農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 81

<<   作成日時 : 2016/01/17 22:22   >>

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「クククク………知りたいか?」

 シュバルツの姿を模したラクシャサは、キョウジを嘲るように、楽しそうに笑う。非力な人間が吠え立てたところで、痛くも痒くもない。暇つぶしの余興に過ぎないからだ。

「シュバルツとやらは、死んだぞ? 吾に敗北して、消えたのだ」

 こう言えば目の前の人間は傷つき、己が無力を悟って首を垂れると思った。しかし、目の前の小さな人間は、首を垂れるどころか、ますますこちらを睨み付けてきた。

「『死んだ』と言うのなら―――――死体を出せ」

「…………!」

「それを見ないと、私は納得などしないぞ。早くしろ」

 こちらの言動行動に怯むことなく、しかも、ある意味非常識な要求をしてくる静かな低い声。ラクシャサは、非常に面白くなかった。己が頬がひきつるの感じた。
(人間ごときが………!)
 理解に苦しむ。
 非力なくせに、どうして自分に立ち向かってくるのだろうか。
 ざわつく。
 イラつく。

 こいつだけは―――――徹底的に叩きのめさなければ気が済まない。

「お主……その容姿、『シュバルツ』ととても縁の深い者だな………? しかも、この作り物のこの身体―――――造ったのは、お主か?」

「そうだと言ったら?」

 キョウジの低い声に、ラクシャサは口の中で「クッ」と暗く笑った。

「人間が作った物にしては、ずいぶんと『業』の深い物で作られているな………。吾は『邪神』と人に呼ばれるものなれど、その吾の力が、よく馴染む」
「…………!」
「礼を言おう、人間よ……。この暗黒の身体と力、気に入ったぞ。人類を滅ぼした暁には、お主を吾らの末席に加えてやらんこともない。お主は十分『邪悪』だ……」
 そのままラクシャサは、高らかに嘲るように笑い続ける。キョウジはそれを、冷めた目で見ていた。

 今更だ。
 自分の罪が重なって、沢山の血が流れて―――――
 その果てに、シュバルツが産み出されたことは、十分承知している。
 自分が罪にまみれているのも、邪悪と言われても仕方のないことも、事実だから受け止められた。
 そこから目を背けるつもりも、逃げ出すつもりもない。

 ただ――――

(シュバルツ………)

 きっと、シュバルツを傷つけてしまった。
 罪のない彼に『罪』を突き付けてしまう。業を背負わせてしまう―――――ただそれだけが、キョウジにとっては苦かった。

(……………!)
 こちらが嘲っても、まるで顔色を変えずにこちらをまっすぐ見据えているキョウジの態度に、ラクシャサのイラつきはさらに募った。
「思い上がるなよ!! 人間が!! 貴様など――――わが拳一振りで、簡単に潰れるのだからな!!」
 無造作に振り上げられた拳が、キョウジに向かう。
 だがそれが、キョウジの身体に到達する前に、東方不敗が立ち塞がった。

「吻ッ!!」

 銀髪の老人は、邪神の拳を弾いて一蹴する。
「―――――!」
 少し眉を吊り上げる邪神に、東方不敗はにやりと笑みを見せた。
「猪口才な……! 我が王に用があるのなら、ワシを通してからにしてもらおうか!」
(………その『王』っての、やめてもらえないかな〜………)
 苦笑するキョウジに気付いているのかいないのか――――老人は嬉々として構えをとる。
 キョウジも、特にそれに対して何も言わずに黙っていた。嬉しそうな東方不敗の機嫌を損ねるのは、きっとよろしくないことだと思うのだ。
「キョウジよ……。あ奴をどのように倒すことを望む? 蟻のように踏みつぶすか、粉微塵にするか――――」
「マスターの意のままに――――と、言いたいところですが、少しだけ、倒すのを待ってもらえませんか?」
「ほう……何故じゃ?」
 疑問の視線を投げかけてくる老人に、キョウジは邪神のほうを見据えながら答えた。
「マスターは、あの中に………ドモンの気配を感じますか?」
「気配じゃと?」
 東方不敗は鸚鵡返しに答えてから、改めて邪神のほうに視線を送った。キョウジに請われるままにドモンの気配を探ってみるが、愛弟子の気配はそこには感じられなかった。
「何も感じぬが………」
 感じたままをこたえる東方不敗に、キョウジはまた、別の質問を投げかけてきた。
「では――――マスターは、ドモンが『死んだ』と思いますか?」
「―――――!」
 キョウジの質問に、少し驚く東方不敗。だが彼には確信があった。「ドモンは死んではいない」と。それを東方不敗がキョウジに告げるよりも先に、そのそばにいたサイ・サイシーが口を開いた。

「ドモンの兄貴は死んじゃいないよ!!」

「…………!」

「おいらには分かるんだ!! 紋章が教えてくれているよ!! ドモンの兄貴は生きているって!!」

 そう言いながらサイ・サイシーは、キョウジに向かってシャッフル同盟の『クラブ・エース』の紋章をかざす。それは、シャッフル同盟のほかの面々も同じ想いのようで、皆右手の紋章を光らせながら、各々頷いていた。
「だろうな。私もそう思う」
 キョウジは邪神を見据えながら、言い放った。

「ドモンにシュバルツ―――――そして、ハヤブサまでもが揃っている状況で、こんな邪神に後れを取るなど、あり得ないんだ!!」

 ラクシャサは、己の頬が引きつるのを感じた。目の前のキョウジは、その面にやけに穏やかな笑みを浮かべていた。その態度に、どうしようもないほどの腹立たしさを感じるのは何故なのだろう。

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