農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 70

<<   作成日時 : 2015/12/31 00:51   >>

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「シュバルツ……! お前……!」

「ハヤブサ………」

 愛おしいヒトの、静かな声。どうして、忘れていたのだろう。

「お前……! どうして………!」

 ハヤブサの問いかけに、シュバルツはにこりと微笑みかけた。

 ――――斬ってくれて、よかったのに

 声なき、シュバルツの声。思わずハヤブサは叫んでいた。

「止めてくれ!!」

 目の前で怒鳴られて、シュバルツは知らず息を飲む。そんな彼を、ハヤブサはぎゅっと抱きしめていた。
「そんな簡単に、『俺に殺されてもいい』だなんて、言わないでくれ、シュバルツ……!」
「ハヤブサ……」
「お前、絶対分かっていないだろう。お前を斬った俺が、お前を喪った俺が、どんなに悲しむか………どんなに苦しむか………!」
「―――――!」
「そんな地獄のような苦しみなど、俺には耐えられない……! お前が死ねば、俺も生きてはいないから」
 自分たちは比翼の鳥。連理の枝。
 ハヤブサはシュバルツと自分の関係を、そうだと思っている。たとえ片方がアンドロイドで、片方が人間で―――――共に死ぬことができない運命だとしても。
 彼が、自分より先に死ぬのであれば、喜んで共に死ねる。
 ハヤブサはそう確信していた。
「ハヤブサ……!」
 驚くシュバルツの身体を、ハヤブサはさらに強く抱きしめる。愛おしいヒトが、もうどこにも逃げていかないように。

「よかった………!」

 ぽつりと、呟く。

「……………?」
 怪訝な表情を浮かべるシュバルツに、ハヤブサはさらに語り掛けた。
「『お前』と分からなくても、俺は、お前を斬らない決意をしていた」
「な…………!」
「たとえ、俺にとってお前が『仇』の姿に見ていたとしても―――――お前は、十分に信頼するに足る存在だったから……」
「ハヤブサ……!」
「『斬られてもいい』と思えた存在が、また、お前で良かった……」
「…………!」
「『お前』をちゃんと、信じられてよかった………!」
 そういってシュバルツをぎゅっと抱きしめるハヤブサの、その手が震えていた。
(ハヤブサ………!)
 シュバルツもまた、返すべき言葉をなくし、ハヤブサを抱きしめ返すことしかできなかった。
 ハヤブサから伝わってくる、『愛している』という熱い想い――――。
 久しぶりに浴びる、彼からの愛情のシャワーだった。
 彼に抱きしめられながら、自分は、ずっとこうされたかったのだと、シュバルツは気づいてしまう。
 この愛情のシャワーを、自分はどれほど渇望していたのだろう。

 本当は、よくないことだ。
 こんな風に、彼を求めてしまうことは、きっとよくないことなのだ。
 彼の『人間として』の幸せを願うのなら
 自分は、身を引かなければならないのに――――

 どうして
 どうしてこんなにも

 幸せを感じてしまうのだろう。

 それは、忍者たちにとっては久々の再会であった。
 特にハヤブサは、危うく愛おしいヒトをこの手で殺めそうになっていた事実に驚愕し、震え、そして安堵のため息を漏らしていた。それゆえに、張り詰めていた『気』が一瞬緩んでしまったことを、誰が責められるだろう。
 そしてその隙を逃すほど―――――邪神ラクシャサは、甘い存在ではなかった。

 バカメ!!

 悪意の塊のような触手が、ハヤブサに向かって伸びる。それに、シュバルツの方が一瞬早く気が付いた。

 ドンッ!!

 シュバルツは無言で、ハヤブサを弾き飛ばす。そして、ハヤブサと切り結ぶ際に刀を捨てていたシュバルツは、触手を防ぐ手段を、持ち合わせてはいなかった。

 いきなりシュバルツに弾き飛ばされたハヤブサであったが、咄嗟に受け身を取ってシュバルツの方に向き直る。
 そして彼は見てしまった。
 自分の背後から伸びてきた黒い触手のようなものが、シュバルツの腹に突き刺さっていくのを。

 そしてその時、ドモンもその空間に走りこんできていた。
 そこで彼もまた、見てしまう。
 シュバルツが、ハヤブサを庇って、攻撃を受けてしまった瞬間を。

「シュバルツ!!」

「兄さん!!」


 悲鳴のような絶叫が、辺りにこだましていた。

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