農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 39

<<   作成日時 : 2015/10/20 00:05   >>

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「…………!」
「マスター……正直に答えてください。この状況、あとどれぐらいしのげそうですか?」
「……………」
 キョウジの問いかけに、東方不敗は沈黙を返す。つまり、彼の力を以ってしても、あと5分しのぎ切るのは厳しいと言う事なのだろう。キョウジはそう判断した。恐らくこのままだと、東方不敗は最悪キョウジを守る事だけを優先して、シュバルツやハヤブサの身の安全を保障しなくなる可能性が高い。今は二体しか出現していない『ハヤブサもどき』が、この後増えない、と言う保証も、どこにもないのだから。
 それでは駄目なのだ。
 自分は―――――ハヤブサやシュバルツを守るために、ここに残っているのだから。

「武器を一つ、作ろうと思っています」

「―――――!」
 キョウジの提案に、東方不敗がピクリと反応する。
「ただ………作る時間が………」
「どれぐらい要る?」
 東方不敗はすぐに問いかけて来た。

「2分あれば………」

「2分じゃな!? よしっ!!」
 東方不敗はガバッと顔を上げる。
「任せよキョウジ!! この東方不敗、2分くらいの時間をお主に提供する事など、造作も無い事じゃあ!!」
 ダンッ!! と、強く踏み込み、バールの様な物を手にして構えをとる。虎の様な気迫が、辺りを睥睨した。
「頼みます」
 キョウジは短くそう言うと、フ―――ッと大きく息を吐いた。それから静かに、目の前に並ぶ工具たちを見つめる。

 今から自分は、『武器』を作る事のみに専念する。
 その間、自分の身を守ることは―――――

 考えない。

(勝負!!)
 ガバッと工具と材料をひっつかみ、キョウジは作業を開始する。それと同時に『ハヤブサもどき』たちも、一斉に彼らに襲いかかって来ていた。
「猪口才なッ!!」
 叫ぶ東方不敗は、バールの様な物を振り回しながら片方に対応し、もう片方の影には自分の腰紐に『気』を込めて、棒の様な状態にして対応していた。二体の黒い影と、東方不敗がぶつかり合うたびに、青白い火花がガキン、ガキッ! と、音を立てて飛び散っていく。キョウジを『守る』ことに専念する東方不敗は、その場を動かない。そこで行われる戦いは、まるで力強い武闘の舞を見ているが如くだ。
「ギャッ!!」
 影の一体が結界の力に弾かれて悲鳴を上げる。
「――――!」
 すかさず東方不敗が止めのダークネス・フィンガーを見舞おうとするが、間一髪避けられてしまった。
(チッ!! もう少し踏み込んで来おったら、仕留めておれたものを……!)
 軽く舌打ちをしながら、東方不敗はもう一度、キョウジが張ってくれている結界の範囲を確認する。これを活かそうと、時折東方不敗は誘いをかけてみるのだが、敵もそれを意識しているのか、深く踏み込んでは来ない。少し間合いを開け気味に、刀と手裏剣で攻撃を仕掛けて来るのみだった。
 時に手裏剣が、キョウジの身体を掠めて床に突き刺さる。
「……………」
 だがキョウジは、それに頓着することなく武器を組み立てる作業を続けている。相変わらず、凄まじいまでの集中力だ。
「我が王の戦い! 誰にも邪魔はさせぬ!!」
 東方不敗は吠え、彼の気力が膨れ上がる。白い布がしなり、刀を、手裏剣を、ことごとく退ける。『ハヤブサもどき』の影二体を相手に、互角以上の戦いを、彼は繰り広げていた。
 しかし。
「むっ!!」
 その奥からもう二体、ハヤブサもどきの影が抜刀しながら近づいて来ているのを見て、東方不敗の額のしわが、さらに深くなる。
(おのれ……!)
 普通に考えるならば、ここはもう潮時だ。キョウジの身体を抱えて逃げ、外の仲間たちと合流するのが戦いの常道だった。
 だが、キョウジは今まさに、己の戦いを続けている。それを邪魔するのは東方不敗としても本意ではない。それに自分は約束した。キョウジに『2分』の時間を提供すると。それは――――必ず果たされなければならぬと東方不敗は思うのだ。それが出来ずして、何が『キング・オブ・ハート』、何が『王の戦いを守る者』か。
「うおおおおおおっ!!」
 獣の様な咆哮が、辺りの空気を揺らす。

 守る。
 何が何でも。
 この腕一本折れようとも。
 足がもげようとも――――

「爆発!!」

 グワンッ!! と、派手な轟音を立てて、影の一体の身体が爆ぜる。
(よしっ! 一体仕留めた!!)
 そう思って顔を上げる東方不敗の視界に、さらに二体の『ハヤブサもどき』の影が迫って来ているのが見える。
「…………!」
(まだか!? キョウジ!!)
 東方不敗は思わず、キョウジの方を振り返っていた。
 彼の高速で動く手元から、魔法の様に武器が作り上げられて行っているのが見える。
 後少し――――
 東方不敗はギリ、と顔を上げ、歯を食いしばっていた。

 負けぬ。
 退かぬ。
 守り切って見せる――――

 状況は5対1。ダン!! と、激しい踏み込み音と共に振られるバールは、3本の刀を防ぎきる。東方不敗の周りを舞う白い布は、無数の手裏剣を叩き落としていた。
「覇ッ!!」
 発頸を伴って繰り出される東方不敗の短く鋭い突きが、一体の影をまた葬り去る。これで4対1。仕留めた『ハヤブサもどき』の影から、間髪入れずに別の影が斬りかかって来る。
「吻ッ!!」
 バールと刀がぶつかり合い、青白い火花が飛ぶ。その刹那、不吉な音を立ててしなるように飛んでくる一つの黒い影が。
 『それ』が影の操る鎖鎌であると気づいた時には、既にそれはキョウジの頭上に在った。

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