農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 87

<<   作成日時 : 2016/01/29 01:44   >>

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「ああ。脱出できる気でいるとも! 貴様を倒してな!!」

 ドモンがバキバキと指を鳴らしながら、一歩前に踏み出そうとする。
「行くな!! ドモン・カッシュ!! それはまやかしだ!!」
「――――!」
 ハヤブサの声に、ドモンは踏みとどまる。それにシュバルツはほっと胸をなでおろし、ラクシャサは頬を引きつらせていた。
「クククク……。久しいの、龍の忍者……。お主とここで会うのは二度目だったな……」
「……………」
 ハヤブサは、ラクシャサの言葉に沈黙を返す。ラクシャサはにやりと笑うと、手を軽く振った。再び礫が一行を襲う。

「そんな攻撃は通用しないと言った!!」

 一声吼えたドモンから放たれる石破天驚拳は、その礫たちをあっという間に一蹴した。
「そのようだな……」
 ラクシャサはにやりと笑うと、戦い方と、その標的を変えた。
「まったく……お主らも酔狂よな……。何故その『化け物』を守ろうとしている?」
「―――――!」
 その言葉にシュバルツは「自分のことを言われた」と思い、ハヤブサは、「愛おしいヒトを侮辱された」と思い、ドモンは「何を言っているんだ? こいつ」と、眉をひそめた。
「化け物? ここに化け物などいないぞ?」
「居るではないか。貴様の後ろ――――」
 その言葉が終わらぬうちに、ドモンの拳がブオン、と、音を立てて放たれる。だがそれはむなしく素通りして、そこにいるラクシャサが『まやかし』であると、証明されただけだった。
「ここに『化け物』などいないっ!! 居るのは兄さんだけだ!!」
 ドモンが吼えるのを、ラクシャサはにやにやと笑いながら聞いていた。
「この光景を見ても――――貴様らはそいつが『化け物ではない』と、言えるのか?」
「何?」
 訝しむ一行の前の視界に、スクリーンのような物が浮かび上がってくる。そこに映し出されたものを見て、シュバルツは思わず叫び声をあげていた。

「キョウジ!!」

 キョウジは既に、あちこちにかすり傷を作っていた。
 それでも彼はまっすぐと立ち、強い視線をあるものに向け続けていた。
 だが、その周りにあるケーブルのようなものがのたうつのを見た瞬間、シュバルツは悲鳴を上げそうになってしまった。

 分かってしまったからだ。
 あのケーブルは、『DG細胞』が暴走したが故に、出てきてしまったものなのだと――――

 そして、そのケーブルを辿っていった先にある、そそり立つ樹のような、巨大なケーブルの塊、さらに、その上に形作られているものを見て―――――

「――――――!」

 シュバルツは声にならない悲鳴を上げていた。
 何故ならそこには、紛うことなき『自分』の姿が形作られていたからだ。
(そ、そんな……! 私が……! 『私』が、キョウジや皆を―――――)
 知らず、よろめいてしまう身体。
 それを、ハヤブサが無言で抱き止めていた。
 シュバルツに少し余裕があれば、ハヤブサが唇を噛み切ってしまうほどに、それを噛み締めていると気づくことができたであろう。だがシュバルツは、そこまで冷静になれなかった。
(ああ……! キョウジ……ッ!)
 小さく震える身体。
 低い呻き声が、その唇から漏れる。

 また――――また、突き付けてしまった。
 キョウジの『罪』を
 また彼に、突き付けてしまったのだ。

 どうして
 どうして―――――

「クククク……お主の身体は、確かに我が頂いたぞ。よほど邪悪な物で出来ていると見えるな。主の身体………この吾の力によく馴染む……」
 シュバルツが激しく動揺していると見て取ったラクシャサは、我が意を得たと言わんばかりに楽しげに口を開いた。
「分かったであろう? そこにいるのは『化け物』だと。お前らがどんなにそれを否定しようと勝手だが、そこにいる『シュバルツ』とやらは、もう帰る身体すら無いのだ……!」
 そのまま、耳障りな高笑いが、辺りに響く。
「……………!」
 ドモンもハヤブサも、怒りが最高潮に膨れ上がっていた。
 はらわたが煮えくり返っていた。
(くそ……!)
 できれば、今すぐにでも一矢報いてやりたい。
 どうやって、あいつを殺してやろうかと算段する。
 しかし――――目の前にいるラクシャサが、まやかしに過ぎないことはとうに承知していた。今のままでは、何も打つ手がないのが現状だった。

 悔しい。
 悔しい。
 あまりにも―――――無力。

「違う!!」

 そのとき力強い声が、辺りに響いた。
 皆が驚いて顔を上げると、スクリーンの向こうにいるキョウジが、声を上げていた。

「違う!! シュバルツは、必ず帰ってくる!! お前などに――――消されはしない!!」

「何度言ったら分かる!? 吾が『シュバルツ』だ! 見よ!! この身体の力を――――!!」
 キョウジと相対している『ラクシャサ』が、己の力を誇示するかのように触手のようなケーブルを振り上げる。それは一直線にキョウジへと向かった。しかし、彼の身体にそれが到達する前に、東方不敗によって、それは破壊されていた。
 ドグワッ!! と、派手な音を立てて四散したそれは、細かい破片となって、周りにいる人々を傷つける。だが、キョウジはそこに立ち続けていた。怯むことなく、『ラクシャサ』を睨み続けていた。

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