農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 75

<<   作成日時 : 2016/01/08 17:37   >>

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『おのれ! 小細工を――――!』

 ラクシャサは、すぐに龍の忍者に攻撃を開始する。意志を持って、襲い来るケーブルや刃物。悪意の嵐に翻弄される中、それでもハヤブサは身を捻って、何とかそれらを躱した。かすり傷を負う。しかし、今はそれに構っている暇はない。

「オン ビセイシャラ ジャヤ ソワカ―――――」

 印を結び、真言を唱えるハヤブサの身体に、光が灯る。
「叭――――――ッ!!」
 その光は、ハヤブサの裂帛の気合とともにシュバルツに注がれ――――ともすれば霞みがちになる彼の姿を、明確に浮かび上がらせ始めた。

「シュバルツ……!」

「ハヤブサ……!」

 涙を湛えて、懸命にこちらを見つめてくる愛おしいヒト。相変わらず美しいと、ハヤブサは素直に思った。
「シュバルツ……! 助けに来た……!」
 そう呼びかけるハヤブサに、しかしシュバルツは頭を振った。
「ありがとう、ハヤブサ……。だが、私はもういいんだ……。どうか私のことはあきらめて、このまま帰ってくれ……」
「シュバルツ!? 何故だ!!」
 当然その言葉に、ハヤブサが納得するはずもなく、噛みつくように食い下がった。それに対してシュバルツは、面に寂し気な笑みを浮かべて、答えた。
「何故って……。分かるだろう? 私の身体はもう、『邪神』に乗っ取られてしまって――――」

 今や、自分のこの身体は、見る影もないほどに、歪に変形してしまっている。
 驚くほどに『邪神』の『魔力』とよく馴染むこの身体を持った自分は、やはり、自然界の中で生きていくには、あまりにも不自然で、歪すぎる存在だった。
 もうきっと、このままここで討滅されてしまった方が、世のため人のため――――

「ふざけるなっ!! お前、本気でそんなことを思っているのか!?」

 ハヤブサの怒声に、シュバルツははっと顔を上げる。すると、かなり怒気を食んだ表情をしたハヤブサが、こちらを睨み付けていた。自分の手をしっかりと握りながら、もう片方の手で印を結び続けているハヤブサ。何らかの『呪』を発動しているのか、その身体が青白く光り始めている。
「ハヤブサ……!」
「お前に、『帰ってきてほしい』と望んでいる者はいないのか!? その人たちのために――――お前は生きようとは願わないのか!?」
「…………!」

(帰ってきてくれ!! シュバルツ!!)

 叫びながら、必死にこちらに手を伸ばしてきていた、ドモンとキョウジの姿が脳裏によぎる。だがシュバルツは、すぐに頭を振った。
「しかし……私の身体は、もう――――」

「お前の身体が、どうしたって?」

 シュバルツの言葉を遮るように、ハヤブサが言葉を発する。彼を包む青白い光は、更にその輝きを増していた。闇の中で灯り続けるそれは、まるで炎が燃え立つように揺らめき、辺りを照らし始めている。
「お前の身体が歪で穢れている? この世で最早生きていけないほど、邪悪な存在だって?」
 ハヤブサから発した光は、二人の握られた手を通して、シュバルツに注ぎ込まれ続けていた。
「お前――――自分の身体をよく見てみろ! どこが歪んでいる!? どこが穢れているんだ!?」

「―――――!」

 その言葉に、はっと弾かれたように―――――シュバルツは己が体を確認する。するとそこには、失われたはずの自分の手が、足が―――――綺麗な形を保ったまま、そこにあった。
「こんな………!」
 信じられぬ思いで、シュバルツは自分の身体を確認する。『人間』の形を取り戻した身体。乗っ取られる前と唯一違うところと言えば、服を纏っていない、ということだけだろうか。

「お前は、『邪神』に乗っ取られてなどいない。お前はお前のまま――――綺麗で、穢れのない存在のままだ」

「…………!」

「こっちへ来い! シュバルツ!!」
 ハヤブサは叫んだ。
 必死だった。
 自分はこのままどうなってもいい。
 ただ―――――愛おしいヒトの『生』を、『幸せ』を、一心に望んだ。

「俺の名を呼べ!! 『生』を望め!!」

 今行っているのは『魂込(たまごめ)の術』――――この術は、シュバルツから自分の名を呼んでもらうことで完成する。邪神からシュバルツを取り戻すために、ハヤブサは懸命に手を伸ばした。

「皆のために―――――『生きる』と叫べ!!」

「あ…………!」
 差し出されたハヤブサの手が、涙で滲む。
 鷲摑まれた、心が震える。

 いいのか?
 いいのだろうか?
 こんな、私のような危険な存在が―――――

「帰ってきてくれ!! シュバルツ!!」

(……………!)
 ふいに、脳裏に自分に向かって手を差し伸べてくれていた、キョウジとドモンの姿が浮かぶ。
「キョウジ兄さんを、独りにしないでくれ!!」
 ドモンの必死な叫びが、心を打った。

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