農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 101

<<   作成日時 : 2016/02/21 14:01   >>

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「やった―――ッ!! ドモンももちろん協力してくれるよな?」
 嬉々として万歳と手を上げるキョウジが、ドモンの方に振り返る。もちろん、兄が大好きな弟が、キョウジに反対するはずもない。
「ああ。当然だ! 俺の力が兄さんの役に立つのなら――――」

「まあ、これも人助けだな」
 チボデーが腕をぐるぐると回しながら近寄ってくる。
「再生のために必要であるならば、我が力、喜んで差し出しましょう!」
 ジョルジュが微笑んでそう言えば、その後ろからサイ・サイシーが「おいらだって!」と、ひょこっと顔を出す。そこから少し離れたところで、アルゴ・ガルスキーが、ドン! ドン! と、音を立てて自らのこぶしを胸の前で合わせていた。皆の意見に賛同して、そのための気合を十二分に己に注入している、と、言ったところであろうか。

「みんな……! ありがとう……!」

 その輪の中でキョウジが、爽やかに微笑んでいる。その様子を見ていたシュバルツは、ひっそりと頭を抱えてしまっていた。
(ど……どうして皆、気が付かないんだ……! あそこにいるキョウジが、完全に世のため人のためなどではなくて、『実験をしたい』というエゴで突き動かされている、という事実に………!)
 あの爽やかな笑みの向こうに、マッドサイエンティストの影がちらついているのがはっきりと見える。どうして自分だけが、それに気づいてしまうのだろう。やはり、自分は彼の『分身』で――――自分の大元には、彼の『良心』が色濃く流れているからであろうか。
 シュバルツが、はあ、とため息を吐きながら頭を垂れていると、龍の忍者からそろりと、声をかけられた。
「大丈夫か? シュバルツ……。俺も手伝うから――――」
「……………」
 シュバルツはチラリ、と、ハヤブサの方に視線を走らせると、
「………いいから、怪我人は無理せず寝ていろ………」
 ため息交じりにそう言われる。ハヤブサは苦笑するしかなかった。事実、一応『呪』で傷口を塞いでいるとは言え、身体はまだ、本調子とは程遠い状態であったから。
「しかし、寝ていろと言われても――――」
 だがハヤブサも、なおも反論しようとする。大体、これだけ破壊された状態では、自分が身を休めるところなどないし、何よりも、愛おしいヒトが困っているのなら、手を差し伸べたいと、ハヤブサは願っていた。
「いや、しかし……お前は本当に、ゆっくり休んでいないといけない」
 何だったら、今すぐ隼の里に帰るか、と、シュバルツが言うより先に、キョウジから呼びかけられた。

「ほら! シュバルツ! まず治療室を直すよ! ハヤブサの治療をしなくちゃ――――!」

 瓦礫の山の真ん中で、妙にテンションが上がっているキョウジが、元気いっぱいに叫んでいる。
「やれやれ……。分かったよ……」
 深いため息を吐きながら、シュバルツが重い腰を上げて立ち上がる。そのあとに龍の忍者も続いて歩き出した。笑顔で手を振っているキョウジの背後から、朝日が昇り始めていた―――――


  「最終章」


 食べる。
 食べる。
 とにかく食べる。

 ガツガツと、がっつくように食べるハヤブサの両隣には、山のように空になった茶碗が積み上げられていた。
 あまりにも凄まじいハヤブサの食欲の前に、シュバルツもキョウジも、ただ呆然とするしかない。開いた口が塞がらないシュバルツとキョウジの前に、龍の忍者からまた茶碗が差し出されていた。

「おかわり」


 邪神の騒ぎが終息し、街に落ち着きを取り戻したころ――――再び隼の里から与助が訪ねてきていた。
「あれ? 与助さん?」
 出迎えたキョウジの前に、ドスン! と、大きな荷物を下ろしてから、ぺこりと頭を下げた。
「すみません、すっかりリュウさんがお世話になってしまって――――」
「ああ、そんなこと気にしなくていいのに」
 フッと優しい笑顔を見せるキョウジの前に、突然与助は深々と頭を下げた。

「あの……! すみませんっ!!」

「えっ?」

「本当に……! すみませんっ!!」

「ち、ちょっと与助さん、どうして謝るの?」

 訳が分からずに問い返すキョウジに、与助は申し訳なさそうに首を振る。
「いえあの………。リュウさんの体調が戻ってきていると連絡を受けたので――――」
 そう言いながら与助は、運んできた米俵を差し出した。
「こちらを、どうかお納めください!」
 そう言って、実直な青年が頭を下げる。それを見たキョウジは、慌てて恐縮しだした。
「ちょ……! ちょっと……! 見舞金もたくさんもらっているのに、さらにそんなに貰ってしまうと――――!」
「いえ……! とにかくお納めください! 絶対に必要になってきますので――――!」

「えっ?」

 きょとんと眼をしばたたかせるキョウジ。その時部屋の中からシュバルツが出てきた。
「キョウジ……ちょっと買い物に行ってきてもいいか……って、与助、来ていたのか」
 シュバルツの言葉に、与助も「お久しぶりです」と頭を下げる。
「シュバルツ。買い物って?」
 問い掛けるキョウジに、シュバルツは軽く笑みを返す。
「いや、ハヤブサが少し食欲が出てきたらしくてな。腹が減ったと言い出したものだから――――」

「あ、じゃあさっそくご飯を炊きましょう。私も手伝いますよ」

 そう言いながら、与助は一升炊きの炊飯器をドン、と床に置く。
 絶対にこれが必要になる、と、言った与助を、シュバルツとキョウジは半信半疑で眺めていたのだが――――果たして、与助の言葉通りになったのだった。

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