農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 86

<<   作成日時 : 2016/01/27 15:34   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

 邪神ラクシャサは、核になるはずであったシュバルツに執着している。3人の中でも特に、シュバルツへの攻撃が激しいものになるだろう。
「…………」
 ハヤブサは、フ―――ッと深く息を吐くと、結界を張る印を結ぶ準備をしておくことにした。最悪の場合でも、せめて、愛おしいヒトだけでも守り通せるように。
「……………」
 静かにファイティングポーズをとり続けていたドモンであるが、やがて、何かに気が付いたのか、拳を鋭く振りぬいた。

「吻ッ!」

 パキ、と、音を立てて、ドモンの拳から細かい光の粒が四散する。何かの礫が飛んできているようだ。ドモンは難なくそれを払いのける。礫の数が二つ三つと、徐々に増えていったが、それも危なげなく対処していた。
「フン、この程度の攻撃――――」
「ドモン!! 気をつけろ!! 周囲から来るぞ!!」
「――――!」
 シュバルツの声にドモンがはっと顔を上げると、無数の礫が周囲を取り囲み、こちらに向かってきているのが見えた。
「猪口才なッ!!」
 ドモンは鉢巻を額からとって、ピン、と、両手でまっすぐ伸ばした。すると、鉢巻きが固い槍のようなものに変化していた。己の『気』を鉢巻きに送り込み、鉢巻きの硬度を変えたのである。
 シュバルツもまた、礫に対して構えをとった。
「シュバルツ!! 礫に直接触れることは避けろよ!!」
「分かってる!!」
 間髪入れずに飛んできたハヤブサの声に応えると、シュバルツは持っていた二本の刀を抜刀した。そのままドモンとシュバルツは、ハヤブサを守るように互いの背で庇いあうと、四方八方から襲い来る礫に、見事に対応していた。
「へっ! 俺と兄さんに対して、こんな攻撃が通用するものかっ!!」
「ドモン・カッシュ!! 油断するな! 『次』が来るぞ!!」
「!?」
 ドモンがハヤブサの声に驚いて振り向いた時には、もう彼らの上空には、巨大な手があった。そのままその手はブオン、と、不吉な風切り音を立てながら、彼らに猛スピードで近づいてくる。まるで小さな虫の命を、無造作に奪うがごとくに。
「な―――――!」
「ドモン!!」
 息をのむ弟に、兄の身体が覆いかぶさってくる。
「兄さん!?」
 守ろうとしているのに、これではあべこべだと、ドモンは悲鳴を上げそうになる。しかし、その手が皆の身体に届くことはなかった。

「オン マイタレイヤ ソワカ――――」

 真言に合わせて、ボウ、と、青白い炎のような光を放ちながら、ハヤブサの結界が立ち上がる。それは3人の身体をすっぽりと覆うと、巨大な手の攻撃を拒絶した。

 バアンッ!!

 結界と衝突した手が、激しい音を立てる。
「ぐうっ!!」
 その衝撃は術者に跳ね返る。たまらずハヤブサは、小さな悲鳴を上げていた。怪我をした身体――――痛みを、堪えきれなかった。
「ハヤブサ!!」
 案ずるように身を起こすシュバルツに、ハヤブサは笑みを浮かべる。
「問題ない……。大丈夫だ……」
「しかし……!」

「馬鹿野郎!! 怪我人が何をやっているんだよ!?」

 ドモンの怒声にハヤブサもシュバルツに向けていた表情とは打って変わってしかめっ面を向ける。
「……だったらもう少し結界の強度を上げろ……」
「言われなくともやっているっ!!」
 バンッ! と、音を立てて、ドモンの周りに金色の結界の光が爆ぜる。
「それに、こんな攻撃など――――!」
 ぶわっと音を立てて再び振りかぶってくる巨大な手を、ドモンはきっと睨み据える。

「石破!! 天驚拳――――――!!」

 迫りくる掌に合わせて、ドモンから金色の気合弾が放たれる。それは、巨大な掌に『驚』の文字を刻み込んで―――――それをあっという間に粉砕していた。

「この俺には通用しないんだよ!!」

 フン! と、鼻息荒く言い放つドモンに、ハヤブサは「そうか」とだけ答えると、結んでいた印を解いた。
「おい! それだけか!?」
 ひどくあっさりと引き下がった龍の忍者に、ドモンは少し違和感を覚える。いつものハヤブサであるならば、こんな時、自分に対して嫌みの一つぐらい言ってきそうなものであるのに。
「………何か、問題でもあるのか?」
 じろりと睨んできたハヤブサの所作が、少ししんどそうな物であることに、ドモンは気づいてしまう。しかし、「別に」としれっと返した。ハヤブサを素直に心配することが、ドモンにはどうしてもできないのだ。
「ドモン、余計なことに気を回すな。攻撃に警戒しつつ、紋章の声を聴くことに集中しろ」
 シュバルツからそう声をかけられる。ドモンは素直に頷いた。
「ハヤブサ……。大丈夫か?」
 ドモンが頷いたのを確認してから、シュバルツはハヤブサに声をかける。ハヤブサは「ああ」と答えるが、その息遣いがやはり、少し苦しそうであった。
(ハヤブサを守りたい……。しかし、彼を守るには私はどうすればいい……?)
 シュバルツがそう考え込む横で、ハヤブサもまた、考えを巡らせていた。
(やはり……先ほど食らったダメージが響いている……。結界を完璧に張ることができるのも、あと3回が限界、と、言ったところだな……)
 せめて、気力の回復が望めればいいのだが、この空間ではそれも難しいだろう。シュバルツを助けるために、結界の張り時、力の使い時を精査せねばならぬとハヤブサは思った。

「兄さん、行くよ。動けるか?」

 ドモンに声をかけられて、忍者たちは立ち上がる。そのまま歩みだそうとした時、仄暗い笑い声があたりに響き渡った。

 ―――――ククククク………。面白きことよ……。お主らはまだ、ここから脱出できる気でいるのか………?

 前方に影が揺らめき、ボウ、と音を立てて巨大な角を生やした長髪の男の姿が形作られていく。
「ラクシャサ――――!」
 ハヤブサがポツリと漏らした言葉に、シュバルツもドモンも驚き――――そして、警戒感を露わにしていた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

龍と剣と、その拳と 86 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる