農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 73

<<   作成日時 : 2016/01/06 15:46   >>

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(ハヤブサ……!)

『このままでは奴もわが魔力に巻き込まれ―――――やがて、消滅するであろうな………』

「―――――!」
 やけにはっきりと聞こえてきた『声』に驚いてシュバルツは振り返る。すると、そこには長い二本の角に銀色の長髪をなびかせ、紫黒色のマントを羽織った青白い肌の巨大な男が立っていた。
『ククク……。貴様の身体は、本当にわが魔力によく馴染むな……。吾が己が実体を得るまで、あと少しだ……』
 そう言って金色の瞳を怪しく光らせる。邪悪に笑う口元には、二本の鋭い牙が光を放っていた。
(そんな………!)
 改めて、自分の身体のいびつさ、邪悪さを突きつけられた格好になってしまったシュバルツから、絶望の呻きが漏れる。そんな彼に、ラクシャサは、更に畳みかけてきた。
『無駄な抵抗はよせ。もういい加減、あきらめて楽になれ』
 事実、ラクシャサは、もうほとんど己が実体を復活させることに成功していた。
 後、ほんの一握り―――――
 一握り残るシュバルツの自我が、ラクシャサの復活を阻んでいる。
 それゆえに、ラクシャサは、それを潰すことに全神経を注いだ。
 かろうじて残るシュバルツの自我は、ハヤブサに繋がれている手と、そこに張られている小さな結界によって保たれているようなものだ。だからまず――――その手を引き剥がすことが肝要と悟った。

『龍の忍者の手を離せ。お前は、己が死に、あの男を巻き込むつもりなのか?』

 先ほどからラクシャサは、手を離させようとハヤブサの方にも攻撃を加えている。しかし、どんなに殴っても斬りつけても――――龍の忍者の方は、頑としてその手を離そうとはしない。

『ほら……手を離してやれ。でないと――――』

 シュバルツの目の前で、ドカドカドカッ!! と、激しい音を立てて痛めつけられるハヤブサの身体。
「ぐ………!」
 動きが思うように取れない中、それでもハヤブサは何とか体を動かして、致命傷を受けることだけは避ける。
 背中に背負う龍剣は、まだ抜かない。
 分かる。
 これの出番は今ではない。
 必ず――――『抜き時』があるはずだ。
 それまで、この手は絶対に離さない。
 離してなどやるものか。
(シュバルツ………!)
 ハヤブサは祈るようにシュバルツの手を見つめながら、虎視眈々と『その時』を狙っていた。

(ハヤブサ……!)
 シュバルツの目の前で、ハヤブサは傷だらけになっていく。
(だめだ……!)
 耐えられなかった。
 見ていられなかった。
 自分のせいで、もうこれ以上ハヤブサが痛めつけられることは―――――!

『まだ、足りぬか……? では、もう一度――――』

 ラクシャサが手を振り上げ、更にハヤブサに攻撃を加えようとする。その瞬間、シュバルツはたまらず叫んでいた。

「や!! やめてくれっ!!」

 シュバルツの悲鳴に、ラクシャサは我が意を得たりとばかりににやりと笑う。

『ほう……? 我に『止めろ』と言うからには、わが意に従う決意ができたのか………?』

 ラクシャサの言葉に、シュバルツは頷いた。頷くしかできなかった。
 『邪神』が復活するのであるならば、『ハヤブサ』という龍の忍者は、人類にとっての希望になる。邪神を討滅するための希望―――――それを、自分のためだけに、失ってしまうわけにはいかないと思った。
「ああ……。だから、彼にこれ以上攻撃を加えることは――――もう、止めてくれ………」
 悄然と言うシュバルツに、ラクシャサは笑いが止まらなかった。
『クククク……。よかろう。ならば、さっさと手を離せ』
 ラクシャサは手を下ろし、少し身を引いてシュバルツに命じる。

 もちろん、このままシュバルツの言うとおりにハヤブサから手を引く気はなかった。
 二人の手が離れ、シュバルツの身体を完全に乗っ取った瞬間に、龍の忍者にも手を下す準備をしていた。
 折角体の中に取り込み、ここまで痛めつけた龍の忍者――――
 確実に葬ることができる機会を、見逃すわけにはいかないのだ。

(ハヤブサ………!)
 涙の向こうに霞む龍の忍者を、シュバルツは愛おしさを込めて見つめる。

 今までありがとう。
 こんな私を、愛してくれて――――
 私はもういいんだ。
 もう、十分、幸せだった。
 このまま邪神に乗っ取られたとしても、龍の忍者となったお前に討滅されるのであれば―――――

 もう 私の方には 悔いは  な  い

「…………」
 シュバルツはそっと、ハヤブサから手を離そうとする。だがその動きを敏感に感じ取ったハヤブサの方から、怒声が上がった。

「ふざけるな!! 何故手を離そうとしているんだッ!!」

 ハヤブサの剣幕に、手を離そうとしていたシュバルツの動きが止まる。それを確認してから、ハヤブサはもう一度、シュバルツに呼びかけを始めた。
「シュバルツ……! そこに、居るんだろう……?」
 手を離そうとした、ということは、シュバルツの『意識』がまだそこにあるという証拠だ。たとえ目の前にその姿が見えなかったとしても、愛おしいヒトはそこにいるのだと確信して、ハヤブサは声を上げた。

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