農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 64

<<   作成日時 : 2015/12/13 17:45   >>

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 伸ばした手の先に、工具箱がゆっくりと落ちてくる。4メートル、3メートル、1メートル、50センチ……

 バシッ!!

 軽快な音を立てて、工具箱がキョウジの手に収まる。
「よしっ!!」
 全員の声が重なった。
「サイ・サイシーは!?」
「分からん、あ奴はどうなった!?」
 キョウジの声に東方不敗が案ずるように辺りを見回す。その時アルゴが、巨大な鉄球を敵の一角に向けて投げつけた。

「グラビトン・ハンマ―――――ッ!!」


 ドカッ!!
 派手な音を立ててモンスターの群れの一角が破壊される。
「うひゃっ!!」
 その下からサイ・サイシーがそろそろと這い出てきていた。
「ふい〜〜〜! おっかなかった〜………!」
「大丈夫か!? サイ・サイシー!!」
 キョウジの問いかけに、サイ・サイシーが頷く。
「おいらは大丈夫! それよりもキョウジの兄ちゃん!! シュバルツの方を早く!!」
「分かった!! ありがとう!!」
 キョウジは笑顔で頷くと、シュバルツの方に向き直る。工具箱を手早く開けると、早速中から道具を取り出して、シュバルツの身体を直し始めた。もうこうなると、キョウジは近くに矢玉が飛ぼうが爆弾が破裂しようが、全く気にも留めなくなる。相変わらず、凄まじいまでの集中力だ。
 キョウジがその作業に入ったのを見届けてから、サイ・サイシーはようやく自身の肩口の傷を抑えた。
「痛ててててて………」
「大丈夫か?」
 アルゴの問いかけに、サイ・サイシーはにこりと笑う。
「平気だよ。これぐらい」
「………………」
「ドモンの兄貴だって頑張っているんだから―――――」
 そういうサイ・サイシーの右手の甲に、『シャッフルの紋章』が浮かび上がっていた。闇の世界のドモンたちの紋章に呼応して、輝きを放っているようだった。
「確かにそうだな………」
 アルゴもまた、シャッフル同盟の一員。己の紋章の輝きに、同じことを感じているようだった。
「よいか皆の者!! ここが戦いの正念場じゃ!! 気を引き締めてかかれい!!」
「応ッ!!」
 戦う男たちの士気は、今―――――最高潮に高まっていた。


「―――――!?」
 背中に伝わってくる暖かい感触に、シュバルツの身体が瞬間びくっとはねた。それと同時に、背中の傷が少しずつだが塞がってくる感触も得る。
(これは………キョウジ!?)
 傷口から流れ込んでくる、懸命な想い。暖かい想い。
 その力強さは―――――確かに、シュバルツの背中を支えてくれていた。
(ありがとう……キョウジ……)
 敵と戦いながら、シュバルツは心の中で手を合わせる。

 私は大丈夫だ。
 まだ、戦い続けることができる。
 だからハヤブサ。
 あとはお前だけなのだ。

 その繭から出て来い。

 早く
 早く―――――

 その時、剣の切っ先を震わせ、あがき続けていた仁王の―――――瞳の色が変わった。
 まるで血の色のような紅。
 仁王の精神が、邪悪なものに完全に乗っ取られようとしているのが分かった。
「駄目だ!!」
 シュバルツは咄嗟に、仁王とハヤブサの間に体を入れて、その攻撃を防ぐ。だが負傷をした彼の身体では、防御するので精一杯だった。
 仁王とハヤブサは、いずれ決着をつけねばならないと思う。
 だがそれは、『今』ではない。
 邪悪に憑りつかれた仁王が、繭のままのハヤブサを斬ってしまう―――――こんな結末だけは、絶対に迎えさせてはならないと思った。

 どうすればいい?
 どうすれば、仁王を邪悪から解放してやれるのだろうか。

(やはり、あの腹に刺さった触手か……?)
 
 シュバルツは、刺さった仁王の腹に根を広げようとしている、触手のかけらを見る。素手で無理やり引き抜くことも考えたが、DG細胞で構成されているこの身体で、触手に直接触れることはためらわれた。それをして、あの触手が持つ強烈な『負』の力にDG細胞が引っ張られてしまったら、それこそ自分の身体がどうなってしまうのか分からない。そんな最悪な事態に陥ることだけは、絶対に避けねばならぬとシュバルツは思った。
 ならば、『明鏡止水』を発動して、刀であの触手を粉砕する選択肢が正しいのであろうが―――――
(く…………!)
 身体を襲う、焼け付く痛みと熱。
 いくらキョウジに治療をされ、背中を支えられているとはいえ―――――
 モンスターたちに間断なく襲われているこの状況では、ハヤブサの繭と己が身を守ることで正直精一杯だ。明鏡止水を発動して、あの触手だけを切り刻むことは、かなり困難なことのように思われた。
(だが……やらねば……)
 シュバルツは歯を食いしばった。
 あの仁王を倒すべきなのは、あくまでもハヤブサ。自分がそれに手を出してしまってはいけないのだ。それをしてしまったら、今までの皆の努力が、それこそ無に帰してしまう―――――そんな、予感がしていた。
 だから、これは最早『できる、できない』の問題ではない。何が何でもやらねばならぬ命題なのだ。
(せめて……私にもう少し、『力』があれば………!)
 ドモンに宿る、シャッフルの紋章の力でもいい。
 ハヤブサに宿る、龍の力でもいい。

 せめて、力があったなら
 せめて、人間であったなら―――――

 今ここで迎える事態も、少し違ったものになったのだろうか。

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