農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 37

<<   作成日時 : 2015/10/15 08:18   >>

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「そうでしょうね……」
 キョウジは硬い表情で、手元の作業を続ける。発電機がおよそ半分ほどまで組み上がろうとしていた。

 やれやれ、と、東方不敗が一つ息を吐いた時――――『それ』は、姿を現した。

 それは、一つの鋭い『殺気』の塊だった。
「―――――!」
 それに気がついて振り向いた東方不敗は思わず息を飲み、キョウジは知らず叫び声を上げそうになっていた。それもそのはずで――――そこに居たのはリュウ・ハヤブサの姿形を模した、化け物であったのだから。
 勿論、ハヤブサその物の形をしている訳ではない。身体中にごつごつと鋭い突起が生え、一目でそれが黒い影の亜種であることが、分かるようになっている。しかし、その歩き方、体の運び方が、『ハヤブサ』その物であったから―――――

「ほう……」

 東方不敗はバキバキと指を鳴らしながら、キョウジを庇うように前に出ていた。

「なかなか面白き姿形、気配を纏う者よ……。じゃが……その腕はどうかな……?」

 それに、ハヤブサの形をした影が答えることはない。影は無言で距離を詰めてくると、背中に挿してあった剣を抜き放った。
「…………」
 キョウジも手元の作業を止め、無言でショットガンを構える。この影から放たれる異様なまでの殺気が、彼の警戒心をMAXに跳ねあげていた。それは東方不敗も同じなのだろう。正眼で構えをとり、油断なく身構えている。

 しばし、耳が痛くなるほどの沈黙が、部屋の中を覆う。

 じりじりとした殺気が満ちに満ちて、空気が破裂しそうだとキョウジが感じたその、刹那。

 ダンッ!!

 激しい踏み込み音と共に、東方不敗と影の、双方の身体がぶつかり合った。
「―――――!」
 刀に対して武器も持たず丸腰で―――――と、キョウジの顔色が変わるが、その心配は杞憂であったとすぐに悟る事になる。東方不敗は相手の刀を避けながら、器用に組み合っている。
 全く伯仲した戦い。しかし、刀と徒手ではリーチの差がいかんともしがたく、少し東方不敗が押されているようにも見えた。

「マスター!」

 だからキョウジは自分の手元に散らばる工具からバールの様な物を掴み取ると、迷わず二人の戦いに向かって投げつけた。それを影の方が刀を使って避ける。くるくると宙を舞うバール。それを、東方不敗がパシン、と、音を立てて掴み取った。

「フフフ………」

 良き得物を得た――――と、言わんばかりに東方不敗はバールの様な物を構える。そこに、影が無言で斬りかかってきた。

 ガキッ!!
 ガツン!!

 激しい剣撃の応酬の中、白刃がきらめき、青白い火花が飛ぶ。
(速い……!)
 動体視力はとても良いキョウジであるが、この二人の戦いは追い切れない。援護のタイミングを掴むことができず、ただ固唾をのんで見守るしか無かった。
「――――!」
 宙に飛ぼうとした影の足を、東方不敗のもう一つの得物である白い布が絡め取る。
 そのまま強引に、ドスン、と、床に叩きつけられる影。
「死ねい!!」
 そこに東方不敗が間髪入れず襲いかかる。ここで勝負は決まった――――――かに見えたのだが。
「ぬうっ!?」
 仕留めたと思った瞬間、影の姿が東方不敗の目の前からフッと消える。彼の拳は空しく床を穿っていた。バキッ!! と床板が割れ、辺りに木片が四散する。

「キョウジ!!」
「―――――!」

 影の生き先を瞬時に悟った東方不敗は、キョウジに向かって叫ぶ。呼びかけられたキョウジも躊躇わなかった。上空からこちらに向かって跳躍してくる影に向かって、迷わずショットガンをぶっ放す。

 ドコオッ!!

 ショットガンは確かに、影の身体に命中した。だが影は、己の身体の一部が吹き飛ばされようとも、全く怯まなかった。そのまままっすぐ突っ込んでくる先には、ベッドの上で眠り続けるハヤブサの身体が。
「くっ!!」
 キョウジは咄嗟に己の身をその上に投げ出して、ハヤブサを庇う。凶悪な刃が、キョウジの背中に達しようとした、その瞬間。
 作動したベッドの周りの結界が、バシッ!! と、音を立てて影の身体を叩く。
「ギャッ!!」
 悲鳴を上げる影。そしてその一瞬に生じた隙が――――彼の命取りとなった。東方不敗の右手が、影の首根っこをガシッと掴み取る。

「死ねい!! ダークネス・フィンガ―――ッ!!」

 掌から発せられた元『キング・オブ・ハート』の紋章の光が、影の首根っこに直接たたき込まれる。
「――――――ッ!!」
 影は叫び声にならぬ悲鳴を上げながら、四散して行った。
「キョウジ………怪我は無いか?」
「はい……。ありがとうございました……」
 東方不敗に礼をいいながら、キョウジはそろりとその身を起こす。
 それにしても、手ごわい敵だった。動きと言い強さと言い―――――まさか、こちらのショットガンの攻撃が、ほとんど通用しないだなんて。
(これは……もう一段階波動の強い弾を放てる武器を用意した方が、良いのかもしれないな……)
 さてどうしたものかとキョウジが思案しながら工具類を見つめていた時。
「キョウジ!!」
 少し切羽詰まった響きを湛えた、東方不敗の声が響き渡った。不思議に思って顔を上げると、東方不敗がこちらを庇うように立って、身構えている。


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