農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 96

<<   作成日時 : 2016/02/12 02:20   >>

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 そこにいたのは女性だった。白い着物を着た女性――――
 異様な状況であるはずなのに、シュバルツは何故か恐怖は感じなかった。
 それどころか、どこかで会ったことがあるような感じすら覚えた。こちらを守るように広げている手が、時々おにぎりや飲み水を差し出してきたあの白い手に似ている、と、思ったからであろうか。
「……………」
 戸惑うようにその女性を見つめていると、その女性の白い面にフッと笑みが浮かんだ。

「―――――」

 女性が、囁くように言う。シュバルツがそれに応えようとした時。

「兄さん!! 外に出られる!! 行こう!!」

 ドモンから声をかけられ、シュバルツははっと顔を上げる。

「分かった! 今行く!」

 力強くそう言うと、彼もまた、ハヤブサを抱きかかえて立ち上がっていた。


「おのれ!! 人間風情が――――!!」

 ラクシャサの身体が、また一回り大きくなる。攻撃してくる触手のようなケーブルの数も武器の種類も、さらに増えた。
「くそっ!! 本当にきりがないぜ!!」
「チボデー!! 弱音は禁物です!!」
 ラクシャサの攻撃に対処しながら悲鳴を上げ気味になるチボデーを、ジョルジュが励ましていた。
「負けてたまるかよ!!」
 サイ・サイシーがフラッグを昆のように回しながら構える後ろで、アルゴも鉄球を振り回している。しかしすでに、皆の身体は傷だらけになっていた。
(消耗が激しすぎる……! まだか……? ドモン……! ハヤブサ……! シュバルツ……!)
 キョウジは戦況を見つめながら、歯を食いしばっていた。
 退くわけにはいかない。退けば、敵に利するだけで、何のメリットもない。
 それに今、自分たちが退けば――――あの邪神による人間への虐殺行為が始まってしまう。
 それだけは、何としても避けねばと思った。自分たちは意地でも、ここに踏みとどまらなければならないのだ。あの邪神と戦えるだけの力を持っているのだから。
 しかし、今の状態は、まさに不毛な消耗戦をしているとも言えた。このままでは皆が疲弊して――――あの邪神が倒れるよりも先に、こちらの戦線が崩壊してしまう恐れすら出てきていた。
(大丈夫……。ドモンたちは強い……)
 キョウジは祈るように、自分に言い聞かせ続けていた。

 邪神の中に閉じ込められているあの3人が出てきてくれさえすれば
 きっと今の戦況も、逆転できるはずだ。

 あのドモンが
 ハヤブサが
 シュバルツが

 あんな邪神なんかに、後れを取るはずはないんだ。
 
 必ず出てくる。
 必ず帰ってきてくれる――――!

 祈り続けるキョウジを、東方不敗が懸命に守り続ける。

 その時だった。
 ふいに、キョウジの脳裏に、こちらに向かって飛んでくる鶴のイメージが浮かぶ。それと同時に、その鶴を追うように、力強くこちらに突き進んでくるドモンたちのイメージが―――――

「ドモンたちが出てくる!!」

 気が付けばキョウジは、考えるよりも先に、その言葉を発していた。それほどまでに、彼らにとって、それは待ちわびたことであったから。
「本当か!?」
 東方不敗をはじめとした皆が、キョウジに注目してくる。キョウジは、力強く頷いた。

 確信があった。
 ドモンたちはもう、本当にすぐそこまで来ている。

「出てきます!! あそこから――――!!」

 キョウジは、邪神の胸のあたりを指しながら、心の中でカウントダウンをする。
(3…………2…………1…………!)

「来い!! ドモン!!」

 キョウジが叫ぶと同時に、邪神の胸の辺りが眩く光る。

 ドオオオオオオン!!

 轟音とともに、爆ぜた邪神の胸から、輝く二つの光球が飛び出してきた。その中にはためく赤いマントと、そのあとに続いて出てきたハヤブサを抱きかかえるシュバルツの姿を見た瞬間のキョウジの心の中に広がる安堵感は、如何ばかりのものであっただろう。
「兄さん!!」
 ドモンもまた、こちらを見つめてほほ笑む兄の姿に、胸を撫で下ろしていた。戦いの中にあって、兄がこうして無事でいることを、ドモンは天に感謝する。その後ろでストン、と着地したシュバルツが、腕の中のハヤブサに呼びかけていた。
「ハヤブサ……! ハヤブサ……!」
「う…………!」
 シュバルツに呼びかけられたハヤブサが、うっすらと瞳を開ける。
「あ………? シュ……バ、ルツ………?」
「ハヤブサ――――」
 シュバルツは優しく微笑みながら、気を失っていてもなお、固く結び続けていたハヤブサの手の印の形を解いた。これはもう、必要のないものだからだ。
「ハヤブサ……。私たちは、助かったんだ………」
 そっとハヤブサの手を握り、言葉をつづける。

「守ってくれて……ありがとう」

「シュバルツ………!」
 そう言って綺麗に微笑む愛おしいヒトを見つめながら、ハヤブサもまた、安堵の吐息を漏らしていた。自分は、彼のヒトを守りきれたのだと知った。
 

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