農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 52

<<   作成日時 : 2015/11/11 01:09   >>

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「……………」
 ふらふらと伸びる、シュバルツの手。だがその時、彼の足元にハヤブサの繭がこつん、と、音を立てて当たった。
 はっとシュバルツは我に帰る。
(駄目だ……! まだ帰れない。ハヤブサに龍剣を得させるまでは――――!)

 分かる。
 今ここで、総てを投げ出して帰ってしまっては駄目だ。
 そんな事をしてしまったら、何のためにハヤブサがここで頑張ったのか、何のためにあの観音像がここに結界を張り続けたのかが、分からなくなってしまう。総ての努力が水泡に帰す―――――そんな予感がした。

 シュバルツは、きっと顔を上げた。
 キョウジとドモンをまっすぐ見つめながら、叫ぶ。

「キョウジ! ドモン! 済まない……! まだ、私はそちらにはいけない……!」

「シュバルツ!!」
「兄さん!!」

 懸命に叫び、必死に手を伸ばしてくる二人に、シュバルツは優しく微笑みかけた。

「だが、待っていてくれ……! 必ず帰る!!」

「―――――!」

「ハヤブサもつれて、必ず帰るから……!」

「シュバルツ……!」
「兄さん!!」

「ドモン、キョウジをよろしくな」

「―――――!」

 思わず言葉を失ってしまうドモンに、シュバルツはにこりと微笑みかける。その瞬間。
 バシン、と、乾いた音を立てて、その亀裂が閉じてしまった。

「シュバルツ!!」
「兄さんッ!! 兄さ―――――ん!!」


「く………!」
 キョウジのすぐ横で、東方不敗の呻き声が聞こえる。思わずキョウジは顔を上げていた。
「大丈夫ですか!?」
「ああ。大事ない。それよりも、見よ」
 東方不敗の指し示す先には、空間に『ゲート』の様な穴が開き、その向こうに暗黒の空間が広がっていた。
「さすがにシュバルツ達の居る所に直通の通路を作るのは無理であったが、お主たちの呼び掛けのおかげで、彼の『邪神』の内部に直接入り込む事が出来る通路を作ることは出来た………」
「……………!」
「これで、こ奴の内部に入り込んで、直接対決に持ち込むことも可能になった訳だが……」
 ここで東方不敗はフッと小さな息を吐く。
「かなりの危険を伴う事も、また事実だ。現に、この『ゲート』を使って、『邪神』がさらに強力なモンスターをこちらに送り込んでくることも可能になる、とも言えるからな」
「うえ〜〜! おっかね〜〜〜〜!」
 戦いながら東方不敗の話を聞いていたサイ・サイシーから、少しおびえた声が上がる。東方不敗はキョウジに視線を移した。
「どうする? キョウジよ……。このゲートは閉じても良いが……」

「……………」

 東方不敗の問いかけに対して、キョウジはすぐには答えず、沈黙を返した。
 こちらから攻撃を仕掛けられると言う点においては、魅力的な提案ではある。しかし、『邪神』と直通の通路が出来てしまうと言う事は、かなりの危険を伴う事も、また事実だ。
(さてどうする)
 そうキョウジが思案している最中に、隣にいたドモンが声を上げた。

「行けるのなら、迷うことは無いじゃないか。俺は、行くぜ!」

「ドモン……!」
 驚いたように見上げてくる兄をまっすぐ見やると、弟は言葉を続けた。
「あのままシュバルツを独り、放ってはおけないし、それに―――――」
「それに?」
「絶対にハヤブサを、抉るように一発ぶん殴ってやる!!」
「―――――!」
 目をぱちくりさせる東方不敗とキョウジの前で、ドモンは拳を強く握りしめていた。
「よくも兄さんを危険な目に遭わせやがって……! こんなの、ぶん殴ってやらなきゃ気が済まない!!」
 そう言いながらぶりぶりと怒っているドモンを見ながら、東方不敗は呆れかえり、キョウジはいつしか苦笑していた。
(つまりこれは、ドモンなりに『ハヤブサが心配だ』と、言っている様な物だな……。全く、素直じゃないんだから……)
「ドモンよ。どうしても行くのか?」
 東方不敗の問いかけに、ドモンは睨みつけるように頷いた。
「ああ、師匠! 止めても無駄だぜ!!」
 弟子の答えに、東方不敗はやれやれとため息を吐いた。
「見ての通り、中は暗黒の空間だ。入ったところで、シュバルツ達の居る場所に辿り着けるかどうかも分からん」
「…………」
 その言葉にドモンは沈黙を返し、キョウジは確かにそうだな、と、頷いた。
「それでも、お主は行くのか?」

「愚問だ!! 俺は行く!! 俺に兄さんが、見つけられない筈が無い!!」

「――――!」
 ある意味、もの凄い事を云い切ったドモンのその言葉に、その場にいた全員が目をしばたたかせる。チボデーが小さく「ブラコン……」と、呟いて、隣のジョルジュにど突かれていた。
「だ、そうじゃが………キョウジはどう思う?」
 少々呆れながらも東方不敗はキョウジに意見を求める。それにキョウジは、意外にもにこやかな笑みを浮かべながら答えた。
「私も、ドモンの意見に賛成です。このままここで受け身で戦っているより、踏み込める時に踏み込んだ方がいい」
「……………!」
「それに、ドモンならば、きっと大丈夫――――」
 キョウジは、ドモンをまっすぐ見つめながら、言い切った。
「彼ならば絶対に、シュバルツを見つけ出して来てくれるでしょう」


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