農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 100

<<   作成日時 : 2016/02/19 23:46   >>

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「キョウジ、すまない……。心配をかけてしまったな……」
 シュバルツの言葉に、キョウジはフルフルと首を振る。
「ううん……いいんだ。お前がこうして、帰ってきてくれたから――――」
 そう言いながらキョウジが、シュバルツの身体をぎゅっと、抱きしめる。
(良かった………)
 その光景を見ながら、龍の忍者の面にも、いつしか優しい笑みが宿っていた。
 シュバルツとキョウジが再会を喜び合っている。
 その姿は、自分が最も見たいと願っていたものだったから。
「……………」
 二人の時間を邪魔してはならぬと、ハヤブサはくるりと踵を返す。しかし、次の瞬間発せられたキョウジの言葉に、ハヤブサの足は強制的に止められることになってしまった。

「シュバルツ………『後片付け』を、手伝ってくれるよな?」

「へっ?」

 何かキョウジから、不吉なことを聞いたような気がして、シュバルツから変な声が出てしまう。ぱちくりと目をしばたたかせるシュバルツに、キョウジはなおも、さわやかに微笑みかけていた。

「だから、後片付け」

「えっ?」

「手伝ってくれるよな?」

「ええっと……後片付けとは――――」

「見てわからない?」

 にこ―――っとほほ笑むキョウジの背後に広がるのは、瓦礫の山。
 酷く嫌な予感に駆られて、シュバルツは背中からは大量の汗が流れ落ちていた。
「ま………まさか……」
 ひきつった笑み浮かべるシュバルツを、キョウジはがしっと捕まえるように抱きしめる。

「ほら……私のアパートなんて、跡形もないし」

「…………!」

「邪神が暴れたとばっちりで、周りの家も崩れるとか無くなるとかしているし」

「ま、まてっ! キョウジ――――!」
 シュバルツは思わず、叫び声をあげていた。
「まさかこの辺り一帯の、壊れている物全部を直す気でいるのか!?」
 シュバルツの言葉に、キョウジはあっさりと頷く。
「そうだよ? 壊れた原因が私たちに関係ないとは言えないし、ここの人たちも、いきなり住む家がなくなっちゃったらかわいそうでしょ?」
「それはそうかもしれないが――――」
 シュバルツは軽く咳払いをする。キョウジの言っていることは、あまりにも現実離れしすぎていると思うのだ。
「しかしキョウジ……! 言っていることがむちゃくちゃだぞ!? 直すために払う手間と労力は惜しまないつもりだが、いくら私が全力で取り組んでも、一朝一夕で終わる代物ではないぞ。材料の調達とか、住んでいた人たちとの交渉とか――――」

「いやだなぁ、シュバルツ。誰が『普通の手段』でこの辺りを直すって、言った?」

「へっ?」

 再び目をしばたたかせるシュバルツに向かって、キョウジはある物を見せつけるように差し出す。
「直すのには――――『これ』を使うつもりだよ」
 それが何かと悟った瞬間、シュバルツの顔色が、みるみる蒼白なものになっていった。

 それは、この世には絶対に出してはいけないモノ。
 普通ならば、研究所の奥深くに、厳重に封印されてなければならない『新種のアルティメット細胞』という代物であったからだ。

「キョウジ!? それは――――!」

「大丈夫。これは凶悪性が無い方の細胞株だよ。これが、壊れた物を直していったのを、シュバルツも実験に立ち会って確認しただろう?」
「それはそうかもしれないが――――」
 シュバルツは立ちくらみを起こす自分を止めることができない。
「それでも危険すぎる!! 万が一間違いが起こって暴走でもしたらどうするんだ!?」
「うん。そうだね。だから、扱いには細心の注意を払わないといけないと思ってる。私とシュバルツが主体になって、この細胞を制御して――――」
「『制御して』じゃない!!」
 シュバルツはたまらず大声を張り上げていた。
「キョウジ!! これはまだ実験の検証段階で、現実に使っていい代物じゃないんだ!! 使うのにしたって慎重を期さないと――――!!」

「じゃあシュバルツは、どうやってこの惨状を立て直すつもりだ?」

「――――!」

 キョウジに突っ込まれて、シュバルツは咄嗟に反論することができない。
「直すことができる手段が、私たちにはあるんだ。だからそれは、有効に使うべきじゃないのか? それに万が一この細胞がDG細胞化して暴走したとしても、止めることができる人たちが、ここには沢山いるだろう?」
 この言葉に、東方不敗以下全員の視線がキョウジに集まる。確かにキョウジの言う通り――――シャッフルの紋章を持つ者と、『龍剣』を持つ龍の忍者は、暴走したDG細胞を消滅させる力があった。
「実験のための『安全弁』のような物までここに揃っているのに―――――それを活かさないなんて勿体ないよ! シュバルツ!!」
 そう言いながらにじり寄ってくるキョウジの瞳が、皆のために役立つことがしたい、というよりも、完全に「この新しいアルティメット細胞の実験をしたい」と訴えてきている。
(こ………この、マッドサイエンティストが――――!)
 シュバルツは立ちくらみを覚えながら、ただ呆然とするしかない。そこに東方不敗が「キョウジよ……」と、声をかけてきた。
(マスターアジア……!)
 シュバルツは一縷の望みをかけて東方不敗の方を見る。
 キョウジは、自分たちシャッフル同盟の力を実験の安全弁呼ばわりしたのだ。これは、かなり失礼なことに当たるのではないかとシュバルツは思うのだ。これに東方不敗が激怒して、『そんなくだらない事に我らの力など貸さんぞ!!』とでも言ってくれれば、キョウジも、この無謀な実験をあきらめてくれるのではないかと願う。
 しかし。

「キョウジが望むのなら、わしは一向にかまわぬぞ?」

 寧ろ喜んで協力しよう、と、続いた東方不敗の言葉に、シュバルツはズルッとこけるしかなかった。

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