツは、それを静かに見守っていた。
 仁王の格好をした守護者は、双剣を振り回してハヤブサと相対する。ハヤブサはそれに互角に渡り合っているようにも見えたが、やがて、徐々に仁王に押されつつあるように見えた。
(やはり……子どもの格好のままでは不利だな……。リーチも短いし、力も押し負けているように見える………)
 シュバルツは、ハヤブサの戦いを見守りながら、そう分析していた。彼が『龍剣』に『使い手』として認められるようになるまでは、まだ少し時間がかかりそうだった。
(ハヤブサが自分の本来の姿を思い出す事が出来さえすれば……話は早いのだろうが―――――)
 そこまで導いてやるには、どうすればいいのだろうかとシュバルツが思案をしていた時―――――ふと、背後に寒気を感じた。
「―――――!?」
 振り返ると、背後の空間にひびが入り、そこから巨大な怪物のような黒い影が、強引にこちらに入り込もうとしている。鋭く長い爪が妖しい輝きを放ち、ぎらついた眼光でシュバルツを睨みつけていた。
(まずい……! 防がねば――――!)
 強くそう感じて、刀を挿しているはずの腰に手をやるが、そこに得物は無かった。シュバルツの刀はハヤブサに取り上げられ、かなり離れた所の地面に突き立てられていたのだ。
 刀を取りに行くか、と、シュバルツは一瞬思う。しかし、すぐに考えを改めた。
 もしも、自分が刀を取りに行くそぶりを見せれば、それだけで、ハヤブサの戦いの邪魔をしてしまう事になる。自分は「邪魔をしない」と、彼と約束をした。それは、守られねばならぬと、彼は思うのだ。
 だが、このままこの怪獣じみた影の侵入を許してしまうのもきっとよくない。この空間はハヤブサの『心』―――――何としても守らなければと、シュバルツは強く思った。
(ならば、どうする?)
 シュバルツは咄嗟に周りを見渡して、自分の近くにある朽ちかけた観音像の背中に、ボロボロに錆びついた剣が背負われているのを見つけた。
(これを借りよう)
 シュバルツは観音像に向かって手を合わせて一礼すると、その背中から、そっと剣を引き抜いた。
「……………」
 剣を中段に構え、目を閉じる。
 心の中に思い描くは、滴り落ちる一滴の水。
 集中する。
 その水滴に。
 目の前を落ちて行こうとする、それを―――――

 刀の光が一刀両断にした瞬間、シュバルツはカッと目を見開いた。

 朽ちかけている刀の刃に、あり得ない程の輝きが宿る。
『明鏡止水』―――――
 彼の『極意』の発動であった。

「いざ、参る」

 チャッと、刀を正眼に構え、シュバルツはその怪物の真正面に立っていた。


 ガツン!!

 何十合と打ち合った刀が弾かれ、少年ハヤブサの身体は後方に弾き飛ばされた。
「くっ!!」
 素早く体勢を立て直し、仁王を睨みつける。
 仁王は息一つ乱さず、ただ静かにそこに立っていた。対して自分の呼吸は上がり、乱れて行く一方だ。
 酷く勝ち目のない戦いをしているように感じられて、ハヤブサはギリ、と、歯を食いしばる。
(あきらめる訳にはいかない)
 それでも重い足腰に鞭をうち、刀を上げた。
 自分ならば龍剣を取って来られると信じてくれた父のためにも。
 襲われている里を、救うためにも―――――
「叭ッ!!」
 もう一度、立ち向かう。
 ぶつかっていく。
 自分は―――――それしか出来ないから。

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