農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 89

<<   作成日時 : 2016/01/31 21:09   >>

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「ドモン? シュバルツ?」

「キョウジ!!」

「…………!」
 ここでキョウジは初めて、この声が自分の手元から聞こえていたと悟る。そっと覗き込んで――――驚いた。何故なら掌の中で折り鶴が淡い光を放ち、その中にドモンとシュバルツとハヤブサの姿を映し出していたのだから。

「ドモン!!」


 思わず叫んでしまうキョウジに、その場にいた全員の注目が集まった。
「何っ!?」
「ドモンの兄貴が見つかったのか!?」
「分からない……! 少し、待ってくれ……!」
 キョウジは戸惑いながらも、再び折り鶴に向かって声をかけた。
「ドモン!! ドモンなのか!? 今どこにいるんだ!?」
「詳しくはわからない。でも、全員無事だ! 安心してくれ、兄さ――――!」

 ここでドモンの映像が、強制的に電源を落とされたかのように、ぶちっと切れた。

「おのれ!! もう許さぬ!!」

 現実世界のラクシャサと、異世界のラクシャサが、同時に叫ぶ。

「先ほどの言葉と言い、今の出来事と言い――――!! キョウジとやら!! 貴様はもう、絶対に許さん!!」

「……………!」

「貴様だけはこの吾が!! 直々に踏みつぶしてくれる!! 覚悟しろぉ!!」

 グワッ!!


 無数のケーブルが、キョウジに向かって襲い掛かっていった。


「兄さん!? 兄さん!!」
 ドモンたちの方も、いきなり消されてしまったキョウジの映像の名残に向かって、必死に声を上げていた。そこに、ラクシャサの耳障りな高笑いが響いてきた。
「クククク……! 貴様らもここまでだ……! 今――――現世とこの次元との繋がりを、総て絶った!!」
「なにぃ!?」
 ギリ、と、歯を食いしばりながら睨み付けるドモンを、ラクシャサは愉快そうに笑いながら見下ろす。
「貴様らはこの次元の嵐の中で――――朽ち果てるが良い!!」
 高笑いとともに、ラクシャサの姿が消える。それと同時にたちまち空間の磁場が乱れ、激しい嵐のような現象に包まれていた。
「う……ッ! く………ッ!」
 瞬間的に、結界を張っているドモンへの負担が大きくなったのだろう。ドモンが苦しそうなうめき声をあげていた。
「大丈夫か!? ドモン!!」
 シュバルツの案ずる声に、「平気だ!」と、ドモンは答えてみせる。彼は一つ大きく深呼吸をすると、『気』を入れなおしていた。バシン!! と、周りに張られている結界から音が聞こえて、結界の中の空間が安定したものになる。
「しかし……これからどうする? ここから脱出しなければならないが――――」
 シュバルツの言葉に、皆がそれぞれ脱出の方法を思案する。すると、ドモンが突然声を上げた。

「シュバルツ! あそこに兄さんがいる!!」

「何っ!?」
「どこだ!?」
 驚く忍者たちに、ドモンは指示(さししめ)して見せた。

「ほら、あそこ――――!」

 ドモンの指さす方向に、忍者たちも目を凝らす。
 すると確かに、小さいが、きらきらと光り輝く白い光を見つけた。
「確かに……あれは、キョウジの手元で光っていた光と、同じ類のもののようだが………」
「じゃあ、あの光は、兄さんたちの世界とつながっているのか!? あそこに行けば、この次元から脱出することも可能なんだな!?」
 矢継ぎ早に問いかけてくるドモンに、ハヤブサは少し難しい顔をする。
「分からんが……行ってみる価値はあるな……」
 そうこうしているうちに、光が小さくぼやけていこうとしている。
「大変だ!! 追いかけないと――――!」
 そう叫んだドモンが、足を踏み出そうとして―――――そこで、止まってしまった。どうやら、何らかの不具合を感じたらしい。
「どうした? ドモン」
「いや、それが………」
 シュバルツの問いかけに、ドモンは軽く口を濁す。そこにハヤブサが声をかけてきた。

「………前に進もうとすると、結界の強度、大きさが―――――保てなくなる………か?」

「―――――!」
 ハヤブサの指摘に、絶句するドモン。
 違う――――! と、彼は叫びたかったが、その通りなので、反論するべき言葉を失ってしまった。
「別に、恥じることでも何でもないぞ、ドモン・カッシュ……。この時空の嵐の中でそれに逆らって進もうとすれば、それなりの力を必要とする……。それこそ、よほど結界を張りなれた術師のような存在でなければ、結界の強度を保ちつつ、進むことなど、ほぼ不可能なのだから………」
(くそ………!)
 ハヤブサの言葉を聞きながら、ドモンは歯噛みする。
 おそらく自分一人だけなら、自分の周囲に結界を張りながら進むことも可能だ。
 しかしそれは――――この空間で、シュバルツと離れることを意味する。
 この時空の嵐の中で離ればなれになってしまうことは何としても避けたかった。下手をしたら、これが今生の別れにもなりかねないからだ。しかもこの兄は、弟である自分が無事に脱出できる術を持っていると知れば、「自分に構わずお前だけでも行け」と、言い出しかねない。

 それだけは絶対に嫌だった。
 脱出は皆でしなければ意味がない――――ドモンは、そう思っている。

「………お前一人がここを進む分の結界は、問題なく張れるんだな?」
 ハヤブサの言葉に、ドモンは素直に頷く。ここは、意地を張っている場合ではなかった。
「……………」
 しばらく思案をしていたハヤブサであるが、やがて、決意を固めたようにその顔を上げた。

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