農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 59

<<   作成日時 : 2015/12/01 00:13   >>

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「……………!」
 ふと後ろを振り返ると、ハヤブサの『繭』にひびが入っているのが見える。
 きっと、龍の忍者が覚醒するまで、あと少し。
 仁王像もそれを感じているようで、時折ハヤブサの方に視線を走らせては、シュバルツの方を見て頷いてくる。その所作に、少し嬉しそうな色が混じっているのは気のせいだろうか。
 そうだ。龍剣も待っている。
『真の主』に手に取ってもらえる日を、心待ちにしている。

 だから、早く
 早く帰って来い。ハヤブサ―――――

 ――――龍ノ忍者ガ龍剣ヲ手ニ入レタラ………ソノ後、オ前ハドウスルツモリダ……?

 不意に、誰かの声が心に響く。
 シュバルツはその声に律儀に答えた。
(知れたこと。この世界から、ハヤブサと一緒に出るのみだ)

 ――――龍ノ忍者ガ、オ前ヲ『仇』ト憎んでイテモカ………?

「――――――!」
 シュバルツは一瞬眉をひそめるが、すぐに顔を上げた。
(ハヤブサが龍剣を手に入れさえすれば、それでいい)
 それ以上にも以下にも、シュバルツは望みがなかった。だからシュバルツは、迷わずそう答えた。

 ――――ナラバ、オ前ハモウ『用済ミ』トイウワケダナ……

「…………!」
 痛いところをつかれたシュバルツは、ぐっと言葉に詰まる。その『声』は、更にたたみかけてきた。

 ――――ダガ、祝ウベキ事デモアル……。ヤット、アノ龍ノ忍者ヲ、オ前ノ持ツ『闇』カラ解放デキルノダ。ソウダロウ……?

 違うと叫びたい。
 だけど、叫べない自分をシュバルツは感じてしまう。
 確かにそうなのだ。
 今――――ハヤブサは完全に自分のことを忘れてしまっている。

 それならば

 それならば、いっそ、このまま

 このまま―――――自分は忘れ去られてしまった方が、ハヤブサのため―――――

 それは、日ごろから心の片隅で考えていたことでもあった。
 自分が、自然のものから生まれたものではない、いびつな存在であったが故に。

 キョウジの前から
 ドモンの前から
 ハヤブサの前から――――

 消えてしまったほうがいいのではないかと、そう考えることがないわけではなかった。
 だけどそれをしたら、酷く悲しませてしまう人たちがいる。
 シュバルツにもそれがわかっている。だから、普段はなるべく表には出さぬよう、それは心の奥深くにしまわれていたものであったのだが。

 だが、その『声』によって心の奥底がかき乱され、ふっとその考えが表に出てきてしまった。

 そう。
 自分さえ消えれば。
 自分さえ、消えてしまえれば―――――

(―――――捉えた!)

 時間にして、シュバルツが闇に捕らえられたのはほんの一瞬。だがその一瞬は、ラクシャサにとっては十二分な時間だった。ハヤブサを闇に落とすための最高の『駒』を手に入れるべく、ラクシャサは手を伸ばす。
 動きが止まってしまったシュバルツ。捕らえるのは容易いように思えた。

 しかしここで、ラクシャサにとって思わぬ邪魔が入ることになる。

 だれあろうそれは、隣で戦っていた『仁王』であった。

 仁王は、もともと『龍剣』の化身。だから、仁王にとって、主であるハヤブサを守る行為は、ある意味当然なものであるといえた。
 だが仁王は、シュバルツに危機が迫っていると悟った瞬間、勝手にその体が動いてしまっていた。
 シュバルツに対して『恩』があるわけでも
『義理』があるわけでもなかった。
 ましてや、主と認めているわけでもなかった。

 しかし―――――

 ハヤブサと自分が戦っている間、じっと真剣にこちらを見つめていたシュバルツ。
 それが、ハヤブサに剣の稽古をつけるとき、仁王である自分の動きを、完璧にその身に宿すことにつながっていた。

 その真摯な剣に対する姿勢に、心動かされたのだろうか。
『情』が移ったのだろうか。

 それは、仁王自身にも最早わからない。
 だが、体は勝手に動いていた。

 ガキッ!!

「―――――!」
 自分のすぐ背後で響いた剣撃音に、シュバルツははっと我にかえる。
 振り向くと、仁王が自分のすぐ背後で、自分を庇うように立ち、いずこからともなく攻撃を仕掛けてきた黒い触手のような物を、剣ではじき返している姿が視界に飛び込んできていた。
 

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