農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 42

<<   作成日時 : 2015/10/25 00:31   >>

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「確かに、そうみたいだな……」
 部屋の中に湧いている敵の様子を見ながら、チボデーが少し唖然としている。対してジョルジュは納得したように頷いていた。
「なるほど……外の敵が減って行ったのは、私たちが倒し続けたせいもあるのでしょうが、『邪神』がここに戦力を集中させたせいもあるのですね。一体一体から、先程の敵とは比べ物にならない邪気の強さを感じます」
「外の敵は、減っているのか?」
 キョウジの質問にチボデーが頷く。
「ああ。俺たちがここに来る頃には、もうほとんどいなくなっていたぜ」
「チボデー! 油断は禁物です。こちらに敵が来ますよ!」
 ジョルジュの叫びに皆がはっと顔を上げると、確かに、東方不敗たちの戦いに巻き込まれていない影達が、抜刀しながらじりじりとこちらに向かって来ているのが見えた。
「……………!」
 キョウジが銃を構えて息を詰めると、チボデーとジョルジュがゆらりと立ち上がる。そのままスッと、戦う態勢に身構えていた。
「チボデー、刀に対して素手は危険だ。これを」
 キョウジがそう言ってバールの様な物を渡そうとすると、チボデーはにやりと笑った。
「兄さん。気持ちはありがたいが心配は無用だぜ。俺は、ボクサーだ」
「しかし………!」
「ボクサーにとって、『剣』は拳だ。手に持つ『剣』は、却って邪魔になるからな」
 そう言いながらチボデーは、フットワークを利かせながらファイティングポーズをとる。チボデーの刻む、軽快な足のリズムが、辺りに響き渡った。その横でジョルジュが、無言でフェンシングの剣を構えている。
「shooooot!!」
 その掛け声と共に、チボデーが動いた。間合いに入ってきたモンスターに向かって、猛然とラッシュを仕掛けて行く。
(なるほど、旨いものだな)
 その戦いぶりを見て、キョウジは納得もし、感心もしていた。敵に向かって怒涛の如く繰り出されるパンチは、相手を防戦に追いこみ、刀が振るわれる事を防いでいる。しかし、よくもまあ刃物を持っている相手に向かって、あれだけ打ちこみが出来るものだ。下手をしたら拳が寸断されかねないのに―――――そう言う事を恐れたりはしないのだろうか?
 一瞬の隙を突いて懐に潜り込んだチボデーから、強力なアッパーカットが繰り出される。
「ジョルジュ!!」
 敵が宙に浮いたのを見計らって、チボデーが叫んだ。
「お任せを!!」
 それに応えたジョルジュの手元から、複数の白刃がきらめきながら放たれる。それは頭から腹にかけて縦一線にモンスターに的中すると、そのモンスターはあっという間に細かい粒子となって四散して行った。
「フ……我々の手にかかれば、こんなもの――――」

「ジョルジュ!! 伏せろ!!」

 彼の言葉が終わらないうちに、キョウジの叫び声が飛んでくる。
「――――!」
 弾かれる様にジョルジュが伏せると、間髪入れずに銃声が響いた。

 タァ――――――ン!

「ギャッ!!」
 ジョルジュのすぐ後ろにいたモンスターが、キョウジの放った弾丸によって眉間を撃ち抜かれ、倒れて行く。
「油断するな!! 次が来るぞ!!」
 次弾を弾倉に込め、素早く銃を構えるキョウジ。
「助かりました! ありがとうございます!」
「礼は良いから」
 律儀に礼を言ってくるフランス人青年に、キョウジは銃を構えたまま答える。
「ジョルジュ! 行くぞ!!」
 チボデーの呼び掛けにジョルジュも応え、再び3人は戦いの中へと、身を投じて行った。近接戦を得意とするチボデーに、中長距離に対応できるジョルジュ。時々キョウジの援護射撃も入り、その戦いは順調なようにも見えた。
 しかし。

「兄さん!!」

「―――――!」
 チボデーの叫びにキョウジがはっと気づいた時、既にその敵は、彼の間近に迫っていた。
「しまっ……!」
 キョウジが銃口をその敵に向けるよりも早く、振り下ろされようとする刀。ジョルジュも短刀を投げようとするが、間に合わないと気づいてしまう。
 皆の脳裏に最悪のシナリオがよぎり、場の空気が凍りつく。
 だが、そのモンスターの刀が振り下ろされることは無かった。
 何故なら―――――

 ドグワッシャアアアアッ!!

 派手な音を立てて、東方不敗がそのモンスターの上から強烈な蹴りを入れて来たからである。
「フン……! ワシの目の前で我が主を刀の錆びにしようとするなど、100万年早いわ!!」
 キョウジを庇う様にして立ち、東方不敗は四散して行くモンスターをねめつけていた。
「マスター!?」
 驚いて見上げてくるキョウジに、東方不敗はフン、と、鼻を鳴らす。
「お主がどこまで戦えるか見ておったが……やはり、まだまだの様じゃな」
「……見ていてくださってたんですか……?」
 茫然と問い返してくるキョウジに、東方不敗は「当たり前だ」と、答えた。

「お主はワシが、『我が主』と認めた存在。主を守るのは、武人として当然の務めであろう?」

「そ、そうなんですか……」
 東方不敗の言葉に、キョウジはひきつった笑みをその面に浮かべるしかない。
 東方不敗の想いは大変ありがたいのだが、キョウジには、この人は、どうにも自分を買いかぶり過ぎている様な気がしてならなかった。それにしてもこの人は、ドモンとの戦いに熱中していたように見えたのに――――
(私の方にも気を配る余裕があるとは……やはり、ドモンはまだまだ未熟、と言う事になってしまうのかな)

「兄さん!! 師匠!!」

 東方不敗から少し遅れて、ドモンもキョウジの元に駆けつけてくる。
「ドモンよ。キョウジはワシが守る。お主は、敵と戦う事に専念せい!」
「分かりましたっ!」
 兄の安全がとりあえず確保されたと悟ったドモンは、すぐに戦いの場へと戻っていく。頭に血が昇りやすい弟ではあるが、こういう切り替えの早いところが、ドモンのいいところだとキョウジは思った。
「では我々も」
 そう言ってチボデー達も戦いに戻ろうとする。それを、「ちょっと待ってくれ」と、キョウジが引き留めた。

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