農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 99

<<   作成日時 : 2016/02/17 15:38   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

 二つに割れた球状の物体から、黒い靄のようなものが出てくる。これこそがラクシャサその物であった。ハヤブサは『気』を込めて、再びラクシャサを『封印』しようと試みる。
(く………!)
 しかし、少し前まで衰弱し、今また、大怪我をして弱り切っている龍の忍者。「封」の術が、完璧には発動しなかった。

(馬鹿め!! この隙に、逆に貴様の身体を乗っ取ってやる――――!!)

 ラクシャサが高笑いをしながら、ハヤブサに襲い掛かろうとした、その瞬間。
 ラクシャサの前に突然、赤いマントが翻った。
「――――!?」
(なにぃ!?)
 ラクシャサとハヤブサが、同時に息をのむ。

「吻っ!!」

 ドモンの黄金に輝く右手は、確実にラクシャサの魂を捉え――――そして、砕いて行った。邪神は、なんとも耳障りな悲鳴を残して、跡形もなく消えていった。


「……………」
 ドモンが振り返ると、茫然とこちらを見つめている、リュウ・ハヤブサと視線が合う。
「………助けてくれたのか……?」
 問うてくる龍の忍者に、ドモンは「チッ!」と、舌打ちをした。
「勘違いするなよ!? 俺はお前を助けたんじゃない!! お前の後ろにいる兄さんを助けたんだ!!」
「―――――!」
 ぎょっとしてハヤブサが後ろを振り返ると、シュバルツがその姿を静かに現す。そこで初めてハヤブサは、シュバルツが極限まで気配を消して、自分の後ろについてきていたのだと気付いた。
「あのまま放っておけば、兄さんがお前を庇おうとしただろう。兄さんに何かあったらたまらないから、守っただけのことだ!!」
「……………!」
「ドモン……」
 シュバルツに静かに見つめられ、ドモンはいたたまれなくなったのか、ふい、と、視線をそらした。

「これで『借り』は、返したからなっ!!」

 ドモンは大声で怒鳴ると、すたすたと歩いて行ってしまった。その後姿を茫然と見送っていたハヤブサは、やがて、ポツリと漏らした。

「………これは、礼を言われた、と、解釈していいのか……?」

「すまないな。素直じゃない弟で……」
 苦笑しながら言葉を紡ぐシュバルツに、ハヤブサは頭を振った。
「いや、いい。礼を言わねばならんのは、寧ろこっちだ……」
 フッと小さく息を吐いてハヤブサは龍剣を収めると、真っ二つに割れた黒い球をそっと拾い上げていた。
「……もう、それは害のない物なのか?」
 問うてくるシュバルツに、ハヤブサは静かに微笑み返す。
「あれだけダメージを受けたから、当分の間、この邪神ラクシャサの復活はないだろう……。しかし、相手は神だ。完全に討滅することも不可能だろうな……」
 ここまで話したハヤブサは、やれやれとため息を吐いた。
「今度はもっと……俺が多少弱ったぐらいではびくともしないぐらいの封印の仕方を、考えねばなるまいな……」
 そう言って球を見つめていたハヤブサの身体が、ぐらりと傾ぐ。

「ハヤブサ!!」

 シュバルツが慌ててハヤブサの身体を支える。
「大丈夫か!?」
 声をかけるシュバルツに、ハヤブサはその腕の中で苦笑を返した。
「大丈夫……と、言いたいところだが、さすがに少し身体に堪えているみたいだな……」
「ハヤブサ……」
 やはり、無理をさせてしまったと、シュバルツの瞳が曇る。

 いつもそうだ。
 どうしていつもハヤブサは
 こんな無茶ばかり――――

「シュバルツ……」
 対して龍の忍者の方は、今まさに幸せの絶頂であった。

 や……やった……!
 偶然よろけたおかげで、すんなりシュバルツの胸の中に入ることができた……!
 異空間を抜ける時もシュバルツに抱きしめてもらっていたが、あの時は結界にかかってくる時空圧と戦うのに必死だったからなぁ。だが今は、俺たちの間を邪魔するものは何もない……!
 この際だから、少し甘えさせてもらおう、と、ハヤブサはさらにシュバルツの身体に身を寄せる。案の定、シュバルツは優しく抱き留め続けてくれていた。
(ああ……! 最高だ……! このまま、時が止まってくれれば……!)
 幸せな時間を堪能しながら、どうしてもその頬が緩みがちになる龍の忍者。身体の疲れも痛みも忘れて、しばし、シュバルツの腕の中の感触に酔う。

 しかし、そんな時間は長くは続かないもので。

 誰かが、シュバルツを後ろから、ガシ、と、抱きしめてきた。
(誰だ!? 俺とシュバルツの時間を――――!)
「シュバルツ………」
(キョウジか………)
 降ってきた声に、抱きしめてきた者の正体を悟って、ハヤブサは小さくため息を吐く。 
 キョウジならば仕方がない、と、ハヤブサは思った。シュバルツとキョウジの間を邪魔してはならないと、心に誓っているのは自分だ。それ故に、シュバルツの腕の中からそっと身を起こすことを、龍の忍者は選択していた。
「ハヤブサ……大丈夫なのか?」
 シュバルツが心配そうに問うてくるのを、ハヤブサは苦笑しながら頷いた。
「ああ……。俺は大丈夫だ。それよりも、キョウジの方に向いてやれ」
「あ………!」
 ハヤブサに言われてシュバルツがキョウジの方に振り向くと、抱きしめてきたキョウジの身体が小さく震えていることに気付いてしまう。
「キョウジ……!」
「シュバルツ……! 良かった……!」
「…………!」
「帰ってきてくれて………本当に、よかった………」
「キョウジ……」
 小さく震え続けるキョウジの背に、シュバルツはそっと触れる。酷くキョウジを心配させてしまったのだと感じて、シュバルツは申し訳ない想いでいっぱいになった。 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
毎回の更新、楽しく拝見しています。
ドモンくんファンなので、かっこいい活躍&可愛らしさを見ることができてうれしいです。あの赤マントってアクション映えして素敵ですよね。
これからも更新の方応援しております。それでは失礼します。
てっこ
2016/02/18 18:08
てっこさま。本当にコメント、ありがとうございます(*^^*)
ドモン君ファンなんですね! ドモン君はマントをはためかせたり、大見得を切ったりするのが合うキャラクターだと思います。なかなか活躍する場がなくて、本当にごめんなさいです(^^;
しかし、これでまた更新頑張れそうです!
本当に本当に、ありがとうございました<(_ _)>
農家の嫁
2016/02/19 00:25

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