農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 65

<<   作成日時 : 2015/12/16 01:47   >>

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 ブン! と、シュバルツは頭を振った。
 無いものねだりをしても仕方がない。自分は自分でしかない。やれることを、やるしかないのだ。
「く…………!」
 背中にキョウジの意思を感じる。
「生きろ」という力強い意志。
 大丈夫。
 これを感じられるうちは、頑張れる。まだ、戦うことができる。

 集中―――――
 とにかく、集中だ。

 モンスターたちの攻撃を退けながら、痛みをなるべく遠くの方に感じようとする。しかし、ひきつる痛みと熱が、容易にそれを許してはくれない。しかも仁王が、またハヤブサに向けて剣を振るおうとしている。
「―――――!」
 シュバルツはそれを、かろうじて受けた。しかし仁王の太刀は、先ほどのそれよりも、格段に重い物になっている。仁王に対する『邪悪なもの』の支配が、それだけ強烈なものになってきているのだろう。弾き飛ばされぬように踏ん張るが、そのたびに背中の傷が悲鳴を上げた。
(だめだ……! これ以上は、加減できそうにない……っ!)
 仁王を斬りたくはない。
 助けたい。
 だがこのままでは―――――

 その時だった。

 ばりっと大きな音を立てて『繭』が裂け――――――中から、ハヤブサの手が出てきた。それを認めた瞬間、シュバルツは思わず叫んでいた。

「ハヤブサ!!」


 まどろみの中、ハヤブサは遠くの方で自分を呼ぶ声を聴いていた。
 酷く、懐かしい声。
 酷く、大切なモノ。
 焦燥に駆られて、その瞳を開ける。
 暗闇の中、立ち上がろうとして、背中に何かが当たった。

「――――――」

 強引にそれを突き破って立ち上がる。
 バリッ!! と、大きな音を立てて『繭』が裂け―――――ハヤブサは久しぶりに、外の空気に触れた。一つに束ねた琥珀色の長い髪が、ふわりと弧を描いて風に揺れる。

「ハヤブサ!!」

 もう一度、自分を呼ぶ声が響いて、ハヤブサははっと顔を上げる。すると、革のロングコートを着た青年が、懸命にモンスターたちの攻撃を防いでいる後姿が、視界に飛び込んできた。

「ハヤブサ!! 龍剣を取れ!!」

「―――――!」

「早く!!」

(龍剣――――!?)
 ハヤブサは、咄嗟に周りを見渡す。すると、自分のすぐ近くの石柱の中に鎮座している、愛刀である龍剣を見つけた。
 ハヤブサは、その辺にある物を軽く取るかのように、全く無造作に手を伸ばしていた。
 何故か、石柱に阻まれるとは考えなかった。
 剣を手に取れると確信していた。

 そして―――――その通りになった。

 龍剣は、まるでそこにあるのが当然と言わんばかりに、ハヤブサの右手に収まっていた。
 それと同時に、ハヤブサの身体から、溢れ出す『龍の燐気』
 それが一陣の風となって、辺りに吹き荒れた。

 その風は、圧倒的だった。
 そこにいる、すべてのモンスターたちを怯ませていた。

(そうか……! これが、『龍の忍者』―――――)

 シュバルツもまた、同様だった。
 龍剣を右手に下げ、ゆっくりと歩きだすハヤブサの姿を、ただ固唾を飲んで見守っていた。
 その姿は美しく、犯しがたい強さと輝きを放っていた。
 そして、ひどく見知った姿でもあった。

 そう―――――これが、『リュウ・ハヤブサ』

 彼本来の姿なのだと、シュバルツは思った。

 紅の瞳をした仁王が、魅入られたようにハヤブサに斬りかかっていく。
 ハヤブサはそれを、一刀の元に斬り伏せていた。
 全てが一瞬の、あっという間の出来事だった。
 灰燼に帰していく仁王。その面に、一瞬、満足げな笑みが浮かんだように見えたのは気のせいなのだろうか。
 ただ―――――シュバルツは悔いが残った。
 仁王をまともな状態で、ハヤブサと戦わせてやりたかった。
「……………」
 仁王を斬った後、静かに辺りを見回していたハヤブサであるが、おもむろに印を結びだした。
「ナウマクサンマンダ バサラ ダンセンタ―――――」
 その呪文に応えるかのように、巨大な黒龍が、その身体から舞い上がる。ハヤブサが『呪』と共に印を結び終わると同時に、黒龍は、天地をつんざくような咆哮を上げながら、周りのモンスターたちに襲いかかっていった。そしてあっという間に、その場にいたモンスターたちを、葬り去っていったのだった。
 後にはただ――――呆然とそれを見守る、シュバルツだけが残されていた。
(ハヤブサ………!)
 酷く懐かしい横顔に、シュバルツは胸を締め付けられる想いがする。
 もしかして彼は、自分のことも思い出してくれているのだろうか。

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