農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 85

<<   作成日時 : 2016/01/25 01:04   >>

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「封印をした、ということは、一度奴と戦って勝っているんだな? じゃあ、ここはどこだ? ここから脱出することは可能なんだろう?」
 むかつく気持ちを堪えて、ハヤブサに問いかける。しかし、どうしても口調がぶっきらぼうになることを、ドモンは抑えられない。
「ああ。ここは次元の狭間だ。……気をつけろよ。外の乱流に流されてしまったら、どこに飛ばされるか分からん……。しっかりと結界を張って――――流されないようにするんだ……」
 そう、ドモンに忠告をするハヤブサだが、やはり、どこか苦しそうだった。
「ここから脱出することは可能か?」
 問いかけるシュバルツに、ハヤブサは少し難しい顔をする。

「可能なことは可能だが……自力では難しいな……」

 あの時は、隼の里の者たちが、懸命に呼びかけてくれた。その声を頼りに、自分は、奇跡的にこの空間から脱出することができたのだ。
「あの時は、隼の里も襲われたからな……。皆が懸命に呼びかけてくれたのだが……」

「『これ』は、外からの導になるんじゃないのか?」

 ドモンがそう言いながら、右手の甲をかざす。そこには『シャッフル同盟』の『キング・オブ・ハート』の紋章が、輝きを放っていた。
「俺たちシャッフル同盟は、紋章を通してつながっているんだ。今――――この紋章を通じて、ほかの仲間たちが戦っているのが分かる」
 そう。
 紋章から仲間たちの想いが伝わってくる。

「早く帰って来い」

 彼らは口々に、そう呼びかけ続けてくれていた。

「よし、ドモン・カッシュ。その紋章の声を頼りに……この空間を進むことは可能か?」

 ハヤブサの問いかけに、ドモンはフン、と、鼻を鳴らす。
「俺を誰だと思っている! それぐらいは、朝飯前だ!」
 いかん、とは思いつつも、どうしても口調がぶっきらぼうになるドモン。ハヤブサの方も、ドモンがこちらに愛想がないのはいつものことなので、特段気にすることもなかった。
「じゃあ……任せていいか? 『キング・オブ・ハート』」
「フン!!」
 ドモンは勢い良く、くるりと踵を返す。しかし、すたすたと2、3歩歩きかけたところで、ぴたりと足を止めてじっと立ち止まってしまった。
「……………」
 じっと紋章を見つめ続けるドモン。どうやら紋章から聞こえてくる声を、聞き取るのに必死なようだった。
「………結界を張る役を、代わってやろうか……?」
 せめて、ドモンにかかる負担を少しでも軽くしてやろうかと、ハヤブサが申し出る。しかし、ドモンはその申し出をバッサリと拒否した。
「余計なお世話だ!! お前にやれたことが、俺にやれないはずがない!!」
「…………!」
「いいから大人しくしていろ!! お前は怪我人なんだから――――!!」
「お、おいドモン――――!」
 ドモンの口が過ぎている、と感じ取ったシュバルツが、たしなめるように口を開く。だが、ツン、と、そっぽを向いたドモンは、さらにぶっきらぼうに言葉をつづけた。
「兄さんと俺を助けてくれた、その恩義を返させろ!!」
「――――!」
 きょとん、と、目を見開くハヤブサに、「今回は特別だからな!!」と、ドモンは乱暴に告げると、再び紋章の方に向いて、その声に集中しだした。シュバルツはやれやれ、と、一つ息を吐き、ハヤブサは軽く苦笑していた。
「やれやれ……すまないな、ハヤブサ……。素直じゃない弟で………」
「いや、いい」
 自分に対してつっけんどんにならざるを得ないドモンの気持ちも分かる。彼は嫉妬しているのだ。自分とシュバルツの仲が良すぎることに。
 しかし、それを言うなら自分だって同じだ。自分だって―――――シュバルツがドモンに対して向ける眼差しには嫉妬している。ドモンはキョウジとはまた違った意味で、シュバルツにとっては『特別』だった。
 シュバルツは、彼のためならばどんな苦難も耐えるだろう。そして、『弟』であるドモンの存在は、『兄』であるシュバルツを支え、強くしている。そんな風にシュバルツを支えることができるドモンが、ハヤブサは心底羨ましかったりした。

 自分は、どうだろうか?
 果たして、自分はシュバルツにとって『特別』になれているのだろうか。
 自分にとってシュバルツは―――――何物にも代えがたい、もう特別な存在なのに。

 こんなこと、気にしてもせんの無いことだとは分かっている。
 だが―――――どうしても、そう問いただしたくなる夜もあった。
 我ながら、馬鹿だなと思う。
 自分がシュバルツを好きなら―――――自分の心を信じて、ただ一途に貫けばいいものを。

「………………」

 少し進んでは立ち止まり、少し進んでは立ち止まりを繰り返す、ドモンたち一行。
 しかし、しばらくすると、徐々にドモンの歩むスピードが上がりだした。どうやら、この空間で紋章の声を聴く作業に、ようやく慣れだしたらしい。
「順調だな……」
 ハヤブサを支えながら歩くシュバルツが、ぽつりと漏らす。だが、ハヤブサは浮かない顔をしていた。

(このままいけば――――そろそろ『来る』か………?)

 前に戦った時もそうだった。
 この空間から何が何でも自分たちを出したくないとラクシャサが目論むのならば、そろそろ仕掛けをしてくる頃合いだった。
 悪意の塊のような邪神、ラクシャサ。
 その仕掛けというのが、こちらの嫌なところを突いてくるのは確実だった。そして、自分の核となるべきシュバルツを、特に集中して狙ってくるだろう。
 できれば、この愛おしいヒトを、そんな目には合わせたくはないが―――――

 この時、少し先を歩んでいたドモンの足が、ぴたりと止まる。
 そして、拳を構えてファイティングポーズをとった。どうやらこの先に、何らかの異常を検知したらしい。
(来た………!)
 ハヤブサもまた、シュバルツを守って立とうとする。だが、シュバルツにそれは窘められてしまった。
「お前は、じっとしていろ……。私が守るから――――」
「シュバルツ……!」
 優しい言葉に嬉しさがこみ上げるが、同時に複雑な気持ちにもなる。
 今――――危ないのは、シュバルツの方であるからだ。

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