農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 84

<<   作成日時 : 2016/01/23 14:35   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

 運良く、シュバルツと、ついでにハヤブサの野郎も見つけた。
 そしてその傍に、今回の件の黒幕と思しき奴もいた。そいつが変に笑いながら、こちらに攻撃を仕掛けてきたものだから、迎え撃とうと思って――――

 あの黒い球体に触れた瞬間、こちらに向かって襲い掛かってくるようにあふれてくる闇。

「ドモン!!」

 避けなきゃ、と、思うよりも先に、兄の身体が自分に覆いかぶさってきた。間髪入れずに激しい衝撃に見舞われて――――

 そして、現在に至る。

 衝撃の割に怪我をしていない事実に、自分はまた、兄に庇われてしまったのだと知る。
(兄さんは――――!?)
 慌てて周りを見渡して、ボロボロに傷ついて倒れているハヤブサと、それに必死になって呼び掛けている、シュバルツの姿を見つけた。
「兄さん!!」
 ドモンが呼びかけると、シュバルツは振り向いて、少しほっとしたような表情をした。
「ドモン……気が付いたのか……」
 だがシュバルツの顔色は悪いまま、再びハヤブサの方に向きなおっている。
「う……! う……!」
 ハヤブサは身じろいでいる。大怪我をしているようだが、意識はあるようだ。
 は、は、と、短く荒い呼吸をしている龍の忍者は、その手に印を結び続けていた。
「ハヤブサ……! 私を庇って……!」
「―――――!」
 シュバルツのその言葉に、ドモンはすべてを悟る。
 つまり、ケガをしそうになった自分を、兄が庇って
 その兄を、ハヤブサが庇ったのだということを
「どうして……!」
 呆然とつぶやくシュバルツの目の前で、ハヤブサが、ぐ、ぐ、と、その身を起こそうとしていた。

「馬……鹿………野、郎……ッ!」

「ハヤブサ……!」
「言ったはずだ……! お前はまだこの世界では不安定な存在だと……! お前が少しでも、あの邪神に触れれば………! お前はまた……『核』として取り込まれて……! もう助けられなくなって……しまう………!」
「…………!」
 ハヤブサの言葉にシュバルツは息を飲み、ドモンの眉が吊り上がる。
「絶対に……! 俺の結界から……出るなよ、シュバルツ……!」
 荒い息をしながら、印を結び続ける龍の忍者。ドモンが周りを見渡すと、弱々しいが、自分と兄の周囲を、結界が覆っているのが分かった。ハヤブサは怪我をしているが、傷口から血が滴り落ちるままにしていた。彼は、自身の手当てよりも、結界を張り続けることを優先しているようだ。………ただひたすら、シュバルツのために。
「………………」
 ドモンはふっと、小さく息を吐くと、 自身の周りに金色の『気』を張り巡らせた。それは一つの玉となって、シュバルツとハヤブサの周囲を覆う。
「………ったく……。結界ぐらい俺が張ってやるから、傷の手当てをしろ」
 ぶっきらぼうに言い放つ。ハヤブサが少し伺うようにこちらを見るから、ドモンは、何故か居心地が悪い思いがした。
「礼は言うぞ! 兄さんを助けてくれたからな!」
 ツーン、と、そっぽむくドモンにハヤブサは苦笑すると、ようやく結んでいた印を解いた。
「………ッ、う………!」
 ガクッとくずおれる身体。それを、シュバルツが慌てて支えていた。
「ハヤブサ……! 大丈夫か……?」
「ああ………」
 優しく抱き留めてくれるシュバルツに、ハヤブサは、すり、と、甘えるように身を寄せる。
「ところで、シュバルツ……」
「どうした? ハヤブサ……」

「お前、いつの間に服を着ているんだ?」

「はい?」
 ハヤブサの言葉に、きょとん、とするシュバルツとドモン。シュバルツは、いつもの革のロングコートの姿になっていた。
「いつの間にって……いつまでも素っ裸でいるわけにはいかないだろう? ちょっと念じたら、服はすぐに出てきたぞ?」
「…………!」
「兄さんがいつまでも裸だと落ち着かないからな……。ちょうど良かったんだ」
 シュバルツの言葉にうんうんとうなずくドモン。その横でハヤブサは、がっくりと頭を垂れていた。
(そ、そんな……! せっかく久しぶりに、シュバルツの素肌を堪能できると思っていたのに……!)
 知らず、地面にのの字を書きながら、しくしくと泣き出してしまうハヤブサ。
「何泣いているんだ? お前……」
 そんなハヤブサをシュバルツはあきれたように見つめ、ドモンは阿呆かとため息をついた。
「なんだ、元気そうじゃないか。兄さん、こんな奴、心配するだけ無駄だぞ」
「それはそうかもしれないが――――」
 あきれ返りながらも、ハヤブサの治療に取り掛かるシュバルツ。ハヤブサが持っている傷薬を傷口に塗り込み、包帯を巻く。あれだけの状況で、体に深くダメージを負っているのに、致命傷は受けていないハヤブサの身体。さすが、龍の忍者と言ったところだろうか。
「ところで、ハヤブサ」
「なんだ? ドモン・カッシュ……」
 シュバルツの治療を受けながら、ハヤブサが顔を上げる。視線が合ったのを確認してから、ドモンは口を開いた。
「お前は、さっきのあの球体の攻撃がどういうものか知っていたな? お前はあいつと戦ったことがあるのか? あいつはいったい何者なんだ?」

「あいつは、邪神『ラクシャサ』だ……。あいつはとにかく、人間というものを敵視している。事あるごとに、人類を滅ぼそうとしてくる奴なんだ……」

 とある任務を遂行していた時、その黒幕が邪神ラクシャサだった。壮絶な戦いの末――――自分は、その封印に成功していたはずなのだが。
「俺が衰弱したと同時に、封印の力も衰弱したと見えるな。封を破って、出てきてしまったらしい……」
 話しているうちに、シュバルツの治療は終わったらしい。「ありがとう」とハヤブサが声をかけると、シュバルツはにこりと笑みを返していた。
 今回はハヤブサに助けられたようなものだし、兄に仲のいい友人がいる、ということ自体はいいことだと思うのだが、ドモンにしてみればやはり、何となく面白くはなかった。兄にあんな風に治療をしてもらうのは、自分だけでいいと、どうしても思ってしまうのだ。

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